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オカルトと都市伝説の庭で「古代文明」を考える

歴史などの暗記モノは苦手だったので、文系クラスか理系クラスを選択する高校2年生のときに理系へ進んでしまうという、そんな汚点があります。日本史に無知なのだから世界史などは右も左もな状態であり、そんな私のリハビリにお付き合いいただく4000文字となってしまいそうです。

◇ 約4,500文字

未発見の文明(序章)

 前回の地球内部に暮らす「地底人」から始まって、地表面の「古代文明」に着手しようとする2020年6月4日、メキシコでマヤ文明に関する新たな発見があったというニュースが目に飛び込んできた。
 アリゾナ州立大学の猪俣教授を団長とした米国や日本などから結成された調査団が、南北1,413mー東西399mにおよぶ敷地に、紀元前1000年ごろから造られ始めた高さ15mの巨大な建造物を確認したと報じている。刮目して続報を待ちたい。

 かように、まだ地表付近には未知の歴史が眠っている。日本でも、邪馬台国だけでなく四国の剣山に伝わるアークなど、解明されていない伝説は多く、それらが異国の文明や史実と結びつくことに期待したい。
 その一方、歴史を検証するには多くの時間と犠牲が不可欠であり、京都市内に地下鉄を敷設するのは大変な苦労があったと聞く。掘る時にはハケが手放せなかったとは、あながち冗談でもないエピソードだろう。傍白になるが、名古屋からリニア新幹線が京都を経由できないとしても、総合的な判断として仕方のないことだと感じる。


文明とオカルトの宝庫

 なんと言っても古代文明の筆頭格はエジプト文明であり、雄大なギザの大ピラミッドは都市伝説やオカルトの宝庫でもある。

 歴史教科書には、エジプト人の奴隷が巨大な石を引かされてピラミッドを建設するイラストが載っていた。10万人の奴隷が20年間の強制労働をさせられて作ったと教えられたが、最近では「労働後に飲めるビールを楽しみにする農民などが従事していた」というのが定説になっているようだ。壺で焼いたパンや(当時は貴重だった)牛肉も食していた痕跡があり、現代と比較してもブラックとは言えない労働環境だったことを知る。
 いったい自分の受けた歴史教育とは何なだったのだろうか。いとも簡単に既成概念が覆されることに愕然とする。

 およそ4500年ほど前に建造されたピラミッドだが、平均2.5tもある230万個の石材を1度の15分の1という高い精度で建造できたのだろうか?という技法と、単なる墓に(複雑な内部構造も含め)そこまでする理由は何だったのか?という用途の疑問が解消していないため、どうしても都市伝説と表裏一体になってしまう。

 その用途に関しては「王族の墓」という定説のほかに、異星人が母星とコンタクトをするための道具であるとか、地球内部からのエネルギーを集める装置であるとか、太古の発電施設だった、などの都市伝説あるいはオカルト説がある。
 他方で、技法については論戦が激しいように思う。
 懐疑派が「当時の技術で200万個以上の石材を140m以上も積むのは不可能」と言えば、学術派は「20°の傾斜スロープを作れば十分に可能だ。エジプト人なめんな!」と即座に否定する。
 「使用された石灰岩は500m手前の石切り場で採掘できるが、王の間で使用されている1個60tを超える花崗岩はどうやって運んだのか?」と懐疑派が疑問を持てば、「水路からピラミッドに続く運搬路が発掘されたぞ!」と学術派は発見に歓喜する。(そんな2つの派閥があるかは定かでないが)

 建造に関する見解は百花繚乱で、私個人の意見を書くことも気後れしてしまう。ただ、ピラミッドからスフィンクス像にかけて回廊があり、巨大な地下空間が存在していることは事実だろうと考えている。迷宮なのかは判らないが、地下空間があることは科学者も調査団も認めているし、エジプト政府が頑なに再調査を拒んでいるからには、つまびらかにできない何かが存在しているのは確かだ。
 アカシックレコードが存在すると言われていたり、(前回に紹介したアガルタの模式図のような)地底世界との連絡通路があると言われたりするが、それらの真相が明かされる日はくるだろうか。


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スフィンクスは女性なのか

 巨大なピラミッドは圧倒的な存在感だが、等しく気になるのは"一枚岩から彫りだされた世界最大の建造物"スフィンクスの存在だ。
 ピラミッドとは異なり、スフィンクスを建設する資料は目にしたことがない。秘密が無いからじゃないか?と思いがちだが、すぐ手前につながる河岸神殿は、1本の重量がおよそ200トンもある石柱が数百本で構築されている。この神殿も建設の様子は見つからないのだが、現在の米国でも200トンの重量を扱えるクレーンは2台しかないのだと聞く。

 つぎに不思議に思うのは、パッと見たバランスの違和感である。スフィンクスはライオンの胴体と人間(女性)の頭をもつキメラだが、頭部が異様に小さいことが気になる。一説では、もとはアヌビス神だった頭部(画像の輪郭部)を削ったのではないのかとも言われており、そうであれば首から下の風化具合とのコントラストにも納得がゆく。そして、この風化が建造された年代に疑問を投げかけているのだ。
 すくなくともクフ王の以前(ピラミッドより昔)から存在していたという記録は残っているが、「胴体の水による浸食は1万2000年前の洪水による痕跡ではないか」と言われる。さらには「海水による浸食だとすれば80万年前から存在していることになるぞ!」という仰天な説すらある。

 そのような太古に文明が存在していたかは(歴史に疎い私には)皆目わからないので、ネットの情報を手掛かりにして、以下のような簡易の年表を作ってみた。
 四大文明でエジプト文明、インダス文明、黄河文明はわりと明示的だが、メソポタミア文明はどの時点を文明の始まりと捉えるかに諸説あり、地域も複雑なので、単純な表の作成が想像以上の大苦戦となってしまった。そして、諸説あることは重ねて申し上げておきたい。

太古の年表


シュメール人は突然に?

