テスラ 2023年Q3決算まとめ $TSLA
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投資に関するご注意
この記事はあくまで情報提供を目的としており、金融商品の勧誘や推奨を行うものではありません。投資にはリスクが伴いますし、皆さんの状況や目標に最適な投資戦略は個々に異なります。
投資判断を行う際には、十分なリサーチと専門家のアドバイスを受けることが重要です。この記事の情報は一般的なものであり、特定の個別の状況に対する適用を意図していません。
投資に関する質問やコメントは歓迎ですが、皆さんが適切な投資判断を行うための基礎知識を身につける手助けとなることを目指しています。安全で健全な投資体験をお楽しみいただけるよう、情報の活用には慎重さが必要です。どうぞよろしくお願いします。
EPS・売上
EPS 予想:0.73に対して結果:0.66 ❌
売上 予想:24.32Bに対して結果:23.4B ❌
EPSは予想より0.07ミスで9.59%足りず、売上は予想より0.92Bミスし3.78%足りませんでした。
財務諸表
損益計算書(PL)
まず、財務諸表のPLから見ていきます。
全体売上は23,350Bとなり前四半期(24,927B)と比較して下がっています。売上成長率も今までは20%以上は維持できていましたが、1桁代の8.84%となり去年とほとんど変わらない売上となりました。
粗利に関しても4,178Bとなり前期の4,533Bより10%弱程度、昨年同期の5,382Bよりも20%以上落ちています。粗利率も前期より微減、昨年同期の25.09%から17.89%と大きく下がっています。
粗利率に関して他社の例を上げておきます。
テスラ:17.89%(Quarter)
トヨタ:17.81%(Annual)
メルセデス・ベンツ:22.12%(Annual)
BMW:17.39%(Annual)
フェラーリ:48.93%(Annual)
Li Auto:19.41%(Annual)
シャオペン:6.02%(Annual)
NIO:5.46%(Annual)
BYD:70.55%(Annual)
ガソリンエンジン車の企業と同等の粗利率になっています。ブランド価値が上乗せできるフェラーリの粗利率とEV企業のBYDの粗利率にも驚きです。
営業利益は1,764Bで前期の2,399Bから500B以上/25%以上落ちています。前年同期の3,688Bと比較すると50%程度と大きく落ちています。
営業利益率は7.55%で前期は9.62%で2%下がっています。昨年同期17.19%と比べると10%弱下落しております。
売上の伸び悩みとコスト高から利益が下がっていることが鬼門となっています。
貸借対照表(BS)
つづいてバランスシートを見ていきます。
総資産は順調に成長しており93,941Bで前期の90,591B、前年同期の74,426Bより順調に成長しております。
流動比率も悪くありません。
現金と現金同等物が前期23,075Bから26,077Bと10%以上大きく増えています。
キャッシュ・フロー(CF)
次にキャッシュ・フローを見ていきます。
営業キャッシュフローは3,308Bとなり昨年同期の5,100Bより大きく下がっていますが、前期の3,065Bより僅かに増加しており2023年Q1からは徐々に増えています。
フリーキャッシュフローは848Bとなり、マージンとしても3.63%と2023年は低空飛行を続けています。前年同期の3,297B・マージン15.37%と比べると営業キャッシュフローとよりも比率的に大きく下落しています。前期の1,005Bと比べると200B程度下がり、マージンも0.5%程度下がりました。
KPI
生産・納車台数
今期は生産台数が430,488台で前年同期比+14.82%で、前期の47,9710台より5万台程度下がりました。2023年で一番低い生産台数となり、昨年同期比でも今まで40%以上を維持していましたが大きく下がりました。
納車台数は435,059台で前年同期比+26.53%で昨年の343,830台から10万台弱増加しました。前期の466,140台より3万台程度下がっていますが値下げした分売れたので台数的には大きく下がった印象はありませんでした。
エネルギー・スーパーチャージャー
メガパックの生産販売指標のStorage deployedは前期の3.65ギガワットアワーから3.98ギガワットアワーに成長しています。昨年同期の2.1ギガワットアワーと比べると+90%と大きく成長しています。
スーパーチャージャーの数量に関しても順調に増えており今期は5,595箇所でした。昨年の4,283箇所から1,200箇所の+30%程度成長し、前期の5,265箇所からも300箇所増えています。
また、10/20のニュースで2025年からTeslaのEV充電規格(NACS)にトヨタが参画することが発表されました。
これによりNACS規格を採用することにした主要メーカーは下記のようになります。
フォード
GM/コルベット/キャデラック
VOLVO/LOTUS
メルセデス・ベンツ
日産/三菱
JAGUAR/ランドローバー
ホンダ
ヒュンダイ
リヴィアン
BMW/ロールスロイス/MINI
トヨタ/レクサス/スズキ/スバル
セクター別売上・利益
売上構成を見るとEVセクターが9割程度を締めておりサービス、エネルギーをあわせて10%となります。
EVの売上は19,625BでQoQ:-7.7%、YoY:5.0%で成長が鈍化しています。
エネルギーの売上は1,559BでQoQ:3.3%、YoY:39.6%でこちらも成長率は鈍化傾向です。
