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【鴨ブックス】初めての本ができるまで(前編)

YouTube講演家の鴨頭嘉人さんとはじめた鴨ブックスは、10月に最初の本を刊行します。原稿を整えるところまでは、かも出版で18冊の制作実績があり経験値が高いのですが、最後まで通しで仕上げるのは初めてです。現在、2校の真っ最中。気が抜けません。

写真は、見積もりの際に、印刷会社さんが仕上がり見本として出してくれたものです。ここに「コンテンツ」が入り、デザインされたカバーで「パッケージ」されて、皆様の手元に届くわけです。とっても良い本ができそうで、僕はワクワクしています。ぜひ期待してください!

一冊の本ができるまでには、著者・編集者のほかに多くの人の手がかかります。本文や表紙、カバーなどのデザインをする方、印刷用のデータにするためにDTP作業を行う方、胸を張って本を出すためには校正者の目も必要です。そして、ようやく印刷会社の手に渡ります。

下版、印刷、折り、製本を経て本が形になった後、取次会社に見本を出し、出荷となります。本が完成したらいつでも出荷できるわけではなく、あらかじめ関係各社と調整して搬入日を決めておく必要もあります。緻密に組まれた配送日程にあわせて書店に運ばれ、ようやく発売となります。

流通上の話をすると、これまでは「発行かも出版、発売サンクチュアリ出版」でした。これからは「発行・発売/鴨ブックス」となります。つまり、従来は直接取次会社さんとお取引がなかったので、サンクチュアリ出版さんにご協力いただていたのです。たいへん感謝しております。

全国に広く本を流通させるには取次会社とのお取引が必要ですが、出版特有の「委託制度」により、取次会社には返品商品のリスクが発生します。そのため、お取引を開始する(口座開設する)には取次会社さんから「高い信用力」と「事業の永続性」を認めていただく必要があります。

当然ですよね。本を仕入れてお金を出版社に支払った後、ドロンされてしまったら、まだ売れてない本全てがリスクになってしまうのですから。

新しい出版社「鴨ブックス」は、トーハンと日販という大手取次会社に口座開設していただくことができました。親会社である東京カモガシラランドの財務の健全性や、かも出版での18点(平均約1万部)の実績などをご評価いただいた結果です。裏切らぬよう、やっていきたいと思います。

さてここで、鴨頭嘉人さんの出版への想いについて説明させてください。約10年前に独立して以来、鴨さんは「よい情報を撒き散らす」活動を続けてきました。ネガティブな情報を否定(ネガティブ)で返すようなやりとりが、世の中には増えてきていました。

そのやりとりを離れて「よい情報で世の中をいっぱいにしたい」というのが鴨さんの変わらぬ想いです。100万名を超える支持を集めているのもわかりますよね!小さい頃から本に励まされてきた鴨さんにとっては、出版というチャネルが夢そのものだったのです。

しかし一足飛びに独立した出版活動を行うのは、難しかったのです。かも出版の本が初めて出たのは2016年。それから着実に実績を積み重ね、財務基盤を整えてきました。並行して、鴨さんは複数の出版関係の方々にヒアリングを重ねてきました。

するとみな口々に、昨今の状況下では取次に口座を開設するのは難しい、といいました。しかしたった一人だけ、取次会社は変わろうとしているので『口座開設は可能です!』と答えた、元出版関係者がいました。

それが、僕だったのです。

運命とは素敵なものです。その時僕は、長年勤めた取次会社を辞めて、地方の老舗企業の販路を広げる会社を立ち上げる道を模索していました。ただ折からのコロナ禍で、事業の先行きが全く見通せない状況でした。

鴨さんからの最初のオファーは「かも出版の営業部隊を鍛えて欲しい」でした。

僕の新会社の仕事との両立もOKというオファーだったので、僕はその場で快諾し、帰りのエレベータで握手しました。こちらの不安材料を全て払拭する見事なオファーでした。そこから話が大きく展開したのは、年が変わった今年の2月でした。

鴨さんは今年、30を超える新規事業を立ち上げようとしていました。

その中で是非とも実現したいものとして、「出版社」がピックアップされていたのです。鴨さんの目から見て、かも出版にはいくつかの課題がありました。本当は街の本屋さんで買って欲しいのに、ネット書店の売上占有が高いことなどです。

熱いお話を聞くうちに、僕が「かつて懸命に取り組んでいたこと」と重なる点が多数見つかりました。しかも下記の記事にあるように、僕は就職活動中に「出版社を作りたい」という夢を持っていたのです。鴨さんは、全体をみる「副社長」として僕を迎えたいとオファーしてくれました。

僕がかつて懸命に取り組んでいたこと、それは何でしょう。立場を上流に移すことで再びチャレンジが可能なこととは何でしょうか。それは「オンライン書店e-hon」「ほんをうえるプロジェクト」で取り組ませていただいた、本屋さんを元気にする仕事なのです。

「本づくりのながれをつくる(編集)、流通のながれをつくる(物流)、書店様への働きかけのながれをつくる(営業)」そのすべてを俯瞰して、継続的に管理していくのが僕の役割です。大変だけど、やりがいのあるお仕事です。僕は幸せです!

鴨ブックスには、上位概念として「書店を元気にする出版社」というパーパスがあります。自社の利益を求める普通の出版社ならするけど、鴨ブックスはしないこともあります。他から見たら「バカだよなぁ」と笑われる選択もあるかもしれません。でも、それが鴨ブックスなのです。

春が始まる頃、トーハン・日販との交渉が始まりました。この後の経緯については、徐々に書かせてください。すでに2200字を超えてしまいました。これはちょっと品がないですよね。読むのもしんどいと思いますので、明日書かせていただきますね。お楽しみに!

to be continued...

↑ 後編を書きました。

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