2024-02 読んだ本とか
今更ですが、単なる感想メモなのでその時の気分でだ・である口調だったりですます口調だったりします。
本当に気分でしか使い分けてないのであしからず。
文學界 2月号
先月のうちに読むことが出来なかったので今月の記事に記載。
「大転生時代」「幅が広い踏切」「海岸通り」が良かった。
特に「海岸通り」は、以下のような感想メモを残している。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「本当」と「嘘」の話。でも実のところ本当と嘘なんて乱暴な二項対立で読み取る作品ではなくて、善意や悪意によってその境界線は曖昧にぼやかされていて、その融点を探りながらの読書感が心地良い。いや生々しい悪意は心地よくないけど。ともかくいい小説でした。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「幅が広い踏切」については感想メモは残していなかったが、とにかく最後の二十行余りが強く印象に残った。
ロボットと人、踏切を渡る行為、僕を信じるか、他人を信じるか。
直列と並列、「僕は死んでしまう」。あらゆる対立構造が短い文章の中で生じており、その象徴として「幅が広い踏切」を掲題する。それがたまらなく美しく、また快く感じられた。
放課後ミステリクラブ 1 金魚の泳ぐプール事件
何故か「2」から読んでいたので1も読みました。
キャラ紹介しつつ、ちゃんと本格ミステリっぽい構造で、「キャラクターが立っているミステリ」累計の性質を児童書という媒体で展開した小説。
女の子の服装や肌の傷を見て「最近黒猫を飼い始めた」と推測する下りがあまりにもホームズオマージュだな〜とか思ったけど、そもそも表紙のキャラの格好からしてホームズオマージュそのものだった。
よく考えたら合気道だって日本の武術、即ちバリツと見ることもできるし。
「2」を読んだときはミステリフリーク製造児童書だな〜とか思ったけど、「1」はシャーロキアン製造児童書なのかもしれん。
ホームズよりアガサ・クリスティ著作の導線のが濃かった印象あるけど。
サーチライトと誘蛾灯
去年9月くらいに買ったものの、部屋が汚すぎて紛失していた本。最近発掘されたので無事読了と相成った。
以下、読了時の感想メモ。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「サーチライトと誘蛾灯」読んだ 探偵役のキャラクターが軽妙で面白い! バラバラのピースががっちりハマっていくような感覚というのはミステリあるあるの読書感だけど、手がかりが明かされていくにつれて推量される「誰か」「何故」「どうやって」の範囲がガラリと変化するところが巧いなあと思った。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
らしいです。
男装の華は後宮を駆ける 鳳凰の簪
う~~~~~~~~ん。
まあ正直に言うと楽しめなかったのだが、読了した所感として「楽しみ方の方向性が違えばもっと面白く読めたのでは?」という疑念が浮かんできている。
表紙が美男美女のイラスト、「男装の華」とのタイトル、「ハイスピード高級ミステリ」との帯だけ見てうおおおおおおおおおおと思い購入したのだが、その時ぼんやりと(こういう話かな?)と想像していた話とはおおよそ異なる内容だった。
ミステリという言葉に引っ張られ過ぎたのかもしれない。想像より10倍くらいアクションシーンが多くて面食らった。
というか、推理じゃなくて戦闘やら潜入やらして力技で手がかり……というか、推理が必要ないくらいの動かぬ証拠を手に入れてばかりじゃないか?
挙句の果てに裏付けが全く取れない噂話を根拠にホワイダニットを展開しかけてたし。いやまあ、ホワイダニットってうまく調理できないと裏付け取れなくなりがちだけどさ……。
何にしてもミステリとして期待するのではなく、男装少女と貴公子の凸凹事件解決譚(ラブコメ展開もあるよ!)くらいの感覚で期待していた方がまだ楽しく読めたとは思う。
結局、ミステリらしいところよりもアクションシーンの多いラブコメアクションキャラクター小説みたいな読書感の箇所が多かった。まあ、ラブコメアクションキャラクター小説なんだろうけどさ。
楽しみ方が悪かった、ということで。
成瀬は信じた道をいく
お、面白い!!!!!!
