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第1章【平成型人事制度のデメリット解消】目標管理制度と行動評価について

最終更新日:2024年5月23日

今回は、「平成型人事制度のデメリット解消」と題しまして、目標管理制度やコンピテンシー、賃金カーブ、給与レンジ等のデメリットについてご説明します。

特に本記事では、目標管理制度、コンピテンシー評価についてお話します。

*本記事は5分程度で読むことができます。

こちらでは当社代表の平康慶浩が2023年7月自社セミナーにて講演した内容を全3回にわたってご紹介します。本記事は「第1章」となりますので、ぜひ全ての記事をご覧いただけると嬉しいです!


「あたりまえの人事制度」の違和感

まずはじめに、下記の人事制度があなたの会社のものとどれくらい一致しているか考えてみましょう。

職能・職務による等級制度、目標管理と行動評価の併用など、上記の人事制度にはきれいな言葉が並んでおり、一見すると有用なものと捉えてしまいがちです。

しかし、実際のところ人事制度は会社によって相性があります

そのため、上記のような、ある意味でありきたりな人事制度を導入しても運用ができないことや、効果が得られない可能性は大いにあります。

今回の記事では、そのように導入してもうまくいかないきっかけとなる人事制度についてお話します。

曲げて導入された目標管理制度

目標管理制度は、いまや日本企業のおよそ7割以上が導入していると言われています。
しかし1990年代に日本に導入された際には、曲げて導入、つまり無理やり導入されることが多かったのです。

目標管理制度の一般的な理解

目標管理制度の一般的な理解は、「目標を立て、その達成度を評価し、昇給や賞与につなげる仕組み」です。

この仕組みは、「目標を立てると人は頑張りやすい」という心理的な背景に基づいています。

そしてこの背景は1960年代に学問的にも示されています。
「人を育成する時は性善説のもとで目標に向かって努力させることがよい」ということが、「人は期待されると成長しやすい」というピグマリオン効果と合わせて示されました。
これは、目標設定理論という心理学の理論ですが、ここで重要なのはこれは「目標管理」ではないということです。

本来の目標管理

本来の目標管理とは、1950年代、ドラッカーが提唱した以下の仕組みです。

本来の目標管理は、成果を出した個人の評価が目的ではなく、企業の目標の達成が目的です。

つまり先ほど述べた、一般的な目標管理制度の理解とは異なります。

またこの考え方の背景の一つとして、自動車で有名なフォードが挙げられます。
創業当時、車1台の製造に30日かかっていたものが2日で済むようになった革新的な製造手法で有名ですが、初代フォード時代(フォード1世)にはマネージャーが一切おかれずに、労働の質もひどい状態であり、倒産しかけたことがあります。
しかし、次の世代(フォード2世)にて、マネージャーの育成を始め、フォードの目標を皆で達成するために協力した結果、フォードは復活することに成功しました。

個人の目標から考えるのではなく組織の目標から考え、それを全員で達成するためのマネジメントが本当の目標管理といえます。

本来は評価基準ではないコンピテンシー

行動評価が広まった背景

コンピテンシー評価は1990年代に富士ゼロックスさんが初めて導入したと言われています。

そしてこの評価は、人の好き嫌いで評価する情意評価と、過去の実績の蓄積で評価する職能評価の代替手段として広まりました。

好きな人だけを組織に集める情意評価を今でも好む人はいますが、組織の人数が多い場合は好きな人だけを集める、ということは不可能です。

また職能評価に関してはその人の能力を評価する、という考え方自体はよかったものの、過去の能力を評価するため、「昔はあったが今はなくなった能力」も評価されてしまうデメリットがあります。

これらの代替として、コンピテンシー(行動)評価が広まりましたが、この効果を発揮できている会社はとても少ないのが現状です。

行動評価が有効にならない理由

一般的な行動評価は、以下の図のように自分では認識できていない部分を他人から教えてもらう、というものが多いです。

しかしながら、このような行動評価では従業員が成長しないことが多いのが現状です。

なぜなら、自分の認識できていないことを認識できたところで、それを改善しようと考えることが少ないためです。

つまり、自分が認識している行動でさえ変えること自体が難しいため、認識できていないことを他人が伝えてもあまり意味がないということです。

そのため、行動を変えるきっかけを作ることがより必要なことであり、さらにそのために必要なのは部下と上司の信頼関係です。
「この人に言われたことだから行動を変えなければ」と、部下が思わない限り、行動評価には意味がありません。

そのため、行動評価は上司への信頼が前提で効果が発揮される評価といえ、評価者(上司)の教育を徹底し、信頼を高めることが重要です。

さいごに

今回は、目標管理制度の本来の意義と、コンピテンシー評価を有効にする方法についてご説明しました。

目標管理は個人の目標でなく企業の目標から考えてその達成を目的とすること、行動評価は上司への信頼度を高めることが重要だと述べました。


次回、第2章では賃金カーブ、給与レンジ、洗い替え給与についてご説明しますので、ぜひご覧ください!

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