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ちょこっと読書感想文「光のとこにいてね」一穂ミチ著

ちょこっと読書感想文第2弾。タイトルに惹かれて読み始めました。
今まで読んだことない雰囲気のストーリーで、少し緊張しながら読み進めました。

全く違う境遇に生まれ育った小学2年生の結珠(ゆず)と果遠(かのん)。
共通するものがないお互いに惹かれ合うけど、子どもの2人はどうすることもできない理由で、引き裂かれてしまいます。
でも、高校入学の頃に再会。当時の思い出を大切に思いながらも、それまでお互いが過ごしてきた時間を守り合いながら過ごします。このまま3年間、一緒に過ごせるかと思いきや、また2人に別れの日が来ます。
そして数年後、大人になった2人は運命的に再会。子どもの頃と違って、自分で人生の選択をできるようになった2人が、これからの人生をどう生きていくのかを見つけるお話です。


名前がない関係

この本を読み終わったときに、この2人の関係はなんだったんだろうと思いました。小学2年生の出会った頃は友達。高校生の頃は、心友(距離は遠くても、心が通じていると感じ)。大人になった頃はきっと、友達以上。でも親友とか、恋人とかの枠には収まらない気がしました。
私のこれまでの経験だと、名前がつく人間関係の枠に当てはまらない相手の人は、それほど深い関係にならなかった人がほとんどでした。でも、この2人の場合は、名前がつけられないくらい、深くて尊い関係だったんだと思います。友達や恋人という名前だと安っぽく聞こえるくらい。
全ての人間関係に名前をつける必要はないんだな、と教えられました。

「光のとこにいてね」

タイトルにもなっているこのセリフ。
最初は、小学2年生のときに果遠から結珠に告げられました。すぐ戻るから、今、太陽が当たっているその場所で待っていてね、と。
その後、このセリフは出てこないけど、2人の中でキーワードとして胸に残り続けている言葉です。
相手が、誰とどこにいてもいい。でもどうか、光が当たる場所にいてほしい。
幸せでいてほしい。そんな2人の切実な願いが込められている言葉なんじゃないかと、読み終わってから感じました。

この2人の関係が、最終的にどうなったのか、明確にはわからなかったけれど、どうか光が当たる場所で、笑って過ごせていますように。

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