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大学生とミドル世代のキャリア観を比較

コロナ禍を経て、就職活動のあり方は大きく変化しました。インターンシップに関する制度も年々変化しており、現代はまさに就職活動の過渡期といえるでしょう。
転職においても、今やそれは当たり前の時代で、きっかけはポジティブな要因であると考える人も増えてきています。

そこで今回は、大学生の就活軸とミドル世代の転職軸を比較し、それぞれの目線から考えるキャリア観を考察していきます。

*本記事は5分程度で読むことができます。


就活軸と転職軸を比較

大学生の就活軸

2023年に行われた25卒学生10月就活動向調査によると、就活軸として、「業界/企業の安定性が高い」ことを重視しているのが62.2%と高いことがわかります。
次点で「事業内容に興味がある」ことを重視しているのが56.6%という結果になりました。

出所:https://www.hrpro.co.jp/trend_news.php?news_no=3302


ミドル世代の転職軸

2024年にエン・ジャパンが行ったミドル世代*対象の調査によると、転職軸として、「希望の仕事内容に従事できるか」を最も重視しており、その後、労働条件に関する項目が続くような結果であることがわかりました。

出所:https://corp.en-japan.com/newsrelease/2024/36887.html

*ミドル世代は、35歳以上のユーザーと定義されています。

https://corp.en-japan.com/newsrelease/2024/36887.html


大学生の就活軸とミドル世代の転職軸の結果を比較すると、仕事の内容が希望と合っているかを重視するという点が共通している一方で、企業の安定性を重視するという点で相違があることがわかります。

ここからは、相違点に着目して調査を進めていきます。
ここでいう大学生目線の企業の安定性とは何を指しているのでしょうか。

企業の安定性とは

あさがくナビ2023の調査によると、大学生目線における安定性が高そうだと思う企業の特徴の上位5項目は以下の結果となりました。

1.社員の定着率が高い
2.福利厚生が充実している
3.収益の柱が複数ある(多角的経営)
4.増収増益を続けている
5.大手企業である

出所:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2201/04/news017_2.html

社員の定着率が高いことや大手企業であることなど、その企業の実績に着目していることがわかります。

新卒就活の特徴

近年、新卒就活では「タイパ(タイムパフォーマンス)」を意識する風潮が強まっています。
デジタルネイティブであるZ世代は、日々多くの情報に触れて過ごしているため、日常的にタイパを意識している傾向にあるようです。
それは就職活動にも同様に影響しています。

HRproの記事によると、タイパを意識した就職活動のエピソードとしては、

・自分が重視する情報の収集には時間をかけるが、あまり重視していないものについては必要以上に時間をかけない
・就活のためだけにやらなくてはいけないことには時間をかけない

といったことが挙げられています。

つまり、就職活動においてタイパを意識するとは、就活の全プロセスに関して満遍なく効率化を図るのではなく、時間をかける領域とかけない領域の線引きを明確にすることであるといえます。


また、インタツアーが実施した調査によると、新卒就活においてタイパを最も重視する工程は、企業の情報収集であることがわかります。

必要最低限の企業情報を収集すれば、その後は面接準備などに多くの時間を割くことが多いようです。

インターン生による考察

ここまで、大学生の就活軸とミドル世代の転職軸を見てきました。

近年、新卒就活ではタイパ意識という新しい傾向が高まっており、これにより、収集する情報に偏りがあるのではないかと推測できます。
また、タイパを重視することで、一部では「就職活動」が自分の将来を考えるものではなく、単にこなす作業になってしまっているのだと考えられます。

新卒就活では、最低限の企業情報を収集するのみで、働くことに対する理解を十分に深められていないため、ミドル世代の転職軸と差が生まれてきているのだという可能性があります。

一方で、ミドル世代に対する転職軸の調査結果では、企業の安定性への言及はありませんでしたが、今まで就業経験があるからこそ、基本的な就労条件を除いて「企業の安定性に頼る=企業に依存する」ことに対して危機感があるのではないかと考えられます。
近年、ゆるブラック*という言葉も台頭してきており、企業が提供する成長機会に頼る姿勢はキャリアアップに弊害を与えるという考え方が広まりつつあります。

それをふまえたうえでミドル世代の転職軸を見てみると、希望の労働条件を確保したうえで、企業の安定性に頼ることなく自ら安定をつくりにいく姿勢があることが読み取れます。

*ゆるブラックとは、働きやすく居心地は良いものの、仕事のやりがいや成長を感じられず、スキルアップやキャリアアップも難しい職場のことであると定義されています。

https://www.adeccogroup.jp/pressroom/2024/0529_01


参考文献

HRpro「【25卒生の就活動向】Z世代のキャリア選択は「安定性」を重要視。就活開始は「大学3年4月まで」が最多で早期化続く」https://www.hrpro.co.jp/trend_news.php?news_no=3302

エン・ジャパン「ミドル世代3100人に聞いた「転職軸」意識調査ー『ミドルの転職』ユーザーアンケートー」
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2024/36887.html

ITメディアビジネス「「企業の安定性を重視」学生の9割、「安定性」が高そうなところは?」https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2201/04/news017_2.html

PRTIMES「【24卒~27卒 就活における「タイパ」についての調査】半数以上が「タイパ」重視。意識するタイミングは「エントリー時期」が多数」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000165.000058834.html

THE ADECCO GROUP「20代と30代の会社員および公務員・団体職員1,000人を対象にした「ゆるブラック」に関する調査」https://www.adeccogroup.jp/pressroom/2024/0529_01


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