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良いライターの条件とは、得意ジャンルがないこと

「だれもが書き手」の現代、ぼくたちは何を、どう書いていけばいいのでしょうか。

そんな疑問をもっていると、ある動画が目につきました。

それは、現代のトップライター2人が「書くこと」について語るイベントで、参考になりそうだったのでさっそく見てみました。

登壇者は、石戸諭(いしどさとる)さんと古賀史健(こがふみたけ)さん。

石戸諭さんは『ニュースの未来』を上梓したノンフィクションライターです。

古賀史健さんは、『嫌われる勇気』『20歳の自分に受けさせたい文章講義』を手がけ、『取材・執筆・推敲』でも大きな反響を呼んだライターです。

イベントのタイトルは「ライターの未来——だれもが書き手になる時代、あなたは何を書くのか」で、まさに自分がもっている疑問にこたえてくれていました。

「書く」プロフェッショナルである2人が、ライターの仕事とは何か、良い文章とは何か、良いライターの条件とな何かについて語っていたので、まとめました。

ライターの仕事とは何か

ライターというのは定義がされていなく、ライター論というのが存在されていなかったので、ライター論を語る下地をつくるために『取材・執筆・推敲』をかいたと、古賀さんは語ります。

たしかに、小説家が語る小説論や、ジャーナリストが語るジャーナリスト論というのは存在しているのですが、ライター論というのは聞いたことがありません。

小説論やジャーナリスト論というのは体系化もされており、大学でも教えられている内容です。

ライターの仕事を古賀さんは「コンテンツをつくる」ことと語り、石戸さんは「ニュースをつくる」ことと語っています。

それぞれが出版された本に中に、さらに詳しく定義がされています。

きょうみ深かったのが、石戸さんの語る「ジャーナリズム論の弱点」で、それは、とってきたネタがすべての取材論に偏っており、執筆・推敲の部分が弱いとのことでした。

良い文章とは何か

ずばり、良い文章とは「目的を達成する文章」です。

目的とは何かというと、多くの人ににウケるよう、売れることや、読んだ人を変えるといったようなもので、目的によって書き方も構成も変わるとお二人はいいます。

そのなかで古賀さんが感じていることは、若いライターさんが書いたネット記事は、「声がきこえてこない」というもの。

声とは、その人の文体が現れていないことで、語り手の声が聞こえてこないことです。
(たとえば、インタビューを受けている人の声)

そして「そもそも読者が、本当に声まで読みたいかも分からない」ということが印象的でした。

もしかすると、読者は情報だけがほしいのかもしれないず、そうだとすると、声を届けるのは「本」の世界になるとのこと。

たしかに、「声」というのは「装飾」のようなものなので、情報の本質だけがほしいばあいには不要です。

スマホ上のクリックとスワイプで、情報までの最短距離をめざす読者にとっては、ネットでの発信は「情報の本質」だけのほうが向いています。

反対に「本」では、声という装飾でかざり、芸としての語り口や読後の余韻を楽しませるものになる、ということを暗示させます。

良いライターの条件

ネットだけの発信や、紙だけでの発信は危険とお2人とも共通認識をもたれています。

あたらしい時代の、あたらしい書き手のやり方を、おのおのがアップデートしていかなければいけず、どんな状況にも対応できる自分をつくることが大切といいます。

その中で重要なキーワードは「ジャンルはなくてもいい」というもの。

得意ジャンルは人が他人が見つけてくれるものなので、石戸さんは「やってみませんか?」といわれたら断らないと語っています。

それがたとえ苦手な分野でも、あえて苦手な分野にいってみることが大切です。

たとえば、文系のひとが理系の人に話をききにいくことを指します。

アウトプットとして「高校生がよめればいい」ので、素人としての「なぞと驚き」が大切といいます。

自分が知らないことは世の中の8割の人も知らないことなので、もしかしたらその中の半分の人が、知りたいことかもしれません。

読者にとっての発見を提供することがライターなので、ライターは僻地(苦手な分野や異文化)にこそいくべきとアドバイスされています。

おわりに

ライターは苦手な分野や異文化にこそいくべきというアドバイスは、さっそく実践しようと思いました。

これは、「情報はノイズから生まれる」といっていた上野千鶴子さんの『情報生産者になる』でも同じようなことがアドバイスされています。

また、自分の書く文章の目的というのが、現在はただの自己満足に終わっているので、いちど落ち着いて考えなければいけないと思いました。

いずれにせよ、お二人のざっくばらんとしつつ、真剣な語りは、聞いていて楽しく、学びも多かったです。

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