在宅医療とお金のはなし

こんにちは利確と申します!私は在宅医療専門のクリニックの院長をしています。まっさらなところからクリニックを作り、経営もしているものです。

今回は、「在宅医療とお金のはなし」です。

医学的な事には一切言及致しませんのでご了承ください。

「お金の話?医療であまりお金を意識して欲しくない・・・」

というご意見があるかと存じます。しかし在宅医療に限りませんが、クリニック・病院において経営状態が悪化するとやりたい医療が制限されます。経営状態を健全にしておくことは、患者さんに最適の医療を提供することにも繋がると思いますので、今回はお金にフォーカスを当ててお話させて頂きます。なお、このノートは引用を明らかにした参考書も使用していますが、「私の経験に基づく話」もあるため、地域によっては通用しないかもしれません。また、記載した時(2021年2月時点)から診療報酬改定などあると思います。情報をもとに地域に合わせて解釈・スルーして頂ければ幸いです。


「在宅クリニックを開業だ!うっひょ〜!ぶりぶりぶり!」

と思った時、はたして月に何人診療すれば経営的に安定するのでしょうか。

結論からいえば、居宅患者さん50人=300万円/月の売り上げとなりますのでこれが第一目標です。

なぜそのような数字が出てくるのか、私が作り込んだ(大嘘)詳細な資料を見ながら解説していきます。

クリニックごとに銀行からの借入金・人件費・固定費などのアウトが変わりますが、ざっくりとインは想定することができます。

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(在宅医療経営・実践テキストより引用)

こちらは、患者さん一人を月に2回診察したときにもらえる月間費用です。在宅医療では(24時間の対応が前提になりますが)1回でも診察すると「管理料」が発生します。管理料は2回診察すると最高額となり、3回目以降では同額です。状態が安定している人なら1回、そうでない人なら2回以上の診察が良いと思います。

外来診療ではその日のうちに会計をしていましたが、在宅医療ではほとんどが月払いです。「お得意様だからツケ払いできるのですよ」というと喜ばれます(©️めでぃかぶ師匠

注意点としましては、同じ状態の患者さんを診察していても、居住場所によって診療報酬が異なるという点です。例外もありますが、施設患者さんは居宅患者さんの1/3程度の報酬と理解しておけば良いと思います。従って、施設患者さんだけで経営を安定させようと思う場合は、150人は必要になります。

在宅専門のクリニックを開きたいなと思ったとき、医療機関の類型は何の実績もなくても在支診からスタートできます。つまり売り上げは6万円/月/人くらいです。

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さあ、これでインの想像がつきましたね。あとは自分のクリニックのアウトに合わせて損益分岐点を計算しましょう!医者は経営に慣れていませんので、信頼できるパートナーがいるといいですね。

さて、これで最初にお示しした居宅患者さん50人で売り上げは300万円/月という数字の根拠がお分かり頂けたと思います。

月の売り上げが300万あれば、諸々のアウトを考慮しても、自身のお給料がある程度もらえるのではないかと思います。やったね!ここまで来たら黒字だ!

そもそも患者さんをどのように集めればいいの?と思われたそこのあなた!こういうノートも書いていますので、ご参照ください。

〜インとアウトについて〜

在宅クリニックに限りませんが、クリニック経営においては損益分岐点の計算は非常に重要です。月にいくら入ってくるかは想定できると申し上げましたが、それは患者さんが来た場合です。実際にどれだけくるかは蓋を開けてみないとわかりません。

逆に、アウトに関しては自分がコントロールできます。スタッフの人件費・家賃などの固定費・借金返済費用・・・etc。これらは開業する前から緻密に計算することができます。

特に借入金に関して利子は経費算入できますが、元金返済は税引後給与から返済しなければいけません。利息1.5%/年で1億円借入したとした場合、利息だけで150万円/年となります。借りれば借りるだけ安心ではありますが、その分損益分岐点が遠くなるので、果たして自分がいくら借入すれば良いのかは、同業先輩・専門職・信頼できる人に事前に相談しましょう。

特に立ち上げ初期の経営状態が軌道にのっていないときは、インを伸ばすのはもちろん大切ですが、それ以上にアウトを適切にコントロールすることが重要です。診療報酬は2ヶ月遅れで入ってきますので、最初の数ヶ月は無収入に等しいと考えておきましょう。

私ですか?元来性格が適当ですし、在宅も素人みたいなものでしたらから、はじめの頃は無事に様々な面で失敗していました笑。幸い私の担当税理士さんは、税務だけでなくコンサルのような相談にも乗ってくれました。周囲の助けがあって、なんとか黒字化している状態です。

外来はフロービジネスですが、在宅はストックビジネスです。今月積み上げた患者さんは、離脱(入院・死去etc)しない限りは来月もいらっしゃいます。これは、経営的に収入の想定がつきやすい点で有利です。患者さんを獲得するのは大変ですが、毎月積み重ねていくことで前月よりも経営状態が良くなることがほとんどです。一緒に黒字化を目指しましょう!

いかがでしたでしょうか?今回は少し数字が多くて読むのが疲れましたね✌️最後までお読みになった方限定で、15利確ポイント差し上げます。在宅医療のこんな記事が読みたいなどありましたら、Twitterで教えてください🙆‍♂️


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