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対岸の見えない海原を漕ぎ続ける

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対岸の見えない海原を漕ぎ続ける

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    日記には書ききれないことや溜まった考えなど。

  • 研究について

    普段の研究や論文を書くことについて。要請があったときだけ、たま~に書くかもです。

最近の記事

相遇台北 vol.1

航海の信仰に出会う空 夕方前に台北に着く。台湾手前の上空、気流の悪さから機体が激しく揺れる。とんでもない揺れがしばし続く。このまま落ちてしまうんじゃないかと少し心配になる。それと同時に、台湾に媽祖信仰が根付いたのはこういうことだったのかと体が理解する。 海流が安定しない台湾周辺。媽祖に願いを託し、生きて海を渡れることを祈った約500年前は今も続いている。人々が次から次へと海へ飛び出しては覇権を争い、絶えず移動が繰り返された大航海時代。特に、福建、広東、浙江、台湾を行き交う

    • 2024年8月14日

      お盆休みは奈良の実家へ。休みに入った途端、さらにお構い無しに飛び回る。関西に帰るついでに足を伸ばして超アウェイなDJパーティーに紛れたり、新婚ほやほやの友人や教会の大好きな人に会ったりする。 DJパーティーはアラウンド50ぐらいのおじさまDJが勢揃いしていた。客層もおじさまが圧倒的に多かったのだが、(おそらく)オールディーズから今時のバンドによるシティポップ、タイや台湾・韓国のインディーズ、このコミュニティでは十八番らしい気怠いアンビバレントなレコードが流れていた。自ずから

      • 2024年8月10日

        意味不明なぐらいどっと疲れた一週間。要因はあれとあれとあれだなと思い浮かんでいるが、それをまじまじと考え出すと腹の底から怒りが沸き上がってくるので、頭の中で輪郭を帯び始めた瞬間「やいやいやい」と呟いて串刺しにし、具象化されないようにしている。せめて一人でいるときぐらいは楽しいことだけに支配されたい。 昨日誕生日を迎えた。いろんな人にお祝いのメッセージをもらう。誕生日の数日前、奈良の教会で出会った、人生のロールモデルのマダムから大きな包みが届く。本当に不思議なことに、彼女に美

        • 小休止:1年前の今日を見返す

          たまに1年前や2年前や3年前の今日の日記を見返す。去年の今頃何をしていたのかなんて真っ白に忘れていて、読むと必ずそこには別人の自分がいる。一文無しなのに働いてもいなかったし、博論も書ききれていなかった去年の8月。その絶望すらすっかり忘れていた。それからいろんなことが起こり、必死にやり過ごし、今の私に至るなんて去年の私は知る由もない。そして、去年の今日思い出していたことを、今日の私はもうありありと思い出すことができない。 忘却は人間に等しく与えられた才能である。忘れられるから

        相遇台北 vol.1

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        記事

          2024年8月2日

          3日ぶりに家の外に出る。連日ニュースは殺人的猛暑だと騒ぎ立てているが、今日は驚くほど涼しい。風もある。何かを煽る癖が、認知の歪みを強化する見方が、ためらいの思考を介することなく安直に行動化しているのではないか。気持ち悪い世の中である。 体があり得ないぐらい重い。2日間寝たきりだったので、体の節々が急に動き出した関節や筋肉についていけていない。たった2日活動を休止しただけでここまで弱るとは。体力がなさすぎて、最寄りの薬局までふらふらしながら辿り着く。 コロナかはわからないが

          2024年8月2日

          2024年8月1日

          1年で1番好きな月がやってきた。1年間ずっと8月と12月だったらいいのに。もちろん季節も含めて。8月といえば、うだるような暑さと永遠に続くかのような夏休みの月である。この時期になると、子どもの頃に浸っていた緩慢な日々が呼び起こされる。それがどんなに贅沢だったかを噛み締められるのは大人になった証拠である。切ない。家族とひたすらだらだら寝転がっていた夏のリビングが今でも恋しい。 8月というだけでテンションがあがりまくるはずが、若干雲行きが怪しい。というのも、今日は職場の人のよさ

          2024年8月1日

          2024年7月31日

          月曜日、夏休みになったので職場に誰もいないだろうと、短パンにビーサンという適当な格好で出勤する。めっちゃ人がいた。いつもの2倍人がいて動揺する。短パン珍しいですね、と職場の先輩に2回も言われて恥ずかしい。無音の中で1人で仕事する気まんまんだったので、早々に気勢をそがれた。しかし、仕事はものすごく捗った。気楽な格好は仕事の効率をあげる。 朝ビーサンを履いて家の扉を出る度に、うれしい~と心の内側で呟いている。ビーサンを履くというのは、それを咎められる職場ではないことや、身なりを

          2024年7月31日

          2024年7月27日

          9時過ぎにコインランドリーに向かう。今日は黒い服だけまとめて洗う。洗濯物を回している間に近場のスーパーでうなぎのお寿司を買う。酢飯が食べたくなるとすっかり夏である。酢飯は本当に見事な発明品。酢飯を発明してくれたどなたか、ありがとう。 お昼は仕事で企画の視察へ。駅の出口がわからず散々迷う。すっかり喉が乾いてコンビニで何か買おうかなと思ったが、すでにやや遅刻しており一旦現場のほうへ向かう。地図を見た限りまわりに何もなさそうだったので、とりあえず見えた自販機で水を買おうと110円

