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【医師論文まとめ】革命! 気道異物は凍らせよ!?【Abst.済】

はじめに:

軟性ブロンコスコピによる吸入異物(以下、異物)の除去は、気管支の形状や径が個人差があるため視認性が確保しにくい場合があり、技術的な難易度が高くなりがちです。近年では異物除去性能を高めるため、掴み取り機能や吸引機能を付加した補助機器の開発が盛んに行われており、その一つとして柔軟性クライオプローブが開発されました。クライオプローブは低温作用で異物表面に選択的に粘着力を発揮し、除去を図る仕組みです。

目的:

本研究の目的は、実験モデルを用いて、日常的に吸入されやすい異物の主要な種類である有機物及び無機物に対する、柔軟性クライオプローブによる低温処理時間とその後の除去成功率との関係を明らかにすることにあります。

方法:

対象異物は鶏や魚の骨等9種の有機物及び安全ピン、歯ブラシの飾り等9種の無機物の計18種類です。形状と大きさを統一した上で、肺の形状と構造を再現した実験モデル内から取り除く試験を行いました。低温処理時間は5秒と10秒の2通りで、処理後は生理食塩水で表面を洗浄し、取り除けた異物と取り除けなかった異物を比較分析しました。

結果:

有機異物では、鶏や魚の骨を始めとするほとんどの異物が、5秒以上の低温処理時間でクライオプローブに付着し、容易に取り除くことができました。一方、無機異物では、安全ピンやペーパークリップのような金属製品は低温でも弾性があり表面粘着力が低かったため取り除きにくく、成功率は低かったです。しかし、プラスチックやゴム製の歯ブラシや耳洗い器などいくつかの異物は、表面特性から5秒以上で表面融着が認められ取り除きやすかったです.

有機物と無機物を区別して成功率を比較分析すると、有機異物では5秒以上で90%以上の高率で取り除くことができましたが、無機異物では粘着性の予測が困難な異物も含まれ成功率は約60%とやや低かったです。

さらに、低温処理時間10秒では有機異物では100%と完全に取り除くことができた一方、無機異物では成功率は70%とやや向上しましたが、依然として予測不能な異物が存在する傾向が認められました。

結論:

本研究から、有機異物では低温処理時間5秒以上で高率にクライオプローブによる取り除きが可能であること、一方で無機異物では粘着性の予測が困難な異物が存在することが示唆されました。今後の課題として、異物種ごとの粘着特性把握と取り除き訓練が重要だと考えられます。

文献

Fruchter, Oren, and Mordechai R Kramer. “Retrieval of various aspirated foreign bodies by flexible cryoprobe: in vitro feasibility study.” The clinical respiratory journal vol. 9,2 (2015): 176-9. doi:10.1111/crj.12120

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/crj.12120

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この記事は後日、Med J Salonというニコ生とVRCのイベントで取り上げられ、修正されます。良かったらお誘いあわせの上、お越しください。

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