個人的には前作「天下を取りにいく」より面白いと感じた。前作は話によっては結構時間が跳躍していたり、成瀬が成瀬なりに動揺する場面があったりしたから(「ときめき江州音頭」のこと)、一話ごとに物語へ臨む態度を微妙に変化させながら読む必要があったのだけれども。まあコロナ時代の女子中学生に焦点を当てた話と高校卒業に伴うコミュニティの解体に焦点を当てた話が同じ本に入っているとなれば、それも当然かもしれないが。
その一方「成瀬は信じた道をいく」は、全編成瀬以外の視点から構成されており、”他人から見た成瀬あかり”及び”成瀬あかりと接して変化していく語り手”というような物語で構成されており、読み手としての受容の仕方を変えなくてよかった。
前作と比較して、今作は一貫して成瀬あかりをヒーローとして描いているのだ。それがなんと心地のよかったことか。
「信じた道をいく」成瀬の生き生きとした言動が周囲へと影響を与えていく過程を読んでいると、「天下を取りにいく」のその後の物語が読めてよかったという嬉しさがじわじわと湧いてくる。「信じた道をいく」からの一癖も二癖もある新たな登場人物が、宮島未奈氏の情緒を想起しやすい簡潔な文体で以て描かれるうちに、愛着がわいてくる。
そうして、最終話の「探さないでください」。「ありがとう西武大津店」ぶりに島崎が語り手となるこの短編は、前作最終話「ときめき江州音頭」と対比させていたり、愛着の湧いた登場人物が大集合していたり、大団円だったり、すっきりした読後感をもたらすのにこれ以上ないくらいの要素が詰まった傑作だった。
エンターテインメント小説の模範というのはいささか褒め過ぎかもしれない。しかしながら、満足度の高い小説であることは間違いない。
おすすめです。
東京都同情塔
めちゃめちゃ面白い!
芥川賞受賞作。著者の九段理江さんはいつかの文學界で「しをかくうま」を読んだくらい(ちなみに私はあれを純文学版ウマ娘と呼んでます。最悪(なんか単行本出たらしいから再読しようかな……))。
生成AIを用いているという噂は聞いていたけど、詳しい話はなんも知らない状態で読み始めた。
以下、読了直後の感想メモ。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「東京都同情塔」読んだ ぐわー面白すぎる! 文章生成AIを用いているとは聞いていたけど、実際読んでみると文章生成AIの文章に対する非人間性やら空虚やらを再三定義した上で「レイシストの偏見に満ちた外国語の記事をAI翻訳させた」という体で文章生成AIを語り手に採用するという発想が天才的にインタレストかつ性格悪すぎて膝を打った 考えてみれば語り手として生成AIを採用する行為そのものが「言語」の強烈なエクリチュール足り得るんだな その上で漢字とカタカナだったり、差別と多様性だったり、道場と憎悪だったり、〜べきだ、と受容だったり、様々な対立構造が入り組んでいて様々な味わいがある小説だった 面白い!
「レイプされた」と語っていた牧名沙羅が「東京都同情塔」を建てることそれ自体が世界に対するレイプとなるんじゃないか、「性加害者は生きているべきじゃないから、一秒も」と発話していた彼女が「私の中に出たり入ったりする」「東京都同情塔」を建てるということはどういうことなのか、というのを考えると最後のシーンがかなり味わい深くなるな
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
らしいです。
個人的には「レイシストの偏見に満ちた外国語の記事をAI翻訳させた」という体で生成AIを語り手に採用する(実際の書き手は著者)ということをやってのけられた時点でもう降参ってくらいに素晴らしい読書体験を得られたと思っている。
生成AIを作中で用いる行為そのものが「言葉」のエクリチュールとして成立すること自体が発見だろ。そりゃ芥川賞も獲るわなあという感想。
とはいえ筋書きが面白いタイプの小説かというとそういうわけではないので、賛否両論分かれるのもある程度致し方ないのかなという感じはある。
紫式部と清少納言 二大女房大決戦
はぁ~~~~~? なんじゃこりゃ?
