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『氷の城壁』第7巻購入・紹介・感想(その3)


ネタバレ大有りなのでご注意を!!


明日2024年1月4日に第8巻が発売となりますが、ようやく第7巻についてのその3となります。
今回は61-63話の体育祭1~3について書いていきます。(その1)(その2)は下記をご覧ください。

この3話は、桃香の片思いは別として、4人の友達関係の間にこゆん、ミナト、ヨータの3つの片思い(いずれも相手に伝えていない)に加えて1つの恋愛的によさそうに見える関係(ヨータ&こゆん)が交差する状況を表現した話で、『氷の城壁』中盤でいちばんキュンキュンするところになります。また、阿賀沢先生の微細な描写(言葉・絵とも)の素晴らしさを示しているところで、『氷の城壁』全体を通じて少なくとも3本の指に入る表現だと思っています。

61話中盤で、玉ねぎヘアーにセットされたこゆんの髪をヨータが持ち上げるシーンで、美姫、ミナトのそれぞれの表情に対してのつっこちんの心の中での解説が、読者に非常に親切です。美姫の表情にヨータとこゆんで仲良くなってもらいたいということが出ていることを「どういう表情?」ということで、最初の頃から読み続けている読者に対して、言外に知らせてくれます。もちろんミナトのガックリ目な表情も非常によきものです。

また同話終盤では、桃香がいつの間にかこゆんだけでなく、美姫ともいつのまにか交流関係を築いていて、引き続きつっこちんもほめる場面があり、おそらく桃香のあざとさを感じ取ったこゆんがその直後に考えられる両方の局面とも適切な対応が難しいこと(すごく汚らしい感情が・・・という独白で表現)で、いきなり更衣室めがけて逃げ走り帰るシーンがあります。その途中でヨータとまた不意にぶつかってしまい、ヨータが手をとってこゆんをこかさないようにし、その状況が続いている場面をミナトが見てしまい、こゆんがあわてて更衣室には行かずにまた美姫たちの元にもどってしまう一方、ミナトは落胆して座りこんでしまうという一連のシーンは、ヨータが感じたところも含めて微妙な感情をマンガ表現としてすばらしく表現しています。

62話はほぼ応援団演技後の写真撮影タイムに関しての出来事です。
桃香が去ったあとに、「一緒に撮ろ」と同じことをこゆんとミナトの両者とも内心で思うものの、両者とも口に出してしまうことへのネガティブな気持ちも持ち合わせているところが、本気度いっぱいでなんともリアルです。
だいぶあとの話で、こゆんとミナトが一緒にいて同じことを考えているところまでのシーンで、同じ描き方をしているところがでてきますので、これとの対比についてもみなさん楽しみにしてくださいませ。
加えてこの話の最後から次の話にかけて、写真撮影をどうしようかと思っていたところから撮影後までの、こゆんの整理できない感情を、暖かい(ただし基本的に鈍感な)ヨータがちょっと違った雰囲気で、いい感じで整理してくれます。ここらの描き方も非常に素晴らしいものです。現役男子高校生には非常に勉強となり参考にすべきシーンでしょう。こんなシーンにめぐりあえたのなら、このような言い方をできる機会があることを期待したいものです(仮定法過去表現)。

63話は62話でのこゆんとミナトの写真撮影に関する光景を見たヨータが、こゆんに「俺に何か 隠していることない?」ということばを、ニヤーとしながら放つところから始まります(62話末と重複)。
いったんは「・・・別に ないよそんなの・・・」とこゆんがとぼけるものの、ヨータの二の句に対し、こっそりと扉の中に誘い、ミナトへの片思いをこそこそと打ち明けるというシーンとなります。ヨータから美姫への想いを聞かされていることももちろんありますが、ヨータとこゆんはしっかりとした親友関係を築いていているので、芽生え始めた思いを共有することになりました。
ということで、めでたく??4人の友人関係内で以下の3つの片思いが明確化されます。
(1)以前からのヨータ→美姫への片思い
(2)ここでの確実な表現にてこゆん→ミナトへの片思い
(3)26話以降適宜表現されているミナト→こゆんへの片思い
ちなみに(1)(2)は相手と積極的にお付き合いしたいというよりは、自分の中だけにとどめている片思いという共通点があります。ここら辺の内面の心理的表現がとにかく素晴らしいのです。
また120ページから125ページまでの6ページ(=見開きで3枚)ではセリフはほとんど出てきませんが、あまりにも尊すぎる一連のシーンです。

まだ第7巻を入手できていない方でも、2024年1月3日現在、タテヨミ版ですが、スマホ・タブレットアプリでは、LINEマンガでは6回分0円(2時間で回復)で読めますし、マンガmeeでは、私がつか浸かっているANDROIDアプリでは、1日1回無料チケットのところに2回分の期間限定プラスチケットがついていて、3回分まとめて読めたりします。第7巻をまだ手に入れていない方は、ぜひともまとめて読んでみてください。72時間限定ですが、繰り返し読むことができますのでぜひともこの心の揺れを堪能していただきたいと思います。

64話以降は稿を改めることとします。

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