符亀の「喰べたもの」 20210530~20210605

今週インプットしたものをまとめるnote、第三十七回です。

各書影は、「版元ドットコム」様より引用しております。

私用により、日曜日に更新しています。


漫画

怪獣8号」(3巻) 松本直也

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怪獣が定期発生する日本で、防衛隊として戦う中年男性の物語。詳しい内容は、1巻をとりあげた第十一回、またはリンクの試し読みを。

本作を含む近年のジャンプ作品では、次々と事件が起こり、休憩を挟む間もない密度の高い展開が多いように思います。これによりテンポは良くなっているのですが、その反面エピソード毎の一件落着感が薄れ、逆にメリハリが利かなくなるデメリットもあると気づきました。その点本作では、宴会で大団円ムードを演出したり、エピソード3に入ったことを示すためだけのページを挿入したりと、グダグダした印象を与えずに区切りを明示するのが上手いと思いました。一方宴会の直後に副隊長と主人公とのシーンを挟み、解決していないものもあるのを思い出させる形になっていたのは、この観点から見るとよくない気もします。これらの順番は逆にしていた方が、エピソードが切り替わる印象がより鮮明になっていた気もします。(逆に、区切りつつも続きへの仕込みをしたとして、評価もできると思います。)


推しの子」(4巻) 赤坂アカ×横槍メンゴ

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推しの子に転生した兄妹がそれぞれの目的を胸に芸能界に挑む物語。2巻は第六回、3巻は第二十二回で紹介しました。

こちらでも、上記の「区切り感」について考えていきたいと思います。この巻では第三章の終わり部分、第四章全体、第五章の始まりの計3章分の内容が描かれています。まずこの第何章というのを明示しているのが、切り替わりの印象づけとして強烈に働いています。その上さらに「区切り感」を高めているのが、各章ごとに中心となるキャラが変わることです。よく出てくるキャラが変わるため、流し読みでも「なんか変わったな」と感じやすく、話にメリハリが生まれています。

それをやりやすくしているのが、主人公が自分から動くよりも周りを動かすタイプのキャラであることでしょう。いくつかの作品にありがちなこととして、主人公以外に魅力的なキャラはいるものの、その描写を続けた結果、主人公がハブられた感じになってしまうパターンがあります。主人公の行動がストーリーを生むはずなので、その感覚は本筋が動いていないような印象にもつながってしまいます。しかし本作では、そもそも主人公が前線に出るタイプではなく、かつその章のメインキャラが動きだすためのキーはしっかり主人公になっています。褒めているところは3巻のときとほぼ同じなのですが、別の視点から見たことでこの構成の強みを再認識できた気がします。


SPY×FAMILY」(7巻) 遠藤達哉

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凄腕スパイの主人公は、任務のため偽の家族を作ることにした。しかし、娘役の少女は他人の心を読む超能力者であり、妻役の女性は殺し屋であった。癖の強い家族(仮)に振り回されながら、なんとかミッションをやりとげる疑似家族コメディの7巻です。むしろなんで今まで取り上げてなかったんだよこれ。

主人公こそ使命を胸に頭脳戦をするキャラですが、それ以外のキャラは子供やドジな頭使えない系なのが、より面白さを生んでいます。主人公が振り回される展開はギャグにとって好都合ですし、セリフ量が増えがちな頭脳戦が減る分読みやすくもなっています。っていうのを7巻まで来て改めて書くのはもう遅いんですよね。やっぱなんで今まで取り上げなかったんだよこれ。


機械じかけのマリー」(2巻) あきもと明希

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人間嫌いの御曹司のため、無表情で元格闘チャンピオンの少女がロボットとして働く少女漫画。第二十七回以来の登場です。

「ロボットかと思うぐらい無表情」という設定が少女漫画でありがちなデフォルメと相性が良く、ちびキャラが真顔でテンパったり奇行したりしているだけで面白いのがズルいです。その主人公をロボットとして溺愛している御曹司の方も、両片思いかつ叶わぬ恋にするために上手く機能しています。設定の勝利。

前回取り上げた際に余計なコマの存在に触れていましたが、この巻ではほぼ消失していたと思います。その記述を見て改めて読み直したら確かに抜けるコマはあるかなぐらいの感じで、少なくとも初見時に気持ち悪さを感じるコマはありませんでした。プロの進化速度すごい。


うめともものふつうの暮らし」(2巻) 藤沢カミヤ

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ねこっぽい姉妹のうめとももがおいしいものや楽しいことを見つけていく、なんでもない日常を描いた作品です。

姉のうめがしっかりもの、妹のももがちゃっかりものというのは、こういう漫画のテンプレといえるでしょう。しかしこの作品の特徴は、そのしっかりもののうめも知識量は多くなく、2人の日常が新しい発見にあふれている点だと思います。新規の感想を求めるオタクではないですが、新体験のものに対する反応というのは一番面白いものの一つです。本作では、このキャラがこれに対してどうリアクションするかという考察がしっかりなされており、そのリアリティとキャラ自身のかわいさが合わさることでリアクションの美味しさを存分に味わえました。そういう「主題」もあるんですね。


昼花火」 野火けーたろ

なんでだよ。


今週は、「区切り感」をテーマに何作かインプットしました。私はゲームを作る際、可能な限り余分な要素を削って密度を上げるのを好むタイプなのですが、フェーズ毎の「区切り感」がないと満足度が下がってしまうというのは考えられていませんでした。新たなキーワードとして、活かしていきたいです。


一般書籍

読破できませんでした。

1冊、序盤がしんどすぎて1章読むのに5日かかっていた本(全10章)が急にデレてきて読みやすくなったのですが、それと同時に私の読書体力が尽きたため読破には至りませんでした。来週こそは決めたい。


Web書籍

雑で速いやつに対する説諭

「雑で速い」筆者に対する、上司の資料レビューの書き起こしです。

上司の方の話の切り出し方、ほめ方、念押しの仕方など、どれをとっても参考になります。それに対し、わからない部分をちゃんと伝える筆者さん側もすごいですね。どちらも言語化力が高いです。


今週は本業の錬金術で消耗し、週末はクリスタが4回落ちて新PCに移行せざるを得なくなり、作業への時間も気力も取れませんでした。クリスタ自体の環境構築は終えたので、今日からは作業にとりかかれると思うのですが…

まあ先に漫画読むか…

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