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【医師論文解説】コロナよりインフルの方が肺に重篤な影響!? 米大学が明らかに

背景:

  • COVID-19と季節性インフルエンザの比較研究はこれまで、入院後6ヶ月までの死亡リスク、再入院リスク、限られた健康アウトカムについて行われてきた。

  • しかし、感染後の急性期と慢性期のリスクと負担を包括的に比較評価した研究はない。

方法:

  • 米国ベテラン局のデータベースを用い、2020年3月1日から2022年6月30日までにCOVID-19で入院した81,280人と、2015年10月1日から2019年2月28日までに季節性インフルエンザで入院した10,985人を対象にコホート研究を実施。

  • 18ヶ月間の死亡、再入院、ICU入院、94の予め設定した健康アウトカム(10臓器システムに分類)を比較評価。

結果:

  • 18ヶ月後の死亡率は、COVID-19群で28.46/100人、インフル群で19.84/100人。COVID-19群の excess death rate は8.62/100人。

  • 94のアウトカムのうち、64(68.1%)はCOVID-19群で有意にリスクが高かった。インフルエンザ群では6(6.4%)のみ有意にリスクが高かった。

  • 肺系統を除く全ての臓器システムで、COVID-19群の負担が有意に大きかった。

  • 急性期と慢性期の分析では、両群とも慢性期の負担が大きかった。COVID-19群はインフルエンザ群と比べ、急性期と慢性期の両方で負担が大きかった。

  • 再入院率とICU入院率も、COVID-19群の方が有意に高かった。

論点:

  • COVID-19、インフルエンザともに入院が高い死亡率と健康損失に関連するが、COVID-19の方がはるかに大きい。

  • インフルエンザは呼吸器疾患だが、COVID-19は複数臓器に影響する多臓器疾患だ。

  • 急性期より慢性期の健康損失の方が大きいことから、これらの感染を単に急性疾患とみなすのは誤り。

結論:

  • COVID-19、インフルエンザともに入院は高い死亡率と健康損失に関連するが、COVID-19の方が大きい。

  • インフルエンザは呼吸器、COVID-19は複数臓器に影響。両方とも慢性期の影響が大きい。

  • 死亡率と健康損失を減らすには、これらのウイルスによる入院を減らすことが重要。

所感

この研究は、COVID-19とインフルエンザが引き起こす症状の違いを明らかにした貴重な知見です。 インフルエンザは呼吸器に影響する一方、COVID-19は呼吸器以外の臓器にも影響しうることが示されました。
long COVIDという概念が明らかになって、ウイルスによる長期合併症に注目されてきています。

また、COVID-19の方が死亡リスクが高いことも示されており、重症化を防ぐためにワクチン接種などの対策が重要であることが再確認されました。一方で、インフルエンザも肺に重大な影響を及ぼしうることから、インフルエンザワクチンの接種を含めた対策が必要です。

今後は、COVID-19やインフルエンザによる長期的な健康影響を詳細に調査するとともに、重症化予防や慢性期の健康管理に有用な治療法の開発が期待されます。

文献

Xie, Yan et al. “Long-term outcomes following hospital admission for COVID-19 versus seasonal influenza: a cohort study.” The Lancet. Infectious diseases, S1473-3099(23)00684-9. 14 Dec. 2023, doi:10.1016/S1473-3099(23)00684-9

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