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【医師論文解説】1日3杯の魔法!コーヒーがメタボリックシンドロームに効く!?【Abst.】

背景

メタボリックシンドローム(MetS)は、複数の代謝異常を特徴とする臨床症候群であり、深刻な世界的健康問題です。これまでの研究では、コーヒー摂取がMetSに良い影響をもたらす可能性が示唆されてきましたが、その効果については依然として議論の余地があります。

方法

本研究では、2003年から2018年までの米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを用いて、コーヒー、カフェインレスコーヒー、および紅茶の摂取とMetSの重症度との関係を調査しました。MetSの重症度は、MetS zスコアという包括的な評価尺度を使用して評価されました。データ解析には、加重線形回帰分析が用いられました。また、参加者をNCEP/ATP III基準に基づいてMetS群と非MetS群に分類し、サブグループ解析を行いました。

結果

本研究には14,504名の参加者が含まれました。主な結果は以下の通りです:

  • 1日3杯以上のコーヒー摂取は、MetS zスコアの低下と有意に関連していました(p < 0.001)。

  • 日常的なコーヒー摂取は、BMI(p = 0.02)、収縮期血圧(p < 0.001)、インスリン抵抗性(HOMA-IR)(p < 0.001)、トリグリセライド(p < 0.001)の低下と関連していました。また、HDLコレステロール(p = 0.001)の上昇とも関連していました。

  • MetS群(p < 0.001)および非MetS群(p = 0.04)の両方において、3杯以上のコーヒー摂取はMetS zスコアの低下と関連していました。

  • 一方、カフェインレスコーヒーおよび紅茶の摂取は、MetSの重症度とは関連が認められませんでした。

結論

この研究は、コーヒー摂取がMetSの重症度と関連していることを示しています。しかし、カフェインレスコーヒーや紅茶の摂取はMetSの重症度に影響を与えないことが明らかになりました。これにより、日常的なコーヒー摂取がMetSの予防や管理に役立つ可能性が示唆されます。

文献
Zhao, He et al. “Coffee consumption might be associated with lower potential risk and severity of metabolic syndrome: national health and nutrition examination survey 2003-2018.” European journal of nutrition, 10.1007/s00394-024-03367-1. 4 May. 2024, doi:10.1007/s00394-024-03367-1

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所感

この研究は、コーヒーがメタボリックシンドローム(MetS)の予防および管理に有益である可能性を示唆しており、臨床的に非常に興味深い結果です。特に、コーヒーがBMI、血圧、インスリン抵抗性、血清トリグリセライドに良い影響を与えることが示されています。これらの指標は、MetSの主要な構成要素であり、これらの改善は患者の全体的な健康状態に大きく寄与するでしょう。ただし、観察研究であるため、因果関係を証明するためにはさらなる研究が必要です。

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