EVセクターの粗利率に関しては2022年までは20%代でしたが、前期と今期は10%台後半となり下落しています。
逆に、エネルギーセクターは売上は伸び悩みながらも粗利率が順調に成長した結果24.44%となりEVセクターの粗利率を超えてきました。
Earnings Callの発言内容
次に決算カンファレンスコールの発言で気になった部分をまとめます。
こちらはユーエスさんの下記の和訳を参考にしております。
ユーエスさんありがとうございます。
CEO:イーロン・マスクの発言
オートパイロットとAIについて、FSDベータ版(完全自動運転ベータ版)で5億マイル以上を走行。H100の1万GPUクラスターを完成。単位時間当たりの演算量をこれほど多く生産に投入した例はない。
今後もAI開発に大きな投資を続けていくつもり。もし完全自律走行車が大規模に登場し、本当に役に立つ完全自律ヒューマノイドロボットが登場すれば、その限界は明らかではありませ。
エネルギー貯蔵について、第3四半期に貯蔵製品の全ギガワット時エネルギーを展開した。このビジネスが成長するにつれて、最も利益率の高いビジネスになりつつある。
サイバートラックは素晴らしい製品だが、財務的には、キャッシュフローに大きく貢献するまで1年から1年半はかかるだろう。生産開始から18ヶ月目という感じ。
今年の初めに述べたように、180万台の納車を目標としています。
サイバートラックの生産台数は年間約25万台になると思いますが、来年その生産台数に達するとは思えません。おそらく2025年には到達すると思う。
メキシコ工場を本格的に稼働させる前に高金利の環境が心配。自動車を購入する人の大半は、月々の支払いに注目している。金利が上昇すれば、月々の支払いに占める利息の割合も当然増える。つまり、金利が高止まりしたり、さらに上昇したりすれば、自動車を購入するのはより難しくなり、単に余裕がなくなるだけ。
広告を出したい人がいるのはわかる。広告を出すことで得られるものはあると思う。何もないとは思わない。しかし、素晴らしいクルマであるにもかかわらず、そのクルマを買うことができない人たちに、そのクルマを紹介しても、何の役にも立たない。
オプティマスは便利なことができるようになり、オプティマスは見るだけで、物事のやり方を学ぶことができるようになる。そしてある時点で、ロボットがロボットを製造する。テスラよりうまくやる人はいないと思う。ボストン・ダイナミクスは印象的だが、彼らのロボットには脳がない。
テスラのAIシステムの奥深さを理解している人もいると思います。ごく少数。基本的にはBaby AGIです。Baby AGIが運転するためには、現実を理解しなければなりません。1年前のオプティマスは歩くのがやっとでしたが、今ではヨガができます。数年後にはバレエもできるようになる。
FSDの価格はその価値に比例して上がっていくと思います。現在の価格は一時的な安値。
テスラは信じられないほど有能な船だと思いますが、マクロ経済が荒れ模様になれば、たとえ最高の船でもタフな時期を過ごすことになり、弱い船は沈んでしまいます。我々は沈むつもりはない。しかし、嵐の中の偉大な船にも困難はある。金利が下がり始めれば、私たちは加速するでしょう。
CFOヴァイバフ・タネジャの発言
第3四半期の納車台数は生産台数を上回り、エネルギー事業の収益性はまたもや記録的な四半期。
第3四半期の営業および財務実績は、工場のアップグレードのための計画的なダウンタイムによる影響を受けた。工場のさらなる改善と生産率の向上を可能にするために必要なもの。
車両1台当たりのコストは約37,500ドルに減少。材料費と運賃も順次減少している。車両コストの削減は当社の最優先課題。
営業費用面では、研究開発費がサイバートラックおよびFSD、オプティマス、DojoなどのAI技術への支出により増加。
設備投資額と研究開発費は当面増加
主にメガパックの展開拡大からエネルギー事業が牽引
自動車購入のほとんどは何らかの形で融資を受けることになります。お客様の月々のコストという観点からも価格設定を考えています。米国における金利コストの大幅な上昇に伴い、私たちは月々のコストを同等に保つために車両価格を調整する
モデルYを月額399ドルという低価格で購入できるパートナー向け車両リース・プログラムを米国で発表
プレゼン資料からハイライトの日本語訳抜粋
以上、テスラIR資料より作成しております。
総括/感想
今期は売上高からEPSまで厳しい決算内容となりました。夏あたりから日々の車両価格の値下げや製造販売台数のニュースを見ていたので、決算予想を上回れないかもしれないと心構えはありました。
株価も10%程度下落しておりForwad PERも下がってきて買増したくなります。
工場の停止による生産量減、マクロ環境金利の上昇により車を買える状況ではなく向かい風要因がたくさんあります。逆に考えれば、工場が整い金利が下落すれば、業績は再びグロース企業のように成長できると思います。
中長期的に見て他社との優位性があり今後の利益の源となるFSDやOptimusの技術を開発し続けていることに注目しています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
この記事はここで最後になります。
※参考になったという方はスタバのコーヒー1杯お恵みしていただければ次回も頑張るエネルギーになります。よろしくお願いいたします。
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