 初めて文字を持った民族がシュメール人であるため、それより以前については史実が遺されていない。つまり、よく解らないと言っておくのが無難であろう。

 文字の発明どころか、天文的な知識、高度な医療、法体系などを有していたとされるシュメール人は民族系統が不明であり、突如、紀元前3000年頃に現れてたのが不思議でならない。いや、「それまで文字が無かったので、そこから突然の如く歴史が始まるのは当然だ」という指摘があることを承知するが、それでもなお驚きだ。
 シュメール人は天文学についての驚異的な知識をもっており、太陽までの正確な距離、肉眼では見ることができない天王星、海王星、冥王星の存在と星の特性、地球の歳差運動※まで把握していたと言われる。医学分野では白内障が水晶体の混濁部分を除去すれば直るということと、その手術方法も会得していたという。
 ここまで聞くと、どうやら土器に縄で紋様をつけていた古代文明とは次元が違うぞ!と、それこそ開いた口が塞がらないのである。

 ここまでは(凡そ)史実に沿っているが、以下、仮説や都市伝説となる。

 プラトン以外の一次資料がないため憶測の域を出ないが、紀元前45000年頃から始まって紀元前10000年の大洪水※で大陸ごと消滅したアトランティス文明が、大西洋の何処かに存在したという伝説に触れておきたい。
 水による浸食という見地からすると、この豊かに栄えたアトランティスの時代に、当時の先進技術でスフィンクスが(あるいはピラミッドも)建造されたのだろうか?と空想したくなる。

 シュメール人は民族系統が不明と書いたが、水没するアトランティス大陸から逃れた末裔が、ペルシャ湾(イラク・クウェートのあたり)に高度なシュメールの文明を築いたという説がある。また、別のアトランティスの住人は中南米へと移ってマヤ文明を勃興させ、地底へと向かった一団はアガルタの住人になったのだという。
 紀元前10000年の大洪水から次の文明までは数千年の空白期間があるため、それが埋まるような仮説との出会いで、このブランクを埋めたいものである。

※歳差運動:地軸が2万5920年かけて円を描くように振れる周期運動
※大洪水としたが、氷河期の終了で海面が上昇したと考える識者もいる

 世界四大文明を諳んじることすら怪しい知識だったが、数万年前の超古代文明がシュメールへと伝播し、メソポタミア文明の礎になったという"仮説"があることを学んだ。
 ここからは、速度を上げて人類の誕生に関する都市伝説に突入する。


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アヌンナキと人類創造

 シュメールの各地で見つかっている粘土板の古文書には、より太古の時代についても記されているようである。要点を整理してみたい。

 太陽系には、知的生命体アヌンナキが高度な文明を構築しているニビルと呼ばれる10番目の惑星(公転周期は約3600年で、まだ人類は発見していない)が存在するという。
 今から約45万年前、長年の戦争によりニビルの大気が悪化して生物が住めなくなりつつあったので、アヌンナキはオゾン層を修復する「金のナノ粒子」を求めて宇宙に飛び出してゆく。地球に到達し(現在でも一大採掘地である)南アフリカで金の採掘を行っていたが、その重労働に耐えかねて分裂や諍いが横行したため、地球にいた猿人とアヌンナキの遺伝子を掛け合わせて(新たな労働力としての)人間を創りだしたのだ。

 駆け足で説明すると上記(※抜粋ではありません)のような内容だが、自分には日本に古くから伝わる おとぎ話 のように感じてしまう。
 つまり、人類が「他の動物に比較して環境の変化に弱い存在であり、太古から天体に思いを馳せる唯一の生物であり、黄金に魅了されて普遍的な価値感を持っている、それはアヌンナキの遺伝子に依るものなのですよ」と言われても、すんなりと受け入れることはできない。

 ダーウィンの進化論では、原始人(ホモ・エレクトス)から人間(ホモ・サピエンス)にジャンプする進化の過程が、完全には説明できないのだという。その不完全性については、ダーウィン自身も認めているようだ。
 不確実な事象はオカルトや陰謀論に取り込まれやすいので、ほかの動物とは異なる進化を遂げた理由としてハイブリッド説が腑に落ちるのも理解はできる。それでも現時点では、異星人と猿人の遺伝子操作が人類の起源であり、アヌンナキが「人類にとっての」であると片づけることには抵抗感が拭えない。
 まずは、公転周期3600年のニビルと思しき惑星を発見することが、この仮説を裏づける一丁目一番地となるだろう。ともあれ、人類の発生起源については、今後も悩まされることになりそうだ。

 定説だと認識していた進化論まで崩壊するとなると戸惑うが、このような進歩的な考えがあることを識ったうえで、新たなオカルトや都市伝説に触れたら(何割増しかで)興味深く吟味できるのではないか?と、そんな今後への期待を膨らませつつ、逃げ足だけは速い考察を終えることにしたい。
【了】

シリーズの目次と序文は コチラ です!


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