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半島の純粋な独立のための核武装?

バイデン大統領になってから、北朝鮮の非核化・米朝国交正常化についてはまだ大して進展はありません。バイデンがダメとかというよりも、多分誰が大統領でも非核化をストップして技術を廃棄させることは不可能でしょう。

元も子もない話ですが、北朝鮮にしてみたら現体制を継続するための虎の子です。イラン核合意もトランプとオバマ・バイデンでは真逆の対応となりましたが、合意があろうと破棄しようと非核化は出来ません。良くて現状維持です。

現行の北朝鮮国家体制が継続する場合でも、核技術は金一族にとっては支配体制のために必要です。それだけではなく、もしも統一国家が出来た場合にも核技術は大きな影響力を持っています。

現実的可能性はともかく、北朝鮮と韓国の統一国家樹立に際しての、北が南に優位に立てるのは核技術くらいです。今では先進国化した韓国とはとてつもない差が開いてしまっていますので、国家同士を比べたときに北朝鮮がアピール出来るのは核開発技術だけのはずです。

今の韓国の文在寅大統領やその派閥・政党・シンパにとっても統一国家は悲願です。そして当然ながら、韓国の保守派の一部以外にとっても悲願です。

そして朝鮮半島統一国家が実現したとしても、それを維持しないと意味が無いのはいうまでもありません。

ここで、北朝鮮の核開発を南の人たちも完全に否定できない理由が出てきます。なぜなら核武装は、周辺各国による干渉を朝鮮半島から歴史上初めてはねのけることが出来る手段だからです。

古代から朝鮮半島は他地域からの軍事進出が多い地域でした。今の中国付近、日本、それと沿海州あたりからは、2000年以上前から朝鮮半島への影響を及ぼそうとしてきました。

漢王朝による楽浪郡や帯方郡の設置、当時の日本による任那・加羅への勢力圏化や7世紀の白村江の戦い、あるいは、渤海・契丹・女真族などが満州・沿海州方面からの朝鮮半島進出など、半島内の国は対立・服属・独立を巡り巡ってきた歴史を持っています。

19世紀後半には元から関係のあった清朝、シベリアから南下してくるロシアと、大陸への足がかりにしたい日本との争いとなりました。日本による支配から脱しても、次は東西冷戦と朝鮮戦争によって南北分断し、今に至ります。

地政学的に朝鮮半島は、大陸と海洋からの勢力がぶつかる場所です。そのために完全に独立した国家形成は出来ず、とは言っても完全に国家が無くなっていた時代もそれほど長くはありません。その中間のような状態が最も長かったわけです。

経済力を付けた南の韓国と、核武装に成功した北朝鮮が統一することで、米中日露の周辺国からの圧力を無視できると考えている、民族自主独立派の人は結構いるかも知れません。

日本人にしてみたら、今さら朝鮮半島への軍事進出はしないとしても、目と鼻の先に射程圏内の核ミサイルが配備される状態は避けなければなりません。統一国家の経済力も日本にとっては重大なライバルになり得ますが、それに加えて核兵器による軍事的圧力が向けられると、今度は日本でも同じように……と考える勢力が出てくることは容易に想像できるはずです。

実際には核開発も半島統一国家も、周辺国家と対立してでも独立性を高めるのも簡単にできることではないでしょうけれど、もしもの時はどうするか、最悪の場合はどう対応するか、ということは考えておいて損はしないでしょう。

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