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【ウェビナーレポート】上位校生がこぞって受けるベンチャー企業が考える優秀層の獲得戦略とは:後編

株式会社ハウテレビジョンでは、採用担当者様に向けた無料ウェビナーを実施しています。
今回はベンチャー界の”新卒採用強者”Speeeの採用担当者を招き、2022年4月27日に実施したウェビナーレポートをお届けします。
Speeeの採用戦略についてお聞きした前半はこちら

登壇者

株式会社Speee 新卒採用部 行川 知克さん
慶應義塾大学商学部卒、2016年に新卒入社。大学在学中、スタートアップ3社で長期インターンを実施。その際の経験から、マーケターとなること、自分が入った会社を強くすることを目指してSpeeeの入社を決意。
入社後、マーケティング領域の新規事業に配属され、コンサルタントとしてクライアントの課題解決に取り組む傍ら営業企画や事業管理も担当し、事業成長に貢献。
2018年に人事に異動となり、新卒採用領域の戦略立案から実行まで一気通貫で担っている。

株式会社ハウテレビジョン 新卒事業部 柴崎 裕人
明治大学商学部卒業。2014年に富士通株式会社入社。航空旅行業界のエンタープライズセールスに従事。
その後、Web系広告代理店にてCRM領域を中心としたデジタルマーケティング戦略立案及び支援業務に従事。
2018年株式会社ハウテレビジョン入社。新規事業の営業企画やセールスを担った後、外資就活ドットコム事業開発部にてコンサルティングファーム等に対する採用支援業務に携わる。
現在は同サービスのtoB向けサービスの企画からデリバリーにおけるBizdev領域の責任者として、 事業計画、営業戦略、チームマネジメント、組織開発(新卒・中途採用/評価)、プロダクト企画などにも幅広く従事。

Speeeの母集団形成施策

前半戦は露出重視、後半戦はターゲティング戦略

柴崎:今の採用活動は何人くらいのチームで動いているんですか?

行川:チームとしては7名です。チームメンバー各自が学生を担当する、営業チームのような形ですね。
その中で、私は母集団形成を中心に、営業企画のような立ち位置で動いています。

柴崎:母集団形成に限ると、どういう施策を打っていますか?

行川:一番ボリュームを持たせているのは外部のメディアやイベントの活用です。
特に序盤はイベントですね。当社は学生が就活を始める段階では知名度が低いので、まずは学生が来る所に露出をすることが大事
また、それに合わせてメディアに求人を出します。早期から広告を出しておくと、他社の求人広告がまだ少なく、競合が少ないので応募が集まりやすいです。

また、リファラル採用も強化しています。対象の年代と接点がありそうな内定者や入社1年目の社員に協力を仰いで繋いでもらいます。

柴崎:なるほど。後半の施策はまた変わってくるんですか?

行川:後半戦になると、学生の志向性が固まってくるので、ターゲティングがしやすくなります。
特定のターゲット層に明るい特化型のエージェントを介して個別面談を実施したり、イベントを開いたりしています。
あとはメディア系の施策もプッシュ系が多くなりますね。特定層を狙ってDMやスカウトを打つのは秋以降が多いです。

柴崎:前半戦は露出重視、後半戦はターゲティング戦略ということですね。メディアやツールの選定はどう使い分けているんですか?

行川:内定承諾数の目標から逆算して、どのチャネルでどのくらい成果を出していくべきなのかを過去のデータを見ながら決めています。
過去にお取組みがある外部サービスであれば、そのチャネルから採用できる人数は大体把握できるので。あとは実際の集客進捗を見ながら足りない分は新しいサービスも使ってみてバランスを取っています。

柴崎:他社との競争が激しい優秀な人を採ろうとすると、さまざまな施策を打つ必要があり、採用単価は上がっていくと思います。
私はいろんな会社の人事の方からお話を聞く中で、費用対効果の点から社内決裁が取れず、例年と同じ施策を打ち続けてしまうというお話を結構聞くんですね。
行川さんの場合は採用単価を超えてしまった時など、どういう説得のされ方をされているんですか?

行川:全体でバランスを取れればいいかなと考えています。当社は全社的に採用に対する理解があるので、妥当性があれば投資してもらえるありがたい環境なので。

「優秀な学生」の定義とは

柴崎:「優秀な学生」の定義ってどのように定められていますか?

行川:現状では適性検査をベースに、複数回の面接での情報とあわせて判断しています。

柴崎:能力面とマインド面で比較すると、マインド寄りで見られているということですか?

行川:そうですね。能力面というと、計数能力や思考力みたいな物が一般的だと思うんですけど、それに限らずリーダーシップがあるかといった点も含めて「能力」として見ています。
だからハイポテンシャル層の中にもいくつかタイプがあります。

面接など人の目だけの主観的な評価のみでは、正確性を十分に担保できず再現性も低いため、客観的な指標もあわせて評価をしています。
採用人数を増やすことを見据えて、数年前から取り組んできました。

適性検査は早めに導入せよ

柴崎:適性検査のような定量情報を入れ始めたのは、採用人数が何人くらいになってからですか?

