宗教の弾圧と同化

毎日新聞でちょっと前に、中国におけるモスクの中国化の強制についての記事がありました。

イスラム教のモスクの強制的な建築変更や、ブルガ規制やヒゲ禁止など、イスラム教徒が知ったら怒るはずの強制的な同化政策なのですが、今のイスラム諸国はイスラエル(及びアメリカ)との戦いの方が忙しいのでしょうか。

別にこの中国政府の同化という名の弾圧を擁護する気はありませんが、国や文化が違うところに宗教が入り込もうとすると軋轢が生まれますし、溶け込むにはある程度の変化や現地への同化も必要でしょう。

その結果、その宗教の故地とは異なる形の習俗に仕上がることは珍しくもないはずです。

今の日本の仏教界と、紀元前のインド仏教とが同祖とはパッと見は思えないでしょう。

日本での仏典なんてみな漢字で書かれていますが、元はサンスクリット語のはずですし、そもそも元々は葬儀宗教でもありません。

インド→中国→朝鮮半島→日本と経由して行くにつれて、長い時間をかけて変容していきました。

キリスト教も多くの宗派があり、広がっていく中でもそれぞれ適応していっています。一部は異端扱いもされていましたが。

イスラム教に関しては仏教やキリスト教から比べるとだいぶ歴史的には新しい存在ですし、コーランもアラビア語しか認められていません(翻訳したものは注釈扱い)。

かたくなさが他宗教よりも強いと言えば強いのでしょうし、だからこそ、中国政府、特に習近平政権が厳しい対応をしているのかも知れません。

そう言えば、中国は歴代王朝においても何度も宗教弾圧がありました。三武一宗の法難と呼ばれる、時の皇帝・政権による仏教弾圧が有名ですが、仏教以外の宗教も対象でした。脱税や徴兵逃れのために僧になって寺院に籠もる人が多すぎたことも一因でしたが、「駆け込み寺」という言葉が示すように、現世のトラブルから逃れるために宗教を利用することを、時の政府が嫌がって宗教弾圧に走る、という流れは、事の良し悪しは別にして、理屈としては分からなくもありません。

その法難以外にも、唐帝国の終わりに反乱を起こした黄巣が広州で多くのアラビア人を虐殺したこともありましたし、中国の伝統とイスラム教ってかなり相容れない文化なんでしょうかね。

今は中国経済によるマネーと反欧米的立場があって、イスラム諸国と中国の仲は良い方ですけれど、金の切れ目が縁の切れ目になる可能性はありそうです。

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