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ノマドもすなるワーケーションといふものを、我もしてみむとて、するなり。【旅行記#17】

みなさんこんにちは。たんぼです。無事に青ヶ島から帰還したのもつかの間、もう1件お出かけしてました。せっかくの長いお盆休み、家に引きこもっていてももったいないですからね。ただ、島から帰ってきた後でプランを練り始めたので(島から帰れなければ全てがパーになる)、人気の観光地は予約がいっぱい。さて、どうしたものか。というところから始まります。

(青ヶ島編は以下からどうぞ。)

旅行先で仕事をする、という概念

この考えを受け入れるのにしばらく時間がかかったが、今年に入って東北や九州、青ヶ島での滞在を経験し、少し考え方が変わった気がする。訪れる場所が多い「The 観光地」みたいな場所では一日中外出していることが大半だが、イベントごとのついでで行く地方都市や、自然に囲まれた場所では、よほど体力に自信がない限りはそのようにはいかない。

先の青ヶ島滞在では、がっつり観光というわけではなく、宿でテレビをぼーっと流し、スマホからも離れるという、刺激から解放される体験を久しぶりにした。仕事では各地を飛び回り、週末は基本的に東京にいるという生活をしていると、どうしても刺激から逃れることが難しい。

家でしかできないこともあるが、その時間の大半は家事と録画したテレビ番組の消化に費やされる。つまり、何か行動を起こすための「遊び」がなくなってしまうのだ。資格試験に向けた勉強であったり、読書であったり、こういったnoteの執筆であったり。

意識して自分と向き合う時間を捻出する必要があり、安らぎの場である家ではよほどの意志力(と習慣化力)がなければ何事も三日坊主となってしまう。

リラックスできる環境ではありつつも、アクセスできる娯楽には制約がある。こういった状況を作ることでアウトプット効率が上がるかもしれない。かつての文豪たちが温泉地にこもって筆を進めたように、自分もため込んでいた記事(と仕事)を片付けようと、気分転換のためにどこかへ行こうと決意した。(せっかくのお盆休みで仕事の連絡もほとんど来ないし)

この構想は青ヶ島にいた時点で実行する決意を固めていたのだが、予約は内地にたどり着くまで待つ必要があった。なぜか?帰れなきゃそもそも行けないからね。

お盆真っ只中の旅行計画

候補地として考えていたのは、島であれば利島か式根島、内地であれば小田原か秩父。島の条件として、①徒歩で観光できること、②「いい意味で」観光地が多くないことを考えてリストアップした。内地では都心から電車一本で行けることが第一条件であった。観光がメインではないので、割ける時間も多くなければ、そこへ向かう際の交通費・宿泊費もなるべく抑えたい。

上記の考えに倣って島から順番にプランを探したが、お盆の時期はさすがにどこも満室。やはり島はオフシーズンを狙うか相当計画を練っていくしかない。ということで内地でのプランに方向転換した。

秩父は駅近くの宿が少なく、かつ料金も高かったのでまたの機会にしよう。小田原には幸い安宿(ゲストハウス)の空きがあった。外国人は箱根に行くし、都内からも小田急線で一本。我ながらいい選択であったと思う。

弾丸旅行(?)開始

予約した翌日。午前中は自宅で作業をし、昼食を済ませ一路小田原へ。今回はロマンスカーにも課金せず、快速急行で1時間半。途中座れたが、ロングシートでこの長時間移動するのはさすがに堪える。2年前までは18きっぷも使っていたが、仕事を始めて衰えが出てきたのかもしれない。

小田原駅からはバスで宿へ。案外箱根方面へのバスが多く出ていて、外国人観光客も多かった気がする。(あの辺のバス、結構強気な運賃設定だから行けるところまで電車で行った方が安くない?とは思うが。)

今回のお宿はこちら。1階はバーで、2階がベッド。
部屋の様子。いたって普通のゲストハウスという感じ。これで1泊5000円ちょっと。

チェックイン後ももうしばらく作業を続け、日没を待って観光へ(まだまだ暑い)。

国道1号線の標識。東海道の歴史を思うと旅情が増す。
海へと続く道のようだが、地震・津波警戒のためゲートは閉じられていた。
開放されていた場所が。水平線を見つめ、波の音を聞くと心が落ち着く。

さすがに暗くなってきたので夕食を求めて駅方面へ。15分ほどもすれば着いたか。意外とコンパクトな街である。

【閲覧注意】道中で見かけた”アレ”の自販機。さすが「相模国」である。

小田原といえば梅と海鮮、特にかまぼこ等の練り物が有名だ。ただ、鈴廣などの有名なかまぼこ店は日中のみの営業のため夕食にはできない。
いかにも観光客向けな外観ではあったが、海鮮がメインの居酒屋に飛び込んでみた。(口コミを見ると他人が踏み荒らした道しか歩けないからね。)
外のメニューで見た刺身定食が食べたかったが、どうやら昼限定のメニューらしい。ただ夜の定食もあったのが救いだ。アジフライ定食に刺身をつけていい感じである。

