目の強さは才能
父の代から目は弱い。
直射日光の下で数時間も歩けば
光の当たる部分だけが充血していた。
私は帽子もサングラスも無く歩くことはほぼ不可能で、
常に軽く充血している。
タバコの煙や風が当たるところでは
すぐに目が乾き目薬は欠かせない。
デスクライトで蛍光灯をつけられると、
暗闇でカメラのシャッター切られたような
眩しさを感じる。
蛍光灯の下は直射日光と同じように眩しい。
1番酷かったのは社会人の初め頃。
ある日車内の電気を一斉に変えた際、
何故か明度を上げてしまい目が開けられなくなった。
紫色のクリアファイルを
パソコンのディスプレイに切り貼りし、
机には反射防止の黒いシートを敷いた。
書類を見る時は影を作るように持つか、
色の濃いファイルに入れないと読めなかった。
まだブルーライト眼鏡が無かったころなので、
それは異端児のような目で見られた。
眼精疲労は悪化し、吐き気を催し
帰路の電車の中では目を開けないようにした。
電車内の電灯すら目に染みた。
蛍光灯を間引く相談は笑ってごまかされた。
改善策はもう思いつかなかったので、
「明日からサングラスで仕事していいですか」
という舐め腐った抗議をすると
ようやく電球を間引いてくれた。
自分のデスクでようやく普通に書類を見ることが出来るようになったが、
目に受けたダメージはなかなか治らなかった。
目薬をさしてもさしても潤わなかった。
眼科でよく処方されるヒアレインという目薬は
何の役にも立たず、
ドライアイ専門眼科に行っても
なかなか改竄はされなかった。
寝ている間に少し目が開いているようで、
寝てる間に眼球に軟膏をつけるという
かなり大胆な治療法も
特に効果は得られなかったように思う。
眼科医の母を持つ友人に聞くと、
ドライアイは目の表面に
細かい傷が沢山できるらしい。
その傷により光が乱反射して
他人よりも眩しく感じるという話だった。
私の目には世界はとても明るく見えていた。
ハッピーでポジティブそうで、
非常に迷惑な状況だった。
長々と書いたが、明るい場所に身を置いても
パソコン仕事を1日しても目が疲れないのは
恵まれた体質だと思う。
蛍光灯の下で事務作業を出来るのは
才能だと思う。
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