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採用担当者は学生越しにしか大学を見ていない!?環太平洋大学の企業向けイベントに見る、もうひとつの就活支援

卒業後、どんな進路を歩むことになるのかは、学生、そしてその保護者にとって大きな関心ごとです。一方、いかにしてよい人材を獲得するかは、売り手市場・買い手市場に関係なく、企業にとって重大なテーマです。今回、見つけた環太平洋大学の取り組みは、そんな学生と企業とをつなぐ取り組みの一つなのですが、忘れられがちな大事な視点が盛り込まれているように思えました。

企業の採用担当者に大学や学生を知ってもらうイベント

取り上げるのは「企業のためのオープンキャンパス2023」というイベントです。内容は、まさに企業の採用担当者のためのオープンキャンパスで、キャンパスツアーや、ダンス部等によるパフォーマンス、学生たちによるプレゼンテーションなどが実施されます。

複数企業の採用担当者が大学に訪れるイベントというと、合同説明会がまず思い浮かびます。でも、このイベントはそれとは大きく趣旨が異なり、学生たちに企業について知ってもらうのではなく、採用担当者に大学や学生のことを知ってもらうことが目的になります。他大学ではあまり見られないユニークな試みなのですが、「企業のためのオープンキャンパス」というイベント名にすることで、何をしたいのかがひと目でわかります。このネーミング、かなり秀逸だと感じました。

採用担当者は学生越しにしか大学を見ていない!?

この取り組みを知り、ふと思ったのですが、採用担当者は大学についてどれくらい知っているんでしょうか。この大学(ないし学部、研究室)の卒業生は優秀な人が多い、みたいな評価や印象はあると思うんです。でも、その背景についてどこまで採用担当者が注意を払っているのかというと、そこまでではない気がします。だって、獲得する人材が優秀かどうかは大きな関心ごとですが、なぜその人材が優秀になったのかを解き明かすのは自分に課されたミッションとは直結しないから。車を運転しなければいけないからといって、車のメカニズムを細かく知る必要はないわけです。

それに、実際に学生を面接するとき、採用担当者が注意を払うのは、学生がどんな取り組みをしたかであり、大学がどんな取り組みを提供したかではありません。意識が学生に集中しているので、大学がどうかというのは、あくまで学生越しにぼんやりと見えているだけのように思います。

今回の「企業のためのオープンキャンパス」は、こういう状況を理解しているからこそ、いったん採用担当者の視界にちゃんと大学を入れる場をつくったように思います。そして、こういった場で、なぜうちの学生が優秀なのかを、大学の存在感とともに伝えることで、大学の評価を上げつつ、採用担当者にも有用な情報を提供しているように感じました。

うちの大学だからこそ、を能動的に伝える必要性と意義

少し話を飛躍させてしまうのですが、採用担当者向けの大学のブランディング活動というのはあるのでしょうか?私がキャリア関連の部署とのつながりが弱く把握できていないだけかもしれませんが、あまり見たことがありません。環太平洋大学の「企業のためのオープンキャンパス」は、こういった活動にもつながっていくように感じました。

やっぱり大学からしてみたら、うちの大学だからこそ学生が優秀なんです!と伝えたいと思います。とはいえ、”大学だからこそ”という部分に採用担当者は特段注意を払っているわけではないから、けっこう解像度が粗い…。ここを説得力のあるかたちで意識的に伝え、浸透させるのは、大学にとって価値があるし、学生にとっても就活時の追い風になります。採用担当者にとっても、事実に依拠したものであればプラスにこそなれマイナスにはならないでしょう。

優秀な人材を輩出していると自ずと企業が評価してくれるというのは、たしかにそうだと思います。でもその評価が正しい理解のうえにあるのかとか、その浸透スピードで良しとするのかは、今一度、考えてみてもいいかもしれません。まだあまり多くの大学が積極的にやっていないのであれば、それこそ今のうちからやっておくことが大事な気がします。

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