序中盤は結構楽しく読んでたというか、そもそもこれ買った経緯が「小競り合いばかりの二人が、霊鬼探しでまさかの共同戦線!?」とかいうカバー裏のあらすじ見て「は? 紫式部と清少納言は活躍していた時代が微妙に異なっているのにバディ小説として描く気か? 歴史愚弄小説来ちゃったねえ」というところで逆に興味を惹かれて購入したという、端からマイナスの感情ありきのものだったのだが。
しかし意外にも丁寧に紫式部が宮中入りする過程を書いており、普通におもろいじゃんちょっとノリがライト文芸すぎるけど(まあライト文芸やしそこツッコむのは野暮や)と、存外好感触で序中盤は読み進められた。
印象が悪くなってきたのは紫式部と清少納言が本格的にタッグを組み始めたあたり。
というのも霊鬼が本当に定子様なのか確認するために調査している、つまり「霊鬼の正体」という謎を解くための「現地調査」をするという点でミステリの構造を呈し始めているのに、そのトリックが単調というか、根本的なところでトリックですらなく、「こうすれば霊と見間違えられて正体割れんやろなあ」という犯行動機があるだけで、その犯人は該当場面が初登場のキャラクターだった。
これだけでも相当ノックスの十戒に抵触しているが、最終章にて物語外で犯行シーンが目撃されたことを理由に真犯人を特定したこと、その直前に心霊現象バトルを起こしたこと(超自然現象の発生は謎解き要素に直接関わってさえいなければ問題ない……とはいえ、最終章にて紫式部の殺害未遂を実行した犯人当てというミステリには思いっきり抵触するから、やっぱりノックスの十戒に違反してるじゃん!)とか、まあそりゃ「男装の華は後宮を駆ける」と違ってミステリだって宣伝はしてなかったけどさ……。
でも一応ミステリの形式取ってるんだからある程度ミステリの文脈で書いてほしいんですけど~~~~という感情でいっぱいになってしまい、まあ正直相当気分悪いです。
あっちと違って完全オリジナルというわけでもなく、歴史という下敷きがあるから余計に心象悪いというのがね。
変な家
去年購入したものの、少し読んで積んでいた本。なんか気付いたら文庫版が出ていたので慌てて今月読んだ。映画もやるし。
そういえば俺オモコロで雨穴さんの記事読んだことないんだよな。こんな(累計100万部作家になっちゃった)状況だともうホラーネタ全部出版するんじゃっていうか、オモコロに記事卸すことあんのかな。もったいないことしたかもしれない。
それはともかく本の感想。う〜〜〜ん…………。
なんか、俺はそう感じたっていう前提でものを話すと、これホラー小説じゃなくないか? ホラーの演出の仕方がサスペンス小説のそれっていうかさ。個人的にホラーって「得体の知れない存在が危機をもたらしてくる」類型の物語のみ分類できるジャンルと思ってて、別にこの条件に該当しなくても読者を怖がらせることはできるとは思うけど、その場合ホラーよりも先に分類されてしまうジャンルが存在しちゃうと思うんだよな。この小説のジャンルは何ですかって聞かれたとき、一言目に「ホラー」が挙がるような作品にはならないっていうか。
それでいうと「変な家」は第一義のホラー小説じゃなくて、構造上はミステリ、というよりサスペンスの流れを組んでいると思う(ミステリ小説の構造ではある。新本格じゃないけど、ミステリではある)。
でも、「クライマックスで明かされる、恐ろしい真実に恐怖する……」みたいなやつって特に文章ベースだと想像力豊かじゃない限り恐ろしくないような気がするんだよな。
別に登場人物に共感しながら読むわけではない類の読者、いや俺のことなんだけど、そういう読み方していると「恐ろしい真実」に触れても「ふ〜ん」で終わっちゃうというか。
そういう点では、語り手が恐怖体験を味わうホラーのが臨場感あっていいよなと思う。いや別に、語り手が三人称でもいいんだけど。「変な家」は第三者の憶測ベースで進行しているから、その辺臨場感が足りなかった面はある。
と、ここまでグチグチ言ってきたけど、「恐ろしい真実」についてはまあ確かに恐ろしいなあと思ったし、これはミステリ小説としての受容の仕方になってしまうけれど、部屋の図面のみを手がかりに推理を進行するのは純粋に知的遊戯として面白かった。
だけどそれってホラー小説として受容してるわけではなくて、だからこそ、今度劇場公開される映画がどんなクオリティなのかめちゃめちゃ気になっている。
「ホラー」という点では正直物足りないこの作品をどのように映像化するのか? 今回読むことによってかなり気になってきた。
あとやっぱり、流行ってる本は賞味期限が切れんうちに読むべきやなとも思った。
っていうか普通に雨穴さんが結局一番得体のしれない存在でしょ。あの人が一番ホラー。
助手が予知できると、探偵が忙しい
うおおおおおおおおおキャラクターが立っているミステリ! キャラクターが立っているミステリだ!!!
