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広報活動が上手いというより、そもそもの視点が違う!? 近畿大学の情報発信を今更ながら考える。

近畿大学といえば、関西どころか全国的に見ても、広報活動が上手な大学として、まず最初に名前が挙がるような大学です。私はお膝元である大阪で働いていることもあって、本当にやることが憎たらしいなぁ(褒め言葉)とよく思っています。それでつい最近も、なんとも近大らしいアプローチで話題になったことがあって、そのエキセントリックぶりに驚きつつも、なんかこの大学はそもそもから視点が違うんじゃないかと思ったので、今回はそれについて、つらつらと書いてみます。

まず、気づきを与えてくれた取り組みの紹介から。

ほら、おかしい。今回はTwitterで公開したマグロ型のマスクカバーが話題になり、それがいろいろなメディアに取り上げられたようです。近大といえば、近大マグロというのはよくわかるし、コロナパンデミックでマスクが注目されているのは、よくわかります。でもだからといって、マグロ型のマスクカバーをつくろうという発想には、なかなか行き着きませんよね。

大学が広報を行うとき、当然ですが“大学である私たちが発信するべきことは何か”という視点に立って、情報を探し、社会に伝えようとします。でも、近大……、少なくとも今回のマグロマスクについては、“今うちが何をしたら話題になるか”という視点での情報発信になっている。そこには、大学として、という視点をあまり感じられないし、手持ちの情報から探す、という視点もありません。

やや感覚的なたとえになるのですが、お笑い芸人が、おもろいことをしようとテレビの収録中、虎視眈々とタイミングを探っているような、そんなイメージです。場(社会)を俯瞰的に見て、そのなかで自分が期待されていることをやる。これが広報かというと、違うのかもしれません。でも、これができているから、近大が注目されているのは間違いないでしょう。

さらにいうと、ここだというときの思い切りがすごいです。新型コロナは話題性があるものの、とてもセンシティブなテーマです。真っ正面から取り上げるのはいいとして、ユーモアのある取り上げ方をすると、たとえそんなつもりがなくても、炎上する可能性があります。今回のマスクカバーだと、どうしてもやらなくてはいけないことかというとそうではありません。ましてや、炎上リスクモリモリのTwitterでの情報発信。リスクと内容を天秤にかけると、ほとんどの大学はやらないでしょう。でも、近大は、ここでGOを出す大学なんですね。

あと、そこまで話題になっていませんが、近大のホームページでは4月21日より、ウェブ会議用の壁紙を大量に配布しています。これは立教大学でも同じような取り組み4月28日からしているのですが、オンライン授業の準備でどの大学もアクセクしているなか、こういうことに気付いてしまう感性というか、アンテナの張り方というのが、とても近大らしいです。

私の書き方だと、近大がしたたかなお調子者みたいな感じに読めてしまいますが(そういう面もあると思いますが…)、決してそれだけではなくて、新型コロナの感染症対策やステイホームに関わる情報など、しっかりとした情報発信も行っています。いわゆる大学らしい情報発信があったうえで、近大らしい情報発信を行っているわけです。そこも含めて、ほんと広報が上手い憎たらしい(褒め言葉)大学です(笑)。

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