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第1章 【オーナー企業の人事改革】人事改革がオーナー企業の業績を高める理由を事例とともに解説

最終更新日:2024年5月23日

オーナー企業とは、創業者やその親族、創業時メンバーなどが社長・会長等となり、経営の第一線に立っている企業を指します。

セレクションアンドバリエーションは、人事改革こそ、オーナー企業が業績を高めるために非常に有効であると考えています。


本記事では、オーナー企業の人事改革が業績を高める理由を、成功事例とともにご説明します。

当社代表の平康慶浩が2023年3月自社セミナーにて講演した内容を全3回にわたって紹介します。本記事は「第1回」となりますので、ぜひ他の全ての記事もご覧ください!

*本記事は5分程度で読むことができます。
*本記事を読むことで、オーナー企業における人事改革の重要性を理解することができます。


朝令暮改という言葉があるように、オーナー企業において、オーナーの気まぐれに悩まされる役員や従業員の方がいらっしゃるのではないでしょうか?

オーナーの気まぐれは一見悪いように思われますが、実はオーナーにはその企業を大きく成長させる知見や才能が備わっている可能性があります。

特に、管理職などの現場の方々はそのオーナーの気まぐれな意思決定に「オーナーは現場をわかっていない」などと嫌悪感を抱くことがあるかもしれませんが、そういった現場の方々がオーナーの意思決定を理解することが、企業の成長につながります。

では、実際にセレクションアンドバリエーションがご支援したオーナー企業の人事改革の成功事例をご説明します。


オーナー企業における人事改革の成功事例

R社:インセンティブで成長を仕組化し売上3倍

R社はハラスメント気質である社長(オーナー)を代表とする会社であり、社長によって売上倍増がひたすら求められるような環境でした。また、離職率の増加などの問題も生じていることで現場には採用の強化も求められ、現場はその社長についていけずに、まるでひたすら走り続けて疲弊しきってしまう状況にありました。

そこで、当社はR社に対し、以下の変革を行いました。

  1. 会社でなく事業単位でインセンティブを設定し、事業の成長に合わせて現場社員に報酬を還元する

  2. 権限移譲を行い、管理職に責任を持たせる

  3. 各事業ごとに目標売上は決定され、各事業の目標は達成されても売上合計が社長が掲げる値に達しない場合は、社長自らM&A等で帳尻を合わせる

結果として社員のリテンションにつながり、かつ現場が責任を持った上でオーナーの意思を経営に反映できる体制にできたことが売上倍増につながりました。


F社:幹部人材刷新によるビジョン共有

F社は、創業二代目社長をオーナーとする会社です。
二代目の社長はパーパスを明確化していた方ですが、同社ではそのパーパスが現場まで浸透していない問題がありました。現場の業務はマニュアルに忠実なものであり、個人最適にとどまるような環境にありました。
その環境には、現場が活躍しつつ会社全体として成長するための枠組みが必要でした。

そこで当社は、オーナーと現場の架け橋となる経営幹部充足のために、幹部人材における職務責任の明確化を行いました。
同社で活躍・昇進するために必要な職務を明確にすることで、新卒入社(プロパー)と中途入社の社員が同社の幹部に適した人材として成長・活躍しやすくなる仕組みになりました。

当初売上高300億円規模の会社でしたが、数年で600億円に成長しました。「オーナーのビジョンを現場まで浸透させるにはどうすべきか」を考えた仕組化を行いました。


N社:成功体験から脱却した自立経営

N社は、もともと大きな成功をした経験のある上場企業です。
オーナーが同社をけん引してきた経緯があります。しかし、時代の変化とともに現場はオーナーの指示を受けるだけでなく自ら考えて意思決定する柔軟性が必要になりました。

そこで当社は、管理職が自ら考えて行動するために、抜擢昇進の仕組みを導入しました。
労働市場における価値、つまり従業員が転職する際の給与を基準として、年齢など関係なしに従業員を抜擢・昇進・昇給する仕組みを実現しました。

これにより、従来のように創業者の成功体験を尊重した上で、自発的な従業員が活躍する環境ができました。売上高はもちろん、同社で例年実施される従業員のエンゲージメントサーベイでは、働きやすさ等も向上しています。


S社:経験則の解析による仕組化

S社は店舗系ビジネスを行っており、従来の経験則が蓄積され、それに従って成功体験を得てきました。しかしながら、その経験則は社長のみが知っており、かつ社長はその経験則の仕組みが理解できていない問題がありました。

そこで当社は以下の改革を行いました。

  1. 人事領域とマーケティングの双方の観点を取り入れた、経験則の仕組化およびインセンティブの設計

  2. 出店に関わるマーケティングと人事領域の検討を共に行う部門を設立・指導

マーケティングの視点も取り入れることで、店舗の特性や売上をもとに従業員のインセンティブを決定するような設計を行い、経験則を仕組化し明確にすることでビジネス展開の加速につながりました。
結果として、売上高は80億円から300億円まで増加しました。

以上が、オーナー企業における人事改革の成功事例です。
では最後に、以上の事例を踏まえたオーナー企業における改革のポイントについて説明します。

オーナー企業における改革のポイント

オーナー企業における改革では、まず環境に着目することが重要であり、以下の手順で環境変化認識を行います。

  1. 経営者の成功体験を確認する

  2. 成功を環境要因から分析する

  3. 今起きている環境変化を共有する

  4. 次に必要な打ち手を考える

成功体験は何だったのか、そしてその背景にある環境要因は何だったのか、そして今どう変わっているのかを分析することで、次の打ち手を考えることができます。「報酬制度をどうするか」といった直接的な考え方ではなく、「ビジネスをもっと活かすために何ができるか」を考えることで、オーナー企業の方々に、人事が経営や業績を発展させていくものであるということを知ってもらうことができます。

まとめ

今回は、オーナー企業における人事改革の成功事例を主にお伝えしました。

オーナー企業にはマイナスなイメージを持つ方が多くいらっしゃるかもしれませんが、オーナー経営は裏を返すと経営改革や成長への大きなチャンスと言えることがわかります。特に本記事では、オーナーと従業員の意思決定のバランスや相互理解が重要であることがご理解いただけたかと思います。

次回の第2章では、オーナーへの対応のポイントや、企業タイプ別の人事改革について取り上げますので、ぜひご覧ください!


人事制度のことなら、セレクションアンドバリエーションへお気軽にご相談ください。