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with meeting#5「性暴力被害者と関わる前に考えたいこと」 アーカイブ

イベント概要

開催日時:2023年11月11日(土)17時〜19時
会場:co-space AKASAKA
ゲスト講師:齋藤 梓先生
参加費:2300円
内容:性暴力被害者が二次加害を受ける問題について、臨床心理士の齋藤梓先生と被害者に対する適切な言葉がけについて学びます。
主催:ひととひと

ひととひとの紹介

ひととひとはアーティスト・工藤春香、神谷絢栄、Jin Yeowool、リサーチャー・高橋ひかりの4人からなるコレクティヴです。2019年から活動を開始し、性犯罪の背景にある社会構造や美術史、美術業界における国内外のジェンダー・ギャップなどについて勉強・研究・対話を行っています。

イベント内容

このイベントでは、司会の高橋ひかり、神谷絢栄と工藤春香が3人参加。
神谷絢栄のTOKYO MIDTOWN AWARD 2023で展示された作品「風の噂 2023ver.」から見える性暴力被害者が受ける二次加害についての解説と、臨床心理士の齋藤梓先生から二次加害が起こる社会背景の解説や、二次加害にならない言葉がけや知識など実践的な内容を学びました。

齋藤梓先生の紹介

臨床心理士、公認心理師、博士(心理学)として現在、上智大学総合人間科学部心理学科准教授、民間被害者支援機関犯罪被害相談員をされています。上智大学大学院修了後、臨床心理士としてスクールカウンセリングや精神科クリニックでの心理臨床、HIVカウンセリングなどに従事され、2008年からは民間被害者支援機関にて犯罪の被害者や遺族の心理支援に携わられています。


1.【神谷絢栄の作品紹介】


神谷:現代美術家の神谷です。私は、自身の性暴力被害体験を基にインスタレーションや映像作品を制作しています。どうぞ、よろしくお願いいたします。
現在、最新作の「風の噂 2023ver.」というものがTOKYO MIDTOWN AWARD 2023 に入選し、東京ミッドタウンで展示されておりまして、今こちらに写っているのが、その作品の写真です。

《風の噂 2023ver.》


くじを引く様子
抽選器に入っているくじの内容


作品内容に関する注意書き

作品を通して、性暴力の二次加害を可視化する

この作品は、性暴力被害の被害者に対する二次加害をテーマとした作品です。実際にどういう作品なのかというのをこれからお話ししていければと思います。

この作品は私自身の性暴力被害体験とそれに伴う二次被害の経験というのを元に制作した作品です。
現在、日本では性暴力被害者の約60パーセントが被害を誰にも打ち明けていません。その理由として最も多いのが、「 恥ずかしくて誰にも言えなかった」というものです。私自身も根拠のないレッテル張りや、誹謗中傷を受けるたびに、被害を公にすることの難しさを日々実感してきました。
そこで私は、性暴力被害者に対する社会の風当たりを視覚化するエアー抽選機を制作しようと考えました。
エアー抽選機というのは、例えばショッピングモールなどによく置いてあるような、空気でくじが回っていて、誰でも取れるみたいなもので、そういうエアー抽選機を制作しようと思いました。具体的には、性暴力被害者に実際に投げかけられた言葉というのを、くじ引きできるエアー抽選機を制作して、被害者に対する現状の社会の風当たりの強さというのを視覚化し、明らかにしたいと考えています。
本作のくじ引き体験を通して、「社会から与えられるイメージを選べない」という被害者の状況に目を向けてもらいたいなと思っています。
実際に被害者の立場に立って社会を見つめ直すことで、「被害に遭ったこと=恥ずかしいこと」と感じさせる社会を変えていくきっかけを、この作品を通して発信できたらと思っています。

web記事についた読者コメントをもとにくじの内容を作成

では実際に、くじの内容やリサーチ方法についてお話ししていきます。くじの内容は、性暴力を報道した記事に対する読者コメントへのリサーチを通して決定しています。
具体的には、このスライドに映っているような内容です。

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