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学問の発展は論破ではなく止揚にある
ちらっとニュースで見ただけですので、本当にそんなケースがたくさんあるのかどうか知りませんが、最近の大学生での「はい論破」問題が起きているそうです。
アホらしくて特段言うことも出てこないのですが、あえて言うならそもそも論破して勝った方が正しい・偉いという考えが間違っているのです。強い方が正しい、勝った方が正しいという考えは、多分たいていの社会では受け入れられないでしょう。
学問の発展の歴史においても、論争があり、論破もありましたが最終的には異なる立場の考え方をも含めて、より高度に発展させた理論に止揚することで、新たな理論・学問が生まれてきました。「はい論破」では学問の発展になりません。
アインシュタインはニュートンを否定するために相対性理論を組み立てたわけではなく、ニュートン力学では説明できない現象を理解するために相対性理論を生み出しました。そしてそのアインシュタインも量子力学には理解に手こずりましたが、量子力学が間違っていたわけではなく、同様にアインシュタインも間違っていたわけではなく、両方の理論が結果的に必要だったわけです。
ユークリッド幾何学は数学の素人にも直感的に分かりやすいですが、非ユークリッド幾何学と比べてその二つのどちらかが間違っているのでしょうか? もちろんそんなわけはなく、どちらも成立しています。
学問の世界には絶対的な裁定者などいません。学会なり学術誌はあくまで相対的に学問的事実を認定しているだけです。誰かが勝手に理論を組み立てて「はい論破」で終わる学問などこの世に一つも存在しないのです。
朝から晩まで、ついでに夢の中でもずっと専門のことを考え続けているような人が世界中にいて、その人たちがまとまって
「どうやらこれは学問的に確からしいぞ」
と認められた学問的事実が積み重ねられて、あらゆる分野の学問が成立し、進歩していっています。
そしてその進歩が行き詰まった時に、これまで多くの人が省みてこなかった新たな理論が出てきてさらに進化していきます。
学問の進展なんて、非常に地味で目立たず静かに行われています。自分の理論が正しいという研究者だらけで、当然誰もがその他全員に対しての論破なんて出来ません。
冒頭のニュースを見た時にこの学生は何しに大学に行っているか疑問でしたが、このような記事が報道されて注意喚起されたという点では価値があると言えるでしょうか。それ以外の価値は無さそうですが。
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