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追手門学院大学が取り組む斬新なインターンから考える、なかなかやっかいなこれからのキャリア教育。

コロナパンデミックによって働き方が変わると、いろいろなところで言われています。これに付随するテーマとして、インターンシップも、今年、大きく変わらざる得ないのではないでしょうか。追手門学院大学では、こんな状況をいち早く察知したのか、新しいインターンシップのかたちを模索する面白い取り組みをはじめていました。

このリリースが出たのは5月15日なので、追手門学院大学のある大阪は、まだ緊急事態宣言が解除される前でした。この段階で企業と連携して、リリースが打てるところまで持っていくというのは、なかなかスピード感と危機感があります。そして、このリリースにあるように、これからのインターンシップは、受け入れてもらうのではなく、企業とともに開発する、というスタンスでないと、なかなか前に進まないように思うのです。

実は私が代表を務める(株)ホトゼロも、毎年、夏に5~6名のインターンシップ生を受け入れています。今年は、こんな状況ということもあって、大学から中止の連絡をもらったり、こちらからお断りさせてもらったりして、受け入れを無くしました。

こちらからお断りした理由は、うちに来てくれた学生がコロナに感染した場合、その責任が持てないというのが大きいのですが、それだけではありません。働き方が大きく変わってきていて、仕事のやり方も、教える内容も、昨年までと同じとはいかない。場合によっては、在宅勤務が中心になって、オフィスでインターンシップ生を指導する人がいないかもしれないと思ったからです。

日本生産本部の調査によると6割以上の人たちがコロナ終息後もテレワークを望んでいるという調査結果が出ました。また、コロナもいったんは収まりそうですが、第2波、第3波がくると警告する専門家もいます。この状況で、働き方を変えようとする企業は決して少なくないはずです。

本当はオフィスで働いていないのに、わざわざインターンシップ生のためにスタッフがオフィスに出て指導をしても、それはもうインターンシップではありません。よくわからない別の何かです。じゃあ、どうしたらいいのか。実際、これに対する答えは誰も持ち合わせていないと思うんですね、少なくとも今のところは。だから、追手門学院大学が取り組むように、(わからないから)企業とともに考える、というのは、正しいアプローチの一つのように感じました。

働くことを教えられない、というのは、テレワークが広まれば広まるほど深刻な問題になるように思います。そして、その被害を最も受けるのは、間違いなく若者です。進路を考えるうえでの情報や経験が足りなくなるばかりか、企業は指導にかかる負担が大きくなるので、指導をそこまで必要としない中途を取ったり、業務をできるだけ外部に委託して、スタッフの採用自体を減らすということも考えられます。一方で、働く側も、在宅勤務が中心になってくると、そもそも企業に属する必要があるのかという疑問が湧いてくるだろうし、勤務形態もフリーランスに近づいてくるでしょう。こうなってくると、そもそも会社とは何か、働くとは何か、みたいなところから考え直さないといけません。

すでに社会に出ているなら、ベースとなる経験なり価値観があり、そこからの調整ができます。でも、学生はベースがないところから、(社会一般的な、ではなく)自分なりの仕事観を形成していかないといけません。アフターコロナのキャリア教育というのは、だいぶやっかいです。そうはいっても、学生は毎年卒業し就職するわけで、立ち尽くすわけにはいけません。オンライン授業の大変さで、多くの大学が悲鳴をあげていますが、ここにもまた悲鳴をあげたくなる、難解で楽しげなテーマがあるようです。

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