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私であって私でない、あの時間は、いったい誰なのだろう。

猫たちが起き始め、旦那さんが起きて動き出すまでの時間。

猫が動く音がして、微かにテレビの音が聞こえて。


私は、起きているようで起きていない。

もやのかかったような不透明なまどろみの中にいる。


そして気がつけば、頭の中を物語が走り始めている。

遠くから微かにテレビの音とはまた違う声が聞こえてきて、注意深く耳を澄ますと、その声はだんだんと大きく、ちょうどよく聞き取れるようになる。


たしかに声は私の声なのだけど。

身に覚えのあることから、経験のないことまで、その内容の範囲は広い。

自分の意思とは無関係に、さらさらと流れていくその物語を、私はただただ聞いている。


自分では進むことも、止まることもできない。

自分の中の、自分では制御できない、薄いけどしっかりとした膜のようなものを感じる。

それはまるで、干渉を拒むかのようなやわらかな拒絶のようで。


意識は、鮮明のような不鮮明さをまとい、ただただ不確定要素の集まりでしかない。

夢とはまた違うあの感覚は、心地よくも悪くもある。


あとから思い出そうと思っても、詳しい内容までは覚えていない。

今日のはわりと鮮明なほうで、私の今までしてきた恋をふりかえる走馬灯のような話だった。

忘れていた甘酸っぱさや、思い出したくない苦さも感じたような気がする。


あれはいったい、なんなんだろう。

あれはいったい、誰なんだろう。


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