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巨人の肩であそぶ

ゴールデンウィークのマイクラワークショップに続いて、夏休みにも親子ワークショップをしてみました。今回使ったのはUnityです。

2021年の夏は緊急事態宣言下で外出しにくい環境でもありました。そんな中少しでも夏休み感を出すために、小旅行に行ったつもりの予算と、1日1時間合計30時間の父のプロ稼働、これらを確保して夏休みスペシャルバージョンで挑んでみました。

父的にはもはやワークショップではなく仕事なのでは…?というハードモードでしたが約1ヶ月のワークショップレポートです。

進化するオープンソース文化

Unityにはアセットストアという仕組みがあります。3DCGで作ったモデルや世界など、プログラムのパーツ、それらを組み合わせたプロ用のパーツまで、様々なものがお手頃価格で売られています。ゲーム用のアセット販売をメイン事業にする会社すらあらわれています。私はこれをオープンソースコミュニティの進化系だと捉えています。

日々の家庭での料理、私達は米、肉、野菜。料理で必要な材料をスーパーで買うことができます。これがもし、1からお米や牛を育てなければいけない世界では大変です。市場があり、ストアがあるから、売り手と買い手が繋がり、気軽に色々と料理を作れる世界が成立する。同じようなことがデジタルの世界でもいま起き始めています。

ということで、今回はこのアセットストアを使いたおして作っていくことにしました。まずは、舞台となる世界、建物、家具などのアセットを購入。キャラクターはMixamoで入手。このサービスも素晴らしくキャラクターや人物のモーションデータが無料で手に入ります。

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ここまででできたのがこちら


世界のもと:2500円
キャラクター+モーション:0円
インテリア:6900円
小計:9400円

AR

お気に入りのキャラクターが動いて踊るようになったので、次にそれを現実の世界にも登場させてみることにしました。最近のスマートフォンにはARを使うためのカメラやソフトが整備されています。とは言え、0から全てを作りだすと時間がかかるのでNoCodeで作れるパッケージを元に改造して使いました。パッケージとは調理が簡単な冷凍食品のようなものです。

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もう1つ購入したのは影用のアセット。3Dキャラに対して影をリアルタイムでつけようとすると、シェーダーという3Dプログラミングの専門的な領域のコードを書く必要があります。しかし、私には聞いたことがある程度の専門知識しかありません。そこで、アセットストアで検索してみると完成度が高そうなものが見つかりました。お値段は500円。わずが500円で自分の知らない専門領域の職人の技が購入できるのなら安いものです。このように、完成した冷凍食品のようなパッケージから、こだわりのスパイスのようなニッチなニーズにも対応しているのがUnityのアセットストアの魅力です。

ARパッケージ:9500円
ARの影:500円
小計:1万円
中計:1,9400円

LiDAR CAM

デジタルtoリアルの次はリアルtoデジタル。最近のスマートフォンに搭載されているLiDARセンサー。物体との距離の計測が可能で自動運転にも使われている先端技術です。この技術を使ってリアルのものを3Dデータにスキャンするアプリが各種出ています。この3Dスキャンアプリを使い子供が工作で作ったものや、お気に入りのぬいぐるみをスキャンして取り込んでみました。デジタルの世界に自家製栽培の野菜を取り入れるような試みです。

LiDARスキャンアプリ 610円
小計:610円
中計:20,010円

AI

最後はAI。自分のキャラがダンスをすると、オーディエンスの動物や人が集まってくるようにしました。ここで使用したのがAIです。Unityにはキャラクター移動用のAIが用意されています。ゴール地点を教えてあげると、ゴールまでの障害物をAIが良い感じに回避して移動してくれるのです。AIの力で世界に活気がでてきました。かつてAI脅威論のテレビ番組を見て「AIにお仕事を取られないようにがんばりたい!」と言っていた娘のAI感も少しポジティブになったのも良かったです。

群衆で動く動物:4000円
小計 4000円
合計:24010円

巨人の肩に乗る

合計24010円。ゲーム、AR、LiDAR、AIと最新技術で遊びたおせました。実はワークショップ企画中はもっと簡単なものを想定していました。

2万円弱と、30時間の稼働でここまで色々作れたのは、Unityとアセットストアという「巨人の肩の上」に乗れたからです。巨人の肩に乗るとは、先人の積み重ねた発見の上に新たな発見をすること。アイザック・ニュートンの「私がかなたを見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩の上に乗っていたからです」という引用が有名です。論文検索サービスGoogle Scholarのトップページにもこの一文が掲げられており、科学や技術進化の営みをあらわす言葉としてよく使われています。

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ワークショップをしていて、この「巨人の肩の上」という言葉を思い出しました。巨人の肩の上で遊んだ1ヶ月だったなと。

世界の時価総額ランキング上位がIT企業で占められる今の時代。最新のAIテクノロジーが自動運転のような新しい世界を切り開いています。最近ではメタバースという概念も話題です。デジタルの力は単なる巨人を超え、もはや進撃の巨人のような存在感すら持っています。

STEAM教育やプログラミング教育。科学技術に関する教育が盛んです。これは言い換えると巨人の力の使い方教育です。教育というとどうしても巨人とは何か?のような話になりがちです。でも、大事なことは巨人の力を体感すること、その力を自分のものにすること。デジタルの巨人の肩の上にのせ、はるか彼方を見せてあげる。巨人の歩幅でノシノシと歩いてみる。そこから見える風景が子どもたちの未来へ踏み出す大きな1歩につながるのかもしれません。

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