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短編小説

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私が書いた短編小説
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#短編小説

(終われない人たちに)タイトル未設定

 「メダカの学校は川の中……メダカ以外の学校はどこにあんすか」
「川の外じゃない?」
「ふうん」
担任の先生はちょっと笑いながら答える。保健室の隅。保健室の先生がベッドで休養している生徒に話しかけている。一ヶ月前から保健室登校を繰り返している。べつに何かあったわけじゃない。先生たちは私が急に教室に行かなくなったことを心配しているらしい。繊細そうにも、友人関係に不和があるようにも見えないからだろうか

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SF(幕間)

 (今まで書いた短編小説、連作だってことにしてなんかの公募に出せないかな!)

 真夜中の部屋に読書灯とLEDの時計が灯っている。もう何回読んだか分からない李箱の小説を読んでいる。灯りを反射してページの白さが眩しい。うつ伏せの姿勢で状態を起こして読んでいたので肘が痛む。だいぶ熱中して読んでいたようだ。時計を見上げたら思ったよりも時間が経っていた。ヘクザンの離脱症状の頭痛に耐えながら、タオルケットで

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ノウチラス

ノウチラス

 地上のレースカーテン。
紅茶を淹れる。どうってことない毎朝の習慣。淹れることだけが重要だ。一口飲んであとは捨てた。略したいことばかりだ。オガムドに影響を受けた。邪魔しないでくれ。
 それではやるぞ。俺はノートとペンを用意する。これもきまって毎朝のように。できなくなってしまったなら、できなくなってしまっても、とにかく足掻こう。ここは水中都市だから足掻かないと流されてはるか遠洋に。

 ノートに頭の

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キーウィ伝(複数の記述より)

キーウィ伝(複数の記述より)

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 何から書けば良いのかわからない。こんな感覚はあんまり無いな。いつもは構成ノートも無しに書き出そうと思えばなんだって書けるんだ。それが一辺倒に良いことっていうわけじゃないんだけど、語り始めようと思ってつっかえるのは慣れない感覚だ。紙の向こう、画面の向こうの人へ。
 それじゃあ何から書こうか。まずは私がいつも手元に置いている小さいノートのこと。百円ショッ

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カンガルーについての一考察

カンガルーについての一考察

高校二年生の冬に書いた小説
以下本文

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カンガルーについての一考察

有袋類は、はたして形態から自由なのか、不自由なのか。思考のうわべの部分でずっと考えている。膝を掻く。血が出る。左膝だけに茶色いカサブタが増えていく。カンガルーについて考える。それも、本当に考えているわけではない。小学生が将来の夢を考える程度に儚い。何分、何時間こうしているんだろうか

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