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芸能人YouTuberの登場と、旧来のテレビ番組製作手法の危機

芸能人、それも毎日テレビに出ていてもおかしくないランクの芸能人もYouTubeをやるようになりました。

それぞれやその後ろにいる事務所とかには色んな思惑があるのだとは思いますが、その芸能人のファンにとっては喜ぶべきことでしかありません。

その一方で、そのYouTube動画をファンが見ている時間は、おそらくテレビ番組は見られていません。テレビ番組に出ている芸能人がYouTubeにも動画を出すことで、言い方は悪いですがテレビ番組・テレビ局の邪魔、利益を奪っているとも言えます。

テレビ番組の評価は基本的に視聴率で行われます。その他メディアや評論家、あるいはSNSでの評判などで総合的に判断されますが、特定の芸能人のファンにとっては番組内容よりはその人本人をずっと見ていたいという気持ちも当然あります。

番組そのものの面白さを楽しむ視聴者も当然います。むしろそちらの方が多いかも知れません。しかし、民放のテレビ番組では無料で提供されるため、視聴率を稼いでスポンサーへのアピールが第一となります。面白さ・満足感を後回しにしてでも視聴率最優先になり得ます。今さら批判するほどのことでもありませんが、CMまたいで無理矢理注目を伸ばそうとしたり、次はこの内容!という過剰なアピールだけをして実は次週に先延ばししたり、中途半端な時間であるXX時54分始まりの番組などは枚挙に暇がありません。

視聴者が番組を見ていてちょっとイラついたり不快になったりするような手法を使ってでも、視聴率を稼がないといけないのは民放のビジネスモデル故なのでどうしようもありませんが、そういったことを行わない手法をストリーミングサービスが行ってきたら対抗のしようがなくなります。

有料配信サービスであれば視聴者の満足度が最優先となります。嫌がられるような引き延ばしなどする必要がないのです。これはテレビ局に誠意が無くて、配信サービス運営会社が誠意があるということではありません。ビジネスモデルの問題です。

動画配信サービスでのちゃんとしたドラマなどだけではなく、YouTube動画などでも同様です。そういった動画であれば、引き延ばしするよりも、むしろ少しでも間延びした部分を細かくカットすることもあります。見る側を飽きさせず、再生から離脱させないようにしています。

また、冒頭に書いたようにファンにとってはテレビ番組を見るだけではその芸能人を応援している感があまりありません。自宅に視聴率測定器が無い視聴者にとっては、自分が見ていてもサポートしていることにはなりません。YouTubeなりその他の配信サービスで見れば、ごくわずかながらも自分が好きな芸能人を支えている実感を持つことが出来ます。投げ銭システムがあるライブ配信などですとさらに直接的なサポートが行えます。

ラジオでは聴取率測定をradiko経由に切り替えたことで、radiko経由で番組を聴くことがサポートに直結しますが、テレビではそうではありません。

ファンと芸能人がテレビ番組を介して薄いつながりを持っていた時代から、ネット経由で直接関われるようになってきました。それが原因でトラブルも当然あるでしょうけれど、この流れは止まらないでしょう。

ムービーとしてのクオリティには当然、テレビ番組と個人配信には大きな差があります。しかし、その差を現状のテレビ番組の製作手法が縮めてしまっているとしたら、皮肉というより他ありません。テレビを見ずにYouTubeを見るようになったのが単に時代の流れだけだとは言えないでしょう。

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