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『氷の城壁』第7巻購入・紹介・感想(その2)


ネタバレ大有りなのでご注意を!!


(その1)からの続きとなります。下記をご覧ください。
今回は59話以降の内容について紹介し、感想を述べていきます。

59話は単体でまとまっている回で、結果的に第7巻部分の話の進み方のベースになっています。この話を私なりにまとめるとこんな感じです。


  • こゆん:ミナトへの想いを自分の中で留めているだけで結構楽しい(ということで気づかれないように好き避けしてしまう)。

  • 桃香:策を弄しまくっても自分から好意を持ったミナトを彼氏にしたい。

  • ミナト:(こゆんの好き避けの行動に加えて、勉強仲間になったすぐあとのトラブル思い出したのと、桃香の話を受けて)踏み込み過ぎてしまったぁぁぁ。こゆんとどう対応していくのがよいのかなぁと、ぐちゃぐちゃになっている。

  • 美姫:全然わかっていない(笑)

  • つっこちん:読者目線の丁寧な補足説明・・・


とくにこゆんの、自分の中で留めているだけ、とい感情は、内気な女の子であれば結構共感されるのではないかと思います。相手の気持ちがわからないのに自分からは行けないというところは、あまたのマンガ、小説などの書き物でも見られるところです。おそらくマンガ的により良くわかっていただきたいということで、好き避けの表現を先生はとられたかと、個人的には感じています。そして第6巻でのつっこちんのように「好き避け」であることに全く気付かない子もいるのも、かつての鈍感な高校生にとっては良きかなと思わせるところです。今後あるのかないのかわかりませんが、高校の同窓会があったとき(私の場合卒業後まったくありません)に探ってみたいと思います(笑)。大学卒業後実家を出て別のエリアに住んでいますので・・・

桃香の行動ですが、アプリの各種コメントを見る限りでは、少数派である積極的なアクションをとれるタイプの子や、大人になって結果重視という指針を持っている方には意外と評価されている一方、そうでない多数派の人には、あざとく悪役感たっぷりの子と読まれているようです。主人公のこゆん目線で読んでいるからかもしれませんが・・・
ちなみに俯瞰的で入れ込まず読んでいた私の場合は、「こういう子いそうだねぇ、表現が詳細でこわさも含めてリアリティをより感じさせてもらった」というところです。

このように読者層によって的確にそれぞれの感想を持たせるあたりも、客観的な桃香の行動表現だけではなく、めちゃリアルでして、阿賀沢先生のすごさを感じさせる点です。


60話は、電車内でこゆん、美姫、優希の3人と、すでに乗車していた「敵の妹」である熱川秋音とが鉢合わせるシーンを中心に描かれています。この話単体では53話の団地前だべりのある面焼き直しですが、60話で秋音が発した言葉が後日の話の重要な伏線となってきます。
秋音が姉のことについて「興味あります?」「私から言えることは別に・・・ 相変わらずですよ」と言っていたことも、流さず覚えておきましょう。
また、3人が急いで階段を上がってきて、美姫は一息ついたところ、優希は平常運転状態、こゆんがゼーゼーと呼吸が激しいという状態で秋音と出くわしてすぐ、優希から秋音に聞いてみたところも、なかなかの演出です。
冷静な状態のこゆんであれば、このタイミングで言葉の真の意味を理解できる可能性が大きそうですが、すぐに車内に大混雑となるほどの乗客が乗り込んできてこゆん達3人がバラバラになる一方、秋音とこゆんは2人で向かい合いの位置関係になって別の話になったこともあり、その場では「興味あります?」などの言葉をこゆんが咀嚼するヒマを与えてくれません。さすがの表現です。

この話単体では、今後どう転んでいくかわからない1話完結の回になりますが、こういうところに大きな伏線が張られているというのが『氷の城壁』全体の良いところですので、頭の片隅にしばらく置いておきましょう。

61話からは体育祭本番当日の話で、こゆん、ミナト、ヨータ、美姫の混線振りがいよいよ本番を迎えます。これば稿を改めて感想等を述べたいと思います。


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