          2024年7月27日

          2024年7月21日

          日曜日だけれど、事務的なお手伝いで朝から職場へ。午前中にさっさと用事が終わる。夜の礼拝まで何も予定がなかったので、1日中カフェで積読本を読む予定だった。ところが、ぴこんと知り合いから展示のお知らせが来て、それを見にそのまま横浜へ向かう。横浜アゲイン。 本当はその展示が昨日からオープンしていることを知っていた。昨日までは今日展示を見に行くつもりだった。それが、朝起きてみると、遠いし今度にしようかなと心変わりし始めていたので、読みたい本をあれこれ鞄に放り込んで出掛けたのだった。

          2024年7月21日

          2024年7月17日

          この頃くだらない日記を書けてないな、と退勤後の帰り道を歩きながら考えていた。何か悟ったような雑感やまあまあ面白かった出来事、誰かにもらった意味深アドバイスや世の理不尽さへの怒りといった、それなりに張り合いのあることがらばかりを書いている。毎日は極々平坦で淡々と過ぎているというのに。 最近のしょうもなかったことといえば、父が東京に遊びにきていたのだが、今我々はどの方角に向かって歩いているのかという話で2日間言い争っていたことである。 家の近所を歩いていたとき、私が「今は北東

          2024年7月17日

          2024年7月20日

          銭湯上がりに脱衣所でファイブミニを飲んでいたら、天井窓の曇りガラスが突然ぴかっと光る。さっきまで気持ちの良い夏空だったのにまさか。銭湯から出ると、空がいつの間にか真っ黒な雲で覆われていた。 銭湯から家に戻る道の様子がいつもと違う。大量の人が同じ方向に歩いている。河川敷から反対方向へ。今日予定されていた花火大会が中止になった。浴衣を着た若者たちや、買い込んだ飲み物でぱんぱんのスーパーの袋を抱えた家族たちが足早に来た道を戻っている。今住んでいる家は、夏の風物詩と言われる大きな花

          2024年7月20日

          2024年7月8日

          はちゃめちゃに遊びまくっている7月。重い仕事と散々引き延ばしていた締切案件が終わり、やったー!!とあちこちに出かけている。遊びすぎて仕事ってなんだっけと忘れそうなぐらい。人生そんなもんでちょうどよい。 大量の文化的養分を摂取しているが、最近どれも印象深いものが多い。当たりが続いている。その中でも断トツで感銘を受けたのは、BankArtStationで開催中の島袋道浩さんの展示〈音楽が聞こえてきた〉である。そこで作曲家の野村誠さんのパフォーマンスがあるという情報を開催前日に知

          2024年7月8日

          2024年7月3日

          暑すぎる。今住んでいる部屋はマンションの最上階に位置していて、この季節は早々と部屋が熱される。うにょうにょした丘のようなフォルムのこのマンションは各部屋の構造が違うようで、私の部屋は窓が一ヶ所しかなく風の通りもほぼない。エアコン一台だけでは心許ないので急いでサーキュレーターを注文した。 ところが、商品が届く前になぜか返品処理されていた。最初の配達のときに自動発信された「配達できませんでした」のテキストメッセージだけは受け取っていた。ただ、折り返し連絡できる番号でもなかったし

          2024年7月3日

          2024年7月1日

          この土曜日で前期に受け持っていた授業がやっと終わった。あまりの疲労で日曜日は昼までずっと寝ていた。夜はなんとか教会に向かう。3週間ぶりだった。教会に行くのは久しぶりだったので、改めて通い続けようと静かに誓う。信仰から離れてはいけない。この先の荒野、拠り所は神だけである。 月曜日を振替休日にしようかと思ったが、仕事が山積していて普通に出勤。このまま仕事の奴隷には成り下がらんぞという反抗心で仕事前にアーティストのパフォーマンスを見に行った。今をときめく筒さん。 30分くらいの

          2024年7月1日

          小休止:帰る場所がなくなるということについて

          京都の夜にラムライム 京都にやってきた。目的は台湾に住む友人に教えてもらったアーティストのライブである。全然知らないアーティストで、正直に言うと好みではないのだが(勿論素敵な音楽ではあるのだけれど)、そのライブが開催されるクラブがあまりにも懐かしくてふと行きたくなった。見に行こうかなと連絡をくれた台湾の友人は結局日本に来ず、なぜか私1人でそのアーティストのライブに行くことになった。 夕方京都に着き、そのまま宿にチェックインする。実家が奈良なので京都に泊ることは殆どないが、

          小休止:帰る場所がなくなるということについて

          2024年6月19日

          土曜日出勤のせいで6連勤が毎週続いており、ようやく月曜日に振替休日をもらった。仕事のやることが終わらないので6連勤していてもあっという間だったのだが、そのおかげで自分のために着手しないといけないあれこれをはじめる気力が枯渇している。よくない。本当によくない。でも、まいっか。そうやっていろんな締切を素通りすることが続いている。去年まであらゆる締切をとにかく守るという生活をそれなりに誠実に続けてきたのだが、それについに疲れてしまった。今ある締切は大抵自分で設定したものなので、その

          2024年6月19日