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【イベント】シュルレアリスト中野圭氏による『アートXプログラミング』

42に入学して一番楽しみにしていたイベントに参加した。

それはシュルレアリスト中野圭氏による『アートXプログラミング』のイベントで、ぼくはアートというキーワードに弱く、数週間前に参加募集を見つけた際にすぐに応募した。

今回のイベントは、六本木の校舎での参加かZoomでの参加が可能だったのだが、六本木までの交通費をケチってZoomで参加をすることにした。

開始が18:30からだったので5分前からスタンバイしていたが、ここで問題が発生。

Zoomのリンクがみつからない。

開始時間の直前にリンクが送られてくるものと思っていたが、メールにもDiscordにも何も連絡がなかった。

18:30になっても状況は変わらず、もしかして配信は後日か?と校舎で参加しなかったことを激しく後悔したが、Discord上でイベントの事前アンケートを発見。

事前アンケートにはすでに入力済だと思っていたのだが、どうやら入力できていなかったようで、アンケートに答えるとすぐにメールでZoomのリンクが送られてきた。

リンクを早速ひらき、開始から3分ほど遅れてZoomでイベントに参加。

すでに中野氏の自己紹介がはじまっていた。

会場での参加者の数はわからなかったがZoomでの参加者は10人弱だった。

シュルレアリスト中野圭氏とは何者か?

中野氏は東京造形大学を卒業後、東京藝大で教え、音楽とプログラミングでアーティストとして活動しつつ現在は大阪芸術大学で講師をされている。

弦楽器の発明の前段階に興味を持ち、ギターのチェロの比較を通じて「鏡の国のギター」という作品を生み出した。

Zoomで映る姿をみると、耳が隠れるくらいの長さの黒髪を真ん中で分けており、黒のTシャツの上に薄紫色のジャケットを着ていた。

ゆったりとした喋り方で、ゆっくりと確実に言葉を紡ぎ出していき、老学者を彷彿とさせる。

学生時代はいわゆるギークで、当時は仲間が少なかったそうだ。

詳しいプロフィールはこちら

中野氏の作品はこちら

オルゴールライブコーディング

自己紹介が終わると、早速Sonic Piを使ったライブコーディングがはじまった。

Sonic Piという言語を初めて知ったのだが、音楽を作りながら、音楽デジタルプログラミング(Ruby)を学べるシンセサイザーだ。

演奏という感じではなく、あらかじめ書いたあったコードをいじり、オルゴールのテンポや、音を増やしたり、変えていくという感じの実演だった。

ぼくの知識不足からなのか、Sonic Piを使ったライブコーディングのすごさがいまいち分かっていない。

コードを書き換え、テンポや音を変え、無限に再生させれる音楽を作れるというところまでは分かったのだが、コーディングで実際に「生演奏」ができるのだろうか。

GrageBandなどが普及する中、演奏ツールとしてあえてコードでやる意味とはなんだろう。

音楽に造詣が深い人なら分かるのかもしれないが、ぼくにはまだピンときていない。

講義「アートとプログラミングのコミュニティの多様性」

ライブコーディングの次は講義の時間。

まずはじめにPCD(Processing Community Day-プロセッシング・コミュニティ・デイ)の紹介があった。

ProcessingとはMITメディアラボで開発された、電子アートとビジュアルデザインのためのプログラミング言語・統合開発環境。

2021年はProcessingが誕生してから20周年で、各国のコミュニティーが世界中でハッカソンをしようと盛り上がっていたが、今はコロナの影響で下火になっているとのこと。

ここではProcessingを始めたい人のためのスターターキットが紹介され、自分もProcessingを学び始めるときに活用しようと思った。

https://day.processing.org/doc/PCDOrganizer%27sKit.pdf

また日本でのイベントも紹介され、こちらのイベントは残念ながらすでに終了しているので、来年参加しようと思う。

https://pcd-tokyo.github.io/

次にオープンデータコンテストLODチャレンジの紹介があった。

LODとはLinked Open Dataの略語で、ウェブ上でデータを公開する方法や、公開されたデータを指す。

https://2021.lodc.jp/

過去の受賞作品は、複数の駅名を順に提示することで路線名を当てるクイズ「路線王」や、学校における献立表・学校で人気のレシピ・2100種類以上の食品データを提供するアプリなどなどがある。

過去の受賞作品一覧は、LODでこんなこともできるんだという見本市のようになっていて面白い。

中野氏の以下の言葉が個人的には印象に残った。

「現在デジタル庁が様々批判を受けているが、日常の問題には本来市民の一人一人が立ち上がるべきで、プログラミングを学んだあとは社会の問題解決に役立ててほしい。」

C言語ディスカッション

「シュルレアリスム」と「関数ポインター」の関係性についての話があった。

シュルレアリスムとはフランスでおこった文学・芸術運動で、無意識の探求・表出による人間の全体性の回復を目指した。

中野氏はシュルレアリスムと関数ポインターのはどちらも「跳躍の手段」ということで共通しているということを挙げていた。

そしてウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』、嘘つきのパラドックス、メタモルフォーゼなどの哲学書や概念などを用いて、プログラミングを総論的に考えられる人はなかなかいないとのこと。

中野氏が影響を受けた記号論、フランス文学、ヴァレリーやランボーの詩集、不思議の国のアリスの話もあった。

正直このあたりの話は理解できたとは言えず、まずはウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』から学んでいこうと思い、講義終了後さっそく購入した。

中野氏いわくC言語を学ぶ意義は「UNIXをベースとしたコンピュータの構成の理解」と「読書のようにプログラミングの細部をコツコツと学ぶ時間」で、勉強のアドバイスとして学生に言っていたのが「丸暗記はよくない」ということ。

丸暗記よりも「本質を見抜き、抽象化する」力のほうが大切。

その力が身に付けば、抽象化したものを身の回りの食べ物や服などに当てはめてみて、普段触れている身の回りのものを違った見方で見つめ直すことができる。

「バーチャルの世界からリアルの世界を再構築できるのがプログラミングの考えとしてはよいと思っている。」という中野氏の言葉が印象深い。

中野圭氏がC言語を学ぶ上でオススメする本

Head First C
エキスパートCプログラミング
はじめて読むC言語
秘伝C言語問答 ポインタ編
新・明解C言語 ポインタ完全攻略

この中でも特に『秘伝C言語問答 ポインタ編』がおすすめで、関数ポインタについて分かりやすく解説しているとのこと。

質疑応答

学生からの質問で面白かったのは「実際の音楽のライブでは演奏者が観客席にダイブするという行為があるが、ライブコーディングだとどうやって実現できますか?」というもの。

あまりの質問の面白さ、突飛さに、中野氏がなんと答えたのか残念ながら覚えていない。

個人的に『論理哲学論考』以外にコンピューターの概念や進化に影響を与えた哲学書・文学を聞きたかったが、残念ながら質問する前に時間切れになってしまった。

まずは『論理哲学論考』を読んでいこうと思う。


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