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仮想通貨は通貨ではない。「暗号資産」への名称変更は進むか

ビットコインが最近また値上がりしているそうです。

ビットコイン100万円台の回復目前
https://crypto.watch.impress.co.jp/docs/news/1181154.html
仮想通貨の代表格であるBitcoinの価格は、2017年7月以降に急騰し、同年12月18日には1BTC=240万円台の最高値を記録した。その後、2018年1月と同年11月に急落し、同年12月15日には35万5000円台という同年最安値をつけた。2018年はBitcoinだけではなく、仮想通貨市場全体が下落基調で取引低迷という局面だったため、仮想通貨の取引で利益を出すことが難しかったと言える。
なお、2019年の仮想通貨市場は全体的に回復傾向にある。2019年5月31日の深夜1時には1BTC=99万円台まで回復し、本稿執筆時点の同日8時は90万円台での荒い値動きとなっている。

一昨年のピーク時に比べるとまだ半分程度の値段ですが、まだ上がっていくかも知れません。もちろん下がるかも知れませんが、ビットコインを始めとする、いわゆる「仮想通貨」が通貨として利用しづらいのはまさにこの点にあります。すなわち、価値の上下の動き(ボラティリティ)が激しすぎるという点です。

もともとはウェブ上の決済手段として、従来のカード決済やネットバンキングよりも遙かに安い手数料、簡単な手続き、ブロックチェーン技術による信頼性(改ざんの不可能性)を持つサービスが本来の特徴でしたが、ブームになった原因はビットコインを求める人が多くなれば高値で転売出来るのではないか、という投機熱です。投機を目的としているので、モノを買うための決済手段として使用する人がいないことになります。値上がりを待ち続けるか、値上がりしたら換金するかのどちらかですから。

ビットコイン、再値上がりでも変わらぬ事実-誰も買い物に使わない
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-31/PSCY0P6TTDT901
仮想通貨の代表格であるビットコインは再び値上がりして話題を集めているが、変わらぬ問題を抱えている。投機的な取引を除き、ほとんど誰にも利用されていないという事実だ。

投機として購入されることにより、ビットコインなどの仮想通貨が値上がりし続け、そしてバブルの常として急速に値下がりすることが、かえって通貨の代用手段として使いづらいという欠点をもたらしました。

ただ、そもそもビットコインは総量が最初から決められています。現在は10分ごとに12.5BTCずつ発行(発掘)されていますが、2100万BTCが発行されるまで、ビットコインの発行速度は4年ごとに半減するということになっています。最初のうちはたくさん発行されて、少しずつ発行が減っていく、という仕組みになっています。

一方で、各国で採用されている管理通貨制度では発行される紙幣・貨幣の総量は決められていません。経済が発展・成長する限りその通貨の総量は増え続けるはずです。

この点においてビットコインなどの総量が決められている仮想通貨は決済手段としての通貨たり得ないことは明らかです。人口もモノも増えていくと、モノの価値とビットコインの価値の釣り合いが取れなくなります。

むしろビットコインなどの仮想通貨は、金やプラチナなどの貴金属・資源としての性質の方が近いと言えます。
金(Gold)も地球上に存在する総量は限られています。無限に金が増えていくことはあり得ません。人工的に金を生み出す技術が出てくるのはまだ相当先でしょうし、その技術が出たときには金の価値はゼロに近くなるでしょうからここでは考えないものとします。

地球に存在する金の総量は限られていますが、現在でも発掘は進められています。しかし世界経済の発展スピードと同じペースとは限りません。金の価値は経済状況や他の通貨の価値変動によって上下します。資産運用する中で、ドル(米国株や米国債)を買うこともあれば、ドルを売って金を買うこともあります。

一方で、金を決済に直接使用することはまずありません。0.1グラムの金を吉野家に持っていって牛丼並1杯を食べられるわけではありません。金を吉野家の隣にある銀行か貴金属買い取り店に持っていって日本円に換金することによってはじめて吉野家で牛丼を食べることが出来ます。

金やプラチナの資産価値を支えるのは、
・総量がだいたい決まっている
・急激に流通量が増えない
・ほぼどこの国でも価値がある
・換金できる
・同額の通貨よりも保管が容易
・分割して利用(譲渡や換金)できる
という利点です。

そして、これらの利点は仮想通貨にも共通します。
決済手段として利用しづらいという点も同じですね。

そういった理由で仮想通貨は通貨と呼ぶのはどうかな、と思っていたら、先日、

仮想通貨を「暗号資産」と改称 改正資金決済法が成立 | 共同通信
https://this.kiji.is/507003106371322977
仮想通貨の呼称を巡っては、暗号資産を意味する「クリプト・アセット」という呼称が国際的に広く使われていることや、通貨という表現を用いることで円やドルなど各国の中央銀行が発行する通貨との混同を招く可能性があるとの指摘が寄せられていた。

こういうニュースがありました。
まさに我が意を得たりといった感じだったのですが、そもそも仮想通貨という日本語の名称自体に問題があったということかも知れません。

今後、どれだけ「暗号資産」という名称が一般的に利用されるかどうか分かりませんが、金融庁とかが証券会社などに通達とか出すんでしょうかね。

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