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炭酸水が海水の中にあったら、不思議な月が見えるかもね(クラゲより)

なーんか、最近、自分の中でブームになりつつあります。ネットでのショッピング。買うのは、レア小説です。(著者の方々、レアと呼んですいません。レアでない作品でも、私にとっては時にレアだったりするのです。)

keyword…レア 「rare」とは、珍しい・希少な・めったにない・素晴らしい・最高の

さて、オンラインでふと、やや衝動的(?)に買う本って、すべてが面白いわけではないのです。しかし私は今回とても幸運にも、良い作家さんの良い作品を手に取ることが出来ました。
↓↓↓この作品です↓↓↓

感想文を書いてみましたー!! ご覧あれ~~。(^^)/

■読書感想文「有重力空間」

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この短編たちには、不思議な風が流れます。

寒い日に生温かい温度を感じたり、電球が消耗で切れる前の余力で光を放つ時にふとそれに気づいたり、寄る気はなかった喫茶店に入り座っている自分をちょっと前からそうなると予見したり――。そういう、もの凄く奇妙な時間を迎えた事って経験ないですか?

著者の久慈川栞さんは、そういう”空間”を造りあげる魅力をお持ちなのでしょう。私はそう思いました。

(だから有重力空間と言うのかな?!)と、勝手ながらの解釈です。

それにしても全作がその魅力に当てはまり、私はそれにハマり、読み終えてじんわりして佇む時間を少し過ごしました……。読書の素敵さとはこの時間だろうな、とか思いながら、私はダージリンティーをティーポットからカップに注いでその紅茶の移動を見守ります。

(これ今、流れが止まったら不思議だろうなあ)なんて考えながら、本を読むために喫茶店に寄ってしまった自分がいました。

まず、「海月と炭酸水」がとても良かったです。砂浜を実際に歩いて感じた事がないと書けない描写がしっかり描かれています。そして相手役の彼(彼女かな?)が愛らしいのです。「幸福ないちにちの始まり」では、用いた敬体(ですます調)が生み出すおとぎ話感が作品のホラー具合を助長していましたね。「夢、あるいは記憶の話」は自分にもそんな子供時代があったような臨場感があって、イマジナリーフレンドかはたまた幽霊かと心がやや弾むような感覚を覚えましたし、「イン・ザ・ホール」には【世にも奇妙な物語】のどちらかと言うとハッピー側の路線を想い浮かべ、「檸檬」は重厚な【日本むかし話】のようで茅葺き屋根の日本家屋に積もる豪雪が身近に現れてくるようだったですし、一番気に入ったのは「完全なる祈り」の美術館に展示された作品たちと老婆と’わたし’の共通点を見い出した主テーマの軸と文面の表現が良い空気感です。(ああ、私の感想が稚拙過ぎて良さが言いきれていませんが……)

そう、久慈川栞さんのこの本にある物語それぞれは、描写がとても素敵なんです。引用し始めるとキリがないしネタバレになってしまうから少しにしますが、この部分なんて良くないですか? 私はとてもいいなあ、と思いました。

「信玄餅じゃなくてたぶん月に似てるんだろう」

「私のような子供には理解できない意思を持った塊のように見えて」

「どうにか堰き止めていたのに瞳からこぼれ落ちてしまった涙のように」

どうです? いいですよねー。

あともうひとつ、大きな特徴を私は感じ取りました。私が書く小説なら、必ずもう少し結末を描いてしまいます。しかし、その半歩手前の空気感を久慈川栞さんは大事にしています。この余韻が、私には出来ない。だからここに魅力があったのだと。これがやっぱり良い”じんわり感”を生んでくれていることを理解しました。

そう、これがまた良い”空間”ですね。

【空間】に、楽しませていただきました。気に入りました。

私の感想です。
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著者の久慈川栞さんは、こちらのnoteを公開しています。

「少し不思議な小説」には魅力が満載です。


今回の記事はここまでです。
★こんな内容ですが、最後まで読んでくださった方々、ありがとうございます。👌


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