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第2章 【オーナー企業の人事改革】オーナー対応と、企業タイプ別改革のポイント

オーナー企業とは、創業者やその親族、創業時メンバー等が社長・会長等となり、経営の第一線に立っている企業を指します。

セレクションアンドバリエーションは、人事改革こそ、オーナー企業が業績を高めるために非常に有効であると考えています。

そこで本記事では、以下の項目に関してご説明します。

  • オーナー対応の勘所(経営企画・人事部の方向け)

  • 企業タイプ別の人事改革のポイント

当社代表の平康慶浩が2023年3月自社セミナーにて講演した内容を全3回にわたって紹介します。本記事は「第2章」となりますので、ぜひ他の全ての記事もご覧ください!

第1章では、オーナー企業における人事改革の成功事例を紹介しました。

*本記事は5分程度で読むことができます。
*本記事を読むことで、オーナー企業の勘所を理解することができます。


オーナー対応のポイント

ビジョンを明確化する

まずは、企業規模に関係なくオーナーの思いを「言語化」することが必要不可欠です。
企業には経営理念が存在しますが、この経営理念はオーナーの本当の思いではないことが多いです。オーナーの本当の思いは、パーパスやビジョンに現れます。
経営理念にて人間尊重を第一にする、いわゆる感動経営を掲げている企業において、オーナーの本当の思いはその地域を盛んにしたいという郷土愛である、ということが一例です。

そのような、オーナーが本質的に求めるもの(パーパス)を明確化することでゴールが定まり、それに従った組織が出来上がっていくのです。

仕組化を行う

上記に述べたパーパスなどを事業計画に落とし込み、具体的な計画を実行できる企業は少ないです。現実的には、創業時の事業はパーパスをもとに行われていても、結局うまくいかずに思いつきで他の事業を推進し、その事業が主力となるケースがほとんどです。

ただ実際に、理想的にパーパスを計画に反映させ、具体的な計画で進めていくことは難しいです。
そのため、本記事における第1章でご紹介したような「仕組化」を行うことが取るべき対策となります。オーナーの思いを共有できる状態で、これまでの事業が自然な形で成長できる仕組みを設計することです。


ここでは、オーナーの意思決定に期待をしすぎず、現場はなるべく自分たちで事業をどう伸ばすかを検討し、工夫することが重要です。

では、どういった仕組みの考え方があるのか、ということについてご説明します。

仕組化のポイントを考える

日々同じ作業が繰り返されるルーティン化されている現場や、思いつきしか出てこないような経営状況を改善するには、具体的に何をすれば成長できるのかを考えることが必要です。
ここで、考えるべきポイントは3つあります。

①    既存ビジネスを掛け算の形に捉えられないか 例:S社
②    数値だけで管理できないか 例:R社
③    勝手に成長する状態にできないか 例:F・N社

これらの具体例は、第1章にてご紹介したのでぜひご覧ください。
①においては、人事×マーケティングの視点を組み合わせることでビジネス展開を容易にし、利益率を維持したまま店舗数を増やす、といった掛け算の形で仕組みを考えることができます。
②においては、KPIなどを設定し、最低限その数値だけ管理できれば問題はない、という状況にすることです。例えば飲食店においては、店舗数や客席数がKPIとして挙げられます。
③においては、従業員を自発的にする仕組みをつくることで現場が自然と活性化・成長し、売上も伸びる、といったことが例として挙げられます。

これらを考えることで、人事戦略も立てやすくなります。
では次に出てくる問題が、変革時のコストです。

コストの具体化と負担元の確認をする

昨今の急激なインフレなどに伴い、人事変革において人件費を上げることが必要不可欠になっています。しかし、変革の際にコストを上げることに抵抗がある企業が少なくありません。そこで、コストをどこから負担するかを整理することが大事になってきます。負担元としては次のものが挙げられます。

銀行融資、助成金、逸失利益、削減される費用


銀行融資、助成金に関しては、これらを負担元とするのが難しい企業もあります。
そして逸失利益は「本来であれば得られたはずの利益」を意味します。例えば離職率が10%から5%に減らすことができた場合、「ある従業員が退職しなければ本来得られる利益」、つまり逸失利益を獲得することができます。
削減される費用に関しては、離職率を下げることができれば、採用・育成コストが減るため、その分を従業員のインセンティブに回すことができ、さらに離職率が下がる、といったループをつくることができます。

また本質的には、顧客から受け取る収益を増やすことが重要なコスト負担元となります。

企業タイプ別人事改革のポイント

企業タイプ三種類(成長志向、安定志向、承継志向)ごとの人事改革のポイントをご説明します。

オーナーが現役で成長志向である企業

キーワードをシンプルにすることが有効です。オーナーが若く成長志向である場合、多くのことが視野に入っており、人事目線の提案をすると反発されることが多いです。そのケースでは、改革すべきポイントを1つや2つに絞りましょう。
また、ベンチャー企業など成長途中の会社は土台固めを先にやるべきである、といった話があります。しかし当社では成長しながら、さらに伸ばすための仕組みを徐々に固めていくことが良いと考えています。もし先に足元を固めてしまうと、変化が起こしづらく、売上横ばいの企業になってしまう可能性が高いためです。

オーナーが変化を望まず安定志向である企業

創業後20年以上など経過し、安定期に入っている状態にある企業は変化を望まない傾向にあります。また、若手もそれに気づき、若手の人材不足に陥る傾向にもあります。このような企業のオーナーは十分な報酬を安定的に得ることができているため、変革自体を望まず、コストもかけたくないと考える方が多いです。

この場合、変革コストを下げ利益拡大を目指す取り組みを進めましょう。キャッシュアウトを避け、部分的に、段階的に変革をスタートしていき、後にオーナーが成長しようと思えるようなきっかけを考えることが重要です。

社歴が長い承継志向である企業

社長が二代目、会長が初代、役員にいとこがいる、といったケースでは、1人で意思決定ができないことが特徴です。

この場合では、環境変化を共有することが重要です。今、環境がどう変化しているのかを認識し、その上で何を変えるべきなのかを確認することが必要です。ここで重要なのが、逆に承継を考えると変えられない要素は何かを検討することです。例えば、低迷しているが残したい祖業と、それに関連する新規事業が挙げられます。

まとめ

本記事では、オーナー企業におけるオーナー対応と企業タイプ別の改革のポイントをお伝えしました。

まずはオーナーの思いを言語化し、それを反映しつつ従来の事業が自然と成長できる仕組みとそのための変革コスト負担元を検討することが一連の流れだとわかりました。
また、企業タイプ別で変革の特徴が大きく異なることも留意点です。

次回の第3章では、コンサルタントを活用するメリットや改革フェーズごとの準備すべきことについてお伝えしますので、ぜひご覧ください!


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