肉厚でジューシーなアジフライは美味しかった。
AIに描かせた小田原、みたいなイラスト。客の入りは今ひとつで、店員にとっては楽そうな状況なのだが、サービスを徹底させるようマネージャーが目を光らせていた。バイトする側からすれば地獄のような時間である。レシート見たらお通しは高いし謎のサービス料が乗っかってるしで空席が多いのも納得。これも経験。

コンビニで買った酒をあおりながら帰路につく。クーポンを使って買うとお得感があっていい(それ以外の理由で行くと買いすぎてしまうので普段は控えている)。

途中の歩道橋からも小田原城が見える。
帰った後は1階でしばらく作業(note執筆)。バー自体はご主人が趣味でやっているのか、知り合いが数人来る程度だった。

日中の作業場問題

翌日。慣れない布団と他人が横にいて、冷房がガンガンの環境ではあまり眠れなかったようだ。朝食バイキングを出している店が近くにあったので行ってみた。なかなかの人気(?)で、写真を撮る暇もなく出てしまった。バイキングで600円なら悪くないコスパだろう。

前日宿のご主人に教えてもらった場所として、「三の丸ホール」がある。城を見ながら作業できて、ネットも使えるらしい。行こうとしたが、オープンが9時とのこと。朝食の店でゆっくりしたかったが、待っている人がいたので席を譲ってしまった。あと30分ほど外で待たなくてはならない。

暑い。海沿いの風に期待をしたが、内地はそれでも暑い。

幸い木陰のベンチがあったのでそこで時間をつぶした。

9時になりホールが空くと窓際のテーブルへ。なるほどいい眺めである。ネットも問題なく使えたが、椅子のクオリティはそこまでだった。一日いると腰にくるだろう。

城と箱根の山々を臨む。

お昼は海沿いのかまぼこ通りへ。何かイートインできれば、と期待していたが、かまぼこはテイクアウトが主なのか、そのようなメニューがあるお店は見つけられなかった。イートインはできても、お酒とセットになっていたり、かなり高い値段で、少しためらってしまった。

(酒は飲んでもよかったのだが、この暑さでは飲んだ後に日光を浴びると溶けてしまう気がするので踏みとどまった。←ドラキュラか?)

おばちゃんがワンオペでやっている定食屋に。日替わりの生姜焼き定食が700円。庶民の味方である。

ホールに戻って1-2時間ほど作業をしていると、やけに暑くなってきた。西向きのガラスが全面に張られ、そのすぐそばにいると、どうしても太陽の熱を受けてしまう。3時ごろには限界に達し、宿に撤退して続きに取り掛かるほどだった。

日没前後のタイミングを見計らって城の散策へ。小田原=北条氏のイメージだったが、その後の稲葉氏や大久保氏の治世、および江戸幕府との関わりに関しては再発見できた。

銅門(あかがねもん)。銅板で装飾していたらしい。
天守閣。3層ながら日本の城ではベストテンに入る高さだとか。
天守閣からの眺め(北西)。箱根の山々
南西。伊豆半島と、天気が良ければ大島も見えるようだ。
東側。江の島と三浦半島がうっすらと見える。

暗くなってきたので夕食へ。海鮮は昨日でお腹いっぱいで、かつがっつり食べたい気持ちになっていたのでステーキ屋へ。300gの赤身肉もペロっといけてしまった。脂質も気になるが、ステーキには塩コショウ派なのでこれだけ食べると塩分の取り過ぎにも注意しなくてはならない。年を取ると制約が増えて生きづらくなるのが悲しい。

ちゃんとサラダも食べてます(左)

スーパー銭湯で汗を流して宿へ。この日は常連の方がバーに来ており、一緒に飲ませていただいた。ご主人がいい人で良かった。

黒糖焼酎で出した梅酒(左)。甘すぎない感じでgood

いよいよ台風の上陸が騒がれだしたので、翌日早朝、電車が止まる前に帰宅して旅は終了である。

総括

普段は時間の許す限り移動して体験を積み重ねる旅をしてきたが、観光地を巡るだけでなく、普段とは違う環境に身を置いてゆっくりとした時間を過ごす、というのも旅の一つの楽しみ方であると気づくことができた。都心のホテルステイもテイストは異なるが、コンセプトとしては近いのかもしれない(気分は乗らないが)。帰りに通った鶴巻温泉とかも寄ってみていいかもしれないと思った。

家で多様な娯楽に触れられるこの時代に、強い意志を持って「これをやろう」と選び取るのは難しくなってきたのかもしれない。自分が弱いのかと自己嫌悪に陥るのではなく、選択肢が多すぎる周りの環境を考え直してみる。発想の転換でメリハリをつけた生活ができるのなら、こういった旅もありかもしれないと思えた。

お楽しみいただき、ありがとうございます! いただいたサポートは旅費の足しとして宿・現地での飲食・交通手段等に使わせていただきます。その内容も記事にする予定ですので楽しみにして待っていてください。