キャラクターが立っているミステリを読むとキャラクターが立っていると思う。
という、いつものキャラクターが立っているミステリ読んだときの作はさておくとして(こういうミステリを一度でいいから書いてみたいと思っていることの現れです、この発作)、感想。
なんかすげー文字大きくない? 文春文庫ってここまで文字大きかったかな。角川文庫とかより、1.2倍くらい文字サイズ大きい気がする。つい最近も文春文庫読んだ気がするんだけどな。まあ後で確認しよう。
それはともかく内容について。女子高生の「予知」を鍵にして進んでいくミステリ。「予知」をある程度は信頼できる情報とした上で推理を進行していく謎解きが提供されている。
特殊設定ミステリというべきだろうか? 火9か水10のアイドル主演ミステリドラマに採用される程度の特殊性だけど。
これがもうちょっと複雑になると2、3時間くらいのスペシャルドラマになってくると思う。世界観があまりにも現実世界と異なりすぎると、週1放送するのに向かなくなってしまう。勿論、重厚な分だけ濃密な視聴体験を届けることが可能になるわけで、その良し悪しは一概に決められるものではないけれど。
加えて言うとレギュラー放送だとしても重厚な体験させてくれるドラマはいっぱいあるわけなんだけど(去年の話になるけど「VIVANT」とかね)、まあ大きな主語使ったことによる語弊潰しはこのくらいにしとこう。
ともかく、軽いか重いかでいったらかる〜い、気楽に読める感じのミステリだった。
そもそも表紙からして明らかにかる〜いミステリというか、表紙の女子高生と「探偵」の文字見つけて「かる〜いミステリ読めそう!」と思って買ったのだが。
そんなわけで読みたいものを読めて結構満足している。
どのように生きてきて、現在どのような性格で、そのためどのような行動を取るのかが軽い筆致でするするっと頭に入ってきて、ミステリの手がかりも明示的でわかりやすく、「あれ? そんなもんあったっけ?」っていうことが起こらない。
それでいて意外なものが手がかりとなる場合もあり、ミステリとしても結構満足することができた。
あとやっぱり女子高生の子がかわいいのが良かったな。快活で、でも肝が座っていて、どこか抜けているところもあり、何より予知能力がある。ミステリ部分が予知の結果を軸にしていることもあって、予知能力者にスポットライトが当てられるのは展開上必定なんだけど、それが愛らしく可愛いキャラだったのがよかった。
容姿の描写は物語内でも言及されてるけど、それより作中の言動で可愛らしい行動をしてくれると文章上だけでも可愛さが伝わるというか。説得力があるなと思う。
っていうか、いきなり押しかけてきた予知能力持ちの女子高生がなんやかんやあって助手として合鍵持って事務所の掃除や買い出しするようになるのだいぶ理想じゃない?
なんか、それこそアイドル主演のドラマの題材になりそう。
夏目漱石ファンタジア
ファンタジア大賞で金賞を貰ったらしいトンチキ小説。
受賞の報を聞いて以来、俺にしては珍しく発売日をチェックするほど楽しみにしていた。
以下、読了直後にblueskyで書いた感想ポスト。
とのこと。
個人的に「文豪の名を冠するからこそ展開や設定、世界観等にある種の説得力が生じている」点がツボだった。
楽しい読書体験が得られたと思う。
八月の御所グラウンド
万城目学がなんと直木賞を獲ったので記念に購入。
万城目学は「鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」しか読んだことなかったので、これが3冊目。「偉大なる、しゅららぼん」とか「プリンセス・トヨトミ」とか、年単位で積んでるんですけども。
で、内容。
なんか、普通だな〜〜〜??????
