今だからこそ意味がある?成蹊大の「オンライン授業の取り組み」特設サイトがシンプルながら考えさせられる。
以前、成蹊大学とサイバー大学の連携についてnoteに書いたことがありますが、今回も成蹊大学のオンライン授業関連の取り組みについて紹介したいと思います。この大学はオンライン授業の受け取り方が、とてもポジティブで見ていて気持ちがいいです。
どんっ。取り上げるのは、「『オンライン授業の取り組み』特設ウェブサイト」。名前ですぐわかるように、成蹊大のオンライン授業について紹介する特設サイトです。オンライン授業に対するアンケート結果を発表する大学は、ちらほらとありますが、このように特設サイトというかたちで、オンライン授業に関連する情報をひとまとめにして発信する大学はめずらしいように思います。
この特設サイトのコンテンツは大きく分けて三つあり、オンライン授業の「実施概要」と「事例紹介」と「アンケート結果」です。面白いのは「事例紹介」。こちらはテキストベースで、オンライン授業の内容や工夫について紹介し、その後、受講生の動画メッセージが続きます。授業の紹介文は、おそらく教員が書いているのでしょう。まだ2件しかないのですが、単に授業の概要を述べているのではなく、オンライン授業を運営するうえで、何に悩み、どこを工夫したのか、かなり具体的に述べています。良い意味で生々しく、高校生や保護者がオンライン授業を理解するのに役立つだけでなく、他の教員にとっても参考になりそうです。
「事例紹介」ではオンライン授業の工夫とともに、教員の人柄が伝わる
考えてみれば、これまで授業紹介で語られるのは、学べる知識やスキル、経験についてで、授業そのものの工夫について紹介するというものは、ほぼなかったように思います。でも、いざ授業運営について語っている成蹊大の「事例紹介」を読むと、これはこれで授業を受けたくなるし、教員の人柄がすごく伝わってくる。あぁそうか、教員も悩みながら授業をしているんだという、当たり前のことに気付かされてしまいます。
今回のコロナ禍で大学の学費についてよく取りざたされましたが、そこで語られる大学教育は、既製品のような表現のされ方でした。買ったら内容が違っていた、だからディスカウントしろ、と。でも、こういう個々の教員の努力をした過程が見えてくると、対面がいい、オンラインがよくないといった画一的なイメージで語ることは、とてもナンセンスなことなのだと感じてきます。
ちなみにこの「事例紹介」の最後についている「学生の声」という動画メッセージも面白いです。おそらく、Zoom等のオンライン会議ツールの録画機能を使って収録しているのではないでしょうか。画角がPCの備え付けカメラっぽく、画質もそこまでよくないのですが、この特設ページの内容によく合っていますし、なんでしょうか、なんかすごく本音を話しているっぽく見える(本当にそうだと思いますが…)。
「学生の声」は余計な演出がないからこそ説得力がある
大学がオンライン授業をどう受け止め、どう活用するかというのは、大学教育だけでなく、大学広報にとっても大きなテーマです。今のところ、オンライン授業を積極的に取り上げ、アピールするという動きは少なく、今回の成蹊大の取り組みは、めずらしいケースになるように思います。
多くの大学がオンライン授業をどう取り上げるかを迷うのは、オンライン授業の効果や評価がまだ定まっておらず、次年度以降もどうなるかがわからないという非常に不安定な状況にあるからだと思います。でも、オンライン授業を実施したという事実はすでに明らかなうえ、この授業形態に興味をもつステークホルダーが一定数いるというのも容易に想像がつきます。それであれば考えるべきは、取り上げるかどうかではなく、どう取り上げるかであり、自分たちにとってプラスになる取り上げ方は何か、ではないでしょうか。成蹊大の特設サイトは、シンプルではあるけれど(だからこそ?)、誠意がある取り上げ方をしており、今であれば取り上げるということ自体が誠意を示すことにつながるのだと感じました。
今後、各大学でオンライン授業はどのように取り上げられるのでしょうか。いろんなアプローチ、いろんな表現が出てくると面白いのですが、総スカンを喰らい、オンライン授業なんてものはなかった……、みたいな扱われ方をされると、ちょっとさびしいなぁと勝手に思ったりしています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?