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リコールとマイナンバー

議員や知事など公職にある人を失職させる民主主義の安全弁として、リコール制度があります。

愛知県知事に対するリコール運動は大きな話題にもなりましたが、結局成立せず、また一部報道では不正な署名もあったいう報道もありました。そもそもリコールに必要な署名をチェックする仕組みが存在するわけで、そりゃ調べますよねって思います。

ただ、あの署名は直筆のみ有効というのも、巨大な自治体でのリコール案件ですと、そのチェック自体が膨大な手間暇をかけてする必要が出てきます。

リコールの仕組み自体は民主主義制度の健全さを保つために必要なものだと理解しています。しかし、それなりに厳密な本人確認を経て行われる選挙・投票によって認められた議員や首長などを、本人確認のほぼ不可能な署名によって失職や再投票させることが出来る仕組みというのは、そもそもアンバランスのような気がします。

もちろん、リコールにも投票並みの現実差を求めるわけにはいきません。リコールする側はたいていの場合は在野の立場であるのでまず無理です。というかそもそもリコールの署名に応じる人は当たり前ですがリコールに賛成しているので、署名の際に本人確認したとして、リコール反対派からすればその本人確認を真正なものとは認めがたいでしょう。

リコールの歴史的な成り立ちや法制度などを全く無視して単純に考えれば、電子投票と同じように署名も電子的に、それこそマイナンバー経由で署名が出来るようになれば便利だし、署名の有効性の調査も大幅に省力化出来るはずです。

もちろん、ユーティリティとセキュリティは二律背反の存在ですので、マイナンバーがハッキングされればメチャクチャなことになります。

現行のマイナンバーは使いづらさもさることながら、セキュリティ的に本当に安全なのかという疑念も持たれますし、そもそもこの番号を人に知られてはいけないという前提のシステムなのに、そのカードを身分証明書として人やお店に見せる使い方もあるという変な存在になっています。

本当に番号を知られたくなければ、Apple Cardや最新の一部のクレジットカードなどで実現したように、カード自体に番号が表示されていないものである必要があります。

マイナンバーをあらゆる用途に活用し、かつ利便性だけではなく安全性を堅固に保つためには、現行のままでは無理でしょう。多分、大幅にアップデートさせるか、一から作り直すかになりますが、ブロックチェーン技術も活用したものになってこそ、使い勝手も良くなるのではないでしょうか。

そうした技術が目の前に来るまでは当面の間、投票にしろリコール署名にしろ、手書きのみのままでしょうし、アメリカの選挙の混乱や他国からのハッキングを考えると、その方がむしろマシなのかも知れません。

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