面白くないわけじゃないし、なんなら女子高生駅伝を描いた「十二月の都大路上下ル」は面白かったけど(新選組を絡ませる意義はよくわかんなかったが……)。
八月の御所グラウンドはちょっとしんみりする話ではあったが、作中で生じる謎を「野球がやりたかった」にしていたところがプロ野球ファンとしては快く感じた。
……感じたけど! でも、「鹿男あをによし」の方が面白くないか???
どうにも物語が短いというか。「不思議な体験を経て主人公がどのように成長したのか」が「八月の御所G」には描かれてなくて、ただ「不思議な出来事」に遭ったところで物語が終わっている。
冒頭部、「八月の敗者になってしまった。」から始まっている以上、最終的に語り手が八月の勝者になることを期待して読んでいたから、そこで肩透かしを喰らったというか。いや、別にそんな期待をする方が悪いんだろうけど。
直木賞獲ったって話だから、無意識にエンタメに求めるハードルを上げていたのかなあ。
いい話だったのは間違いないのに、「読みたいものを読めなかった」という消化不良感が残る形となってしまっている。
何せ、「鹿男あをによし」や「鴨川ホルモー」はちゃんとエンタメを最後まで描ききっていたから。今回もそういう期待をしてたんだけどなあ。
まあ前二作(と言うには前すぎるけど……)は直木賞に似つかわしい作品ではないし、それに比べて本作は直木賞獲っても不思議じゃない作品ではある。
最近の直木賞は割と功労賞だし、そういうところで受賞したんだろうか、などと思ってしまった。
万城目学を期待して読んだら味が薄かったみたいな感じ。面白くはあるけど、うんと腹をすかせて読み始めたこともあって全然食べたりない、みたいな。
あんまりハマれなかった……。
わたしの幸せな結婚
ずっと気になっていたものの、後回しにしていた本。
「人魚のあわ恋」が発売されたこともあって、ようやく重い腰を上げて読んでみた。
で、感想だが、読了直後「うわー! 続編前提だ〜〜〜〜!!!」て感想が喉を突いて出てしまった。
美世に特殊な力が眠っていることが示唆されているのに、それが覚醒せずに終わったのがもやもやする。まあ続編で描かれるんだろうけど。
なんというか、美世に力がないと侮っていた生家の人々が「こんな力が眠っていただなんてー!!!」って形にならなかったのがしっくりこないんだよな。
もちろんぎゃふんとは言わされてるんだけど、いろいろチューホフの銃弾を回収した上で木っ端微塵に尊厳を粉砕してほしかったというか。
続編の為に残しておいているだけなんだろうけど、そのせいでざまあシーンがあんまり気持ちよくなれなかった。
その一方で仲を深めていくシーンは良かったと思う。
人物描写が丁寧で、どのような背景があってどのような育ち方をしてどのように人格形成がなされたのかをきちんと描写していた。
これによって、読者視点で登場人物に愛着を持てるし、悪役には憐憫や義憤を気持ちよく抱ける。
何より、主人公側がなぜ恋愛関係に至ったかが説得的に描写できるようになる。
序〜中盤の関係を深める場面では、ベタというか甘酸っぱい展開が割と多い。だが丁寧に人物を描くことで、ベタなシーンでも味わい深く感じることができた。酷い場合は「このガム味しないんだけど〜」になることとかよくあるから……。
まあでも、恋愛関係成立と並行してBSSが発生していたのはちょっと悲しくなっちゃったけれども。
総括すると、銃弾があんまり回収されていない点に違和感を覚えないこともなかったが、「まあ続きものだしな〜」で流せる範疇。それ以外は特に気になるところもなく、割と楽しく読めた。
でも続編はどうしようかなあ。とりあえず「人魚のあわ恋」読んでから考えます。
最強にウザい彼女の、明日から使えるマウント教室
総括
今月の途中からblueskyを始めた。
一度に300文字を投稿できるのをいいことに、読了直後の赤裸々な感想文を気ままにポストしている。
このエントリはそれらからの引用が多い。
もっとも、何にも考えず投稿しているため、語弊を生みかねない乱暴な物言いがかなり多いが……。
それにしても読書感想文エントリが一万字超えててウケる。
まあでも13冊だから、1冊あたり1000字いってないくらいの計算ではあるんだな。一部の本に文量が偏っているだけではあるけれど。
とりあえず来月は「文學界 3月号」か「オール讀物 直木賞発表号」から。
以上。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?