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変わらなければ、変われない。近大と成蹊大が先陣を切る、オンライン教育を加速させる教育連携が熱い。

今なお続く新型コロナの一連の騒動のなかで私たちが手に入れたものに、思いのほかリモートでやれるという実感と、それを支援するサービスやテクノロジーというのがあるように思います。大学の遠隔授業は、まさにその成果を象徴するものでした。この成功体験を踏まえ、遠隔授業が発展すると、大学のあり方が大きく変わるだろうと考える大学関係者は少なからずいるし、ネット等の記事にもそういった論調のものを目にします。私も、そうなると面白いなと、つくづく思っています。

では、どうやったら、この起こりつつある変化のなかで有利に立つことができるのか。自分たちで、学内制度を整え、ノウハウを貯めるというのも手ですが、いっそのこと餅は餅屋だと割り切って、他者の力を借りるというのもやり方としてはありです。近畿大学、それに成蹊大学は、このやり方を取っており、この潔さはいいなと思いつつ、今後こういう提携が増えてくるのかなと感じています。

近畿大学は「Schoo(スクー)」、成蹊大学は「サイバー大学」と提携して、オンライン教育をより深化さしていくようです。興味深いのは近畿大学で、まずは通信教育部でのオンライン化からはじめていくと記事にあります。近大通信とスクーでは、どちらも社会人をメインターゲットにした遠隔教育を行う教育機関です。近大通信は、司書資格の取得希望者に人気がある通信制大学のため、スクーが得意とするビジネス系の講座とはかぶらないという判断があったのでしょうか。といっても、近大通信には短期大学部商経科があるんですよね。ここらへんはスクーで提供している講座ともかぶりそうだけど