行川:母集団の規模としては3000人くらいだったでしょうか。
その時からやっていて良かったです。こういったプロジェクトは軌道に乗るまで数年かかり、その後も絶えず継続的に調整を入れて精度を上げていく必要があります。

柴崎:採用人数が少ない時期から実施して良いかもしれないですね。
ハウテレビジョンの規模でもどう判断するのか苦労していて、同じように悩んでいる会社は多いと思います。

行川:とはいえ、どう活用していくかというのが難しくて、当社は経営企画チームに入ってもらって今の体制を作り上げました。

柴崎:採用活動自体が人事だけじゃなく全社的に取り組まれているのですね。

行川:そうですね。中途採用も含めて全社をあげて取り組んでいます。
また採用だけではなく、育成や人材配置も繋げてプロジェクト化しています。

Speeeのインターンシップ施策

複数のテーマを用意したインターンシップ

柴崎:Speeeさんのインターンシップにおける概要とこだわりポイントを教えてください。

行川:直近では3種類+シークレット1種類で計4種類のインターンシップがあります。テーマは下記になります。

事業開発:新規事業開発がテーマ。他社も広くやっている形
組織開発:組織マネジメントがテーマ。自社組織の成長に関する課題解決について、マネジメントに携わる社員と若手社員の2名がメンターとなるプログラム
経営戦略:ビジネスシミュレーションゲームを用意。事業の売上利益を伸ばすための戦略を学生に考えてもらう。戦略に対するシミュレーション結果からフィードバックとアップデートを行う

※詳細はこちら

コンテンツは採用チームのみで考えず、現場社員や事業責任者、ときには経営陣にも一緒に考えてもらって、かつ当日もメンターや審査員として入ってもらいます。
学生に学んでもらう、社員はレクチャーとアドバイスをするというより、社員も学生と一緒に本気で取り組んで一緒に学んでいくようなプログラムを作るようにしています。一つ作るだけでも大変ですが、複数のテーマを毎年のように実施して、改善を繰り返していますね。

柴崎:それぞれのインターンに対象とするセグメントがあると思いますが、各テーマに興味がある学生さんということですか?

行川:そうですね。1年目ですぐやる仕事というより、こういう人材になってほしいと思う、少し先のキャリアの魅力を伝える内容として設計しています。

柴崎:面白いですね。大手企業でよくあるインターンは就労型であったり、入社後のイメージができる内容ですよね。
このような形にしている理由は何ですか?

行川:まず会社の期待として、入社後数年のうちにインターンで取り組むような内容のようなことができる事業経営人材になってほしいと考えている点があげられます。
さらに採用活動は全社一丸で取り組んでいるものなので、Speee全社どこからみても「面白い」と思えるプログラムなのかどうか、という点にはこだわっています。

柴崎:コンテンツ作り自体を全社で楽しみながらやっているんですね。

経営陣が喜ぶのは、メンターとして参加した社員の成長

行川:審査員として経営陣にも参加してもらうんですが、そこで話題に上がることって、メンターとして参加している社員の成長なんですね。
「メンターを務めた社員にとって良い機会だったね」と感想をもらうんです。
そういう所にもインターンをやる意義を見出しているというか。
事業責任者からも、現場のメンバーをメンターとしてアサインする相談をした時、今後の成長が期待される社員をインターンに出してほしいと逆提案されることもあります。

柴崎:確かに上の立場に行くほど、採用や組織のことを考える機会って多くなります。そこに早い内から携わらせていくという意識を全社として持たれているから、このようなインターンの内容になっているんですね。

行川:普段はどうしても自分の所属する部門の仕事に集中してしまいがちだと思うので、こういった採用の場で俯瞰的に会社全体のことを考える視点を持つことによって、普段の仕事の取り組み方も変わったり、自分の仕事を改めて意義付けする機会になるんですよね。

重視するのは学生と信頼関係の構築

柴崎:実際にアトラクトしていくにあたって、エンゲージメントの4P【Philosophy(理念・方針)、Profession(活動・成長)、People(人材・風土)、Privilege(待遇・特権)】の中で、特に重視しているのは?

行川:最終的には人や組織かなと。
インターンシップをやるのも、もちろん4Pそれぞれに興味を持ってもらうように考えますが、本質的には学生さんとの信頼関係の構築にあると思います。
たとえばインターンの2日間はメンターがベッタリ付いて、最後に1対1で振り返りをやるんです。その時に、普通ここまで言わないという所まで踏み込んだフィードバックをすると、信頼関係や絆が生まれる。
その関係性をメンター自身やリクルーターが引き継ぎ、人生の相談を本音で出来る関係性を築くことが最初のステップになります。
インターンシップはある意味、その為にやっているというのはありますね。

柴崎:競合との差別化にもなりますよね。

行川:他社も手厚くやる所は増えてきていると思いますが、当社の差別化の要素になっていると思います。

学生の企業の選び方を見ているとパターンがあって、最初は20、30社を候補にして、サマーインターンの時期を通じて5社~10社くらいに絞り込みます。9~11月にかけて、さらに2、3社に絞る。
その2、3社にちゃんと残れるかが勝負なんです。

そこまで残ったら、大体みんな人や組織で選んでいます。

クロージング

柴崎:行川さんのお話を聞いて、競合とのポジショニングは結果論なんだと思いました。

コンテンツのこだわり、学生さんにどんな体験を提供したいか、その中で学生さんが本当に困っていることに入り込むことにとても力を入れられているなと。それが結果としてブランディングになって、競合他社と違う体験を提供でき、惹きつけにもなっていると改めて感じました。

ベンチャーの戦略って、人、カルチャー、フィロソフィー(理念)のようなものの押し出しが勝ち筋だと思うんです。Speeeさんは徹底的にこだわり抜いているのが凄い所だなと、お話を聞いていて思いました。

行川:自社の強みを認識することが大事です。
強みをやり切った先に、何かしら拡張できる所が見つかる。
まずは自社の強みや特徴の棚卸をすると、より良い採用になると思います。

柴崎:行川さんがおっしゃった部分は、我々みたいなメディアに属する人間は客観的にご意見できると思うので、気軽にご相談いただけたらと思います。

行川さん、本日はありがとうございました!

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