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テレビっ子になりかけたマメルリハインコ

引越し後、私が新しい勤務先に出社するようになった。前はシフト制の仕事だったが、暦通りの勤務になったため、現在平日に我が家のマメルリハ・シャルの顔を見るのは朝の出勤前だけである。私が会社を出る時に母に電話すると後ろでキーキー鳴いているが、帰り着いた時にはもう就寝している。あれから3年ほど経ったが、相変わらず私の顔を見たくないらしい。

そしてシャルは母と平日は留守番生活になった。母も在宅しているとはいえ、家のことをやっていて忙しい。シャルはまた昼寝をしたり、鳥用アスレチックで遊んで過ごしているが、ここに今はテレビ視聴が加わっている。

ある日母が、鳥籠にいるシャルの様子を見たら、身体を「U」の字に折り曲げるような姿勢になっていたらしい。どうしたのかと思い観察すると、鳥籠の向きとテレビの配置の問題で、普通の姿勢ではテレビが良く見えなかったようだ。母が鳥籠の向きを変えると止まり木にとまっている正しいインコの姿になったそうだ。

テレビを観るのに必死で姿勢が悪くなってしまった人間みたいな話だ。結果、母はそれ以来就寝時にはまた鳥籠の向きを戻し、翌朝起こすとテレビが見やすい向きに鳥籠を変えている。テレビが見やすい向きのままだと室内の光を物理的に遮断が難しい状況になるためだ。気を遣われて良い暮らししてるなあ、シャル。

テレビを見やすくするために鳥籠の向きを変えるとシャルのテレビっ子化が進んでしまうが、ずっと「U」の字の悪い姿勢になるよりはマシという判断である。しかしこれは思いがけず別の変化をもたらした。鳥籠の向きが変わるとちょうどシャルは正しい姿勢の状態で、窓の外も見えて鳥用アスレチックも見渡せて自分のテリトリーをしっかり把握できるようになった。

そのためか新居での籠外活動(=放鳥)に消極的だったのに、気持ちが落ち着いたらしく母が食事をしている時に同じタイミングで一緒に鳥籠内で餌を食べたり、母の膝に自分で飛んできて毛繕いをしたり、引越し前と変わらない生活をし始めたのだ。

人間にとって「引越し」「入学」「昇進」などたとえポジティブな変化であっても、実際には大きなストレス要因だと言う。おそらく動物もそれは感じるはずだろう。シャルも少しずつ新しい環境に慣れていっているところだったかもしれない。

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