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Internet Explorerの呪縛は続く

いきなり昔話になりますが、マイクロソフト社がInternet Explorerをリリースしたのは四半世紀も前のことでした。

当時、普通の人にとって「インターネットを利用する」イコール「ブラウザでホームページ閲覧」でした。その普通の人がインターネットを簡単に利用するようになったのは、日本では1995年末にWindows95がリリースされてからでしたが、当時のウェブブラウザはNetscape Navigatorというソフトが全盛を誇っていました。ただしこのソフトが有料で販売されていたので、無料のマイクロソフトのInternet Explorerにどんどんシェアを削られていくことになりました。

若い人はウェブブラウザが有料だったことが多分理解出来ないでしょうけれど、そうだったんです。当然ながらダウンロードしてインストールというのもほぼ無かった時代ですので、あらゆるソフトウェアはまず間違いなくパソコンショップ店頭でのパッケージ販売されていました。Netscape Navigatorは4000円くらいでしたかねえ・・・。いくつかのソフトと一緒になってたと思いますが。

当然ながら有料よりは無料の方がいいのですが、残念ながら最初の頃のInternet Explorerは完成度が低く、同じページを表示させても再現度はNetscape Navigatorの方が上でした。しかし、無料かつWindows自体にインストールされていたこともあってどんどん普及していき、やがて業界標準としての地位を固めることになりました。

パソコン自体におけるOSのシェアはWindowsが圧倒的であり、そしてそのWindowsにおけるブラウザのシェアがInternet Explorerが圧倒的であった時代があったため、法人の利用、特に官公庁や銀行などいわゆる「お堅い」ページでのInternet Explorer利用が既定のものとなってしまった、という歴史があります。

以前の投稿で、未だにInternet Explorer必須とされているウェブサービスの問題と、EdgeがChromiumベースになる件について書いたことがありますが、そのリニューアルされるEdgeには「IEモード」が搭載されるそうです。

Chromium/V8版「Microsoft Edge」に“IE モード” ~今年後半にも導入へ
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/1183010.html
そこで、新しい「Microsoft Edge」では“IE モード”が新たに導入されるとのこと。わざわざブラウザーを切り替えなくても、「Microsoft Edge」の内部でレガシーコンテンツをシームレスかつ忠実にレンダリングすることができる。IEによるレンダリングが必要なサイトの特定には、既存のエンタープライズモードサイトリストが利用できるようだ。この機能は、今年後半の導入が予定されている。

EdgeがChromiumベースになることで、Edgeそのもののアイデンティティというか、なんのためにEdgeを使うのか(なぜGoogleChromeをつかわないのか)という命題がマイクロソフトには突きつけられていましたが、ある意味、これも解答の一つなんでしょうね。

『Edge(IEモード)を使えばInternet Explorerと同じように、(くそみたいな)IE必須のページも使えますよ!』という焦土戦術のような解答ですが。

このIEモードの搭載によって、予想されることは二つあります。

一つは、マイクロソフトがEdgeをWindows10だけでなくWindows8.1やWindows7にもインストールさせてInternet Explorerを完全にサポート外のお払い箱にすることです。これはマイクロソフトとしてもずっとやりたかったことでしょうから確実でしょう。

そしてもう一つは、これまでIE必須だったウェブサービス・ホームページがこれまで同様IE必須のままであり、そのページの端っこに「EdgeのIEモードでご利用ください」という説明が追加されるだけで存在し続けるであろう事です。

新しいEdgeはChromiumベースになることで、macOS版も出るそうですが、MacのEdgeでもIEモードって使えるんでしょうか? さすがに使えないでしょうね。使えたらむしろ革新的なアップデートになってしまうのですけれど。

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