2文字へのこだわり。「Noto IKEA」フォント【Web Design Talk】
こんにちは、How many designs です。
Web Design Talk というタイトルで、デザインに関するお話を少しだけ書いていこうと思います。気軽に読んでいただければ幸いです。
IKEAのフォントの変遷
ここでのフォントというのはIKEAのロゴではなく、IKEAの商品カタログやビジュアルで使用されているコーポレートフォントの話です。
Ikea Sans から Verdana を経て 2019年に Noto へ
IKEAは50年間もの間、Futura フォントをベースとした「Ikea Sans」を自社フォントとして使用していました。
しかし、このフォントがアジア文字に対応していなかったため、2009年に「Verdana」へ移行しました。
その後10年間「Verdana」を使用していましたが、2019年に「Noto」というフォントに切り替えました。
2019年以降のカタログでは「Noto」が使用されており、すっきりとした書体です。
Noto フォントについて
「Noto」フォントは、Googleと Monotypeによってデザインされ、800種類以上の言語に対応しています。ユニバーサルなフォントとして高く評価されており、その名前は「No Tofu(ノー豆腐)」に由来しています。
(Tofuとは、コンピュータがフォントに対応していない場合に表示される小さな正方形のことです。)
つまり、「Noto」フォントを使用することで、どんな環境でも文字化けすることなく、しっかり文字が表示されます。
IKEAにおける Noto フォントの導入
IKEAは現在、世界中の店舗のラベルを Noto に置き換えるとともに、商品カタログに示されているモバイルの外観を改善するために独自のロゴを更新しています。
Noto を使用することで、IKEAは年次カタログを印刷する際に、さまざまな言語の書体を変更することを心配する必要がなくなりました。
現在展開している50以上の市場および将来的に拡大を検討している場所において、標準化されたブランディングを展開できるようになります。
IKEAのグローバル化への取り組み
IKEAはフォントを新しくすることで、グローバル化に対応し、より多くの人々にわかりやすいブランドを目指しています。
IKEAロゴの歴史
ちなみに、青と黄色で馴染みのあるIKEAロゴですが、当初は赤に白文字でした。創設者イングヴァル・カンプラードは、低価格を表す赤という色を好みました。
その後、スウェーデンの国旗と同じ色を採用したのは、ブランドの独自性とスウェーデンの伝統を守っていくという自負からかもしれません。
IKEAのWebサイトでNoto SansとNoto IKEAを使い分ける理由
IKEAのWebサイトでは、Noto SansとNoto IKEAという2つのフォントが使用されています。
"Noto IKEA", "Noto Sans", Roboto, "Open Sans", system-ui, sans-serif
Noto IKEA はどこが違う?
Noto Sansは汎用性の高いフォントですが、Noto IKEAはIKEAのために特別にカスタマイズされたフォントです。
両者の違いはごくわずかです。大文字の「I」と「J」のデザインだけが異なります。
Noto Sansの「I」は上下にセリフが付いていて、「J」は下に飛び出ています。可読性の面から言うと、このアプローチは正しいのですが(読みやすいので)、IKEAのブランディング面から問題があったのだと思います。
IKEAという単語を表示してみると
「IKEA」という単語をNoto SansとNoto IKEAで表示したところ、Noto IKEAの方がよりすっきりとした印象を与えることがわかります。
特に、Noto Sansの「I」の上下のセリフは、IKEAという単語全体から浮いて見えてしまうため、Noto IKEAの方がより洗練されたデザインと言えます。
ブランドの哲学である合理的なデザインルールに照らし合わせて、フォントのカスタマイズを判断したのかもしれません。
まとめ
Noto IKEAフォントの採用は、IKEAのデザインに対する考え方を象徴するものです。
それは、グローバル基準とブランドアイデンティティの融合であり、IKEAの商品にも見られるデザイン哲学をそのものと言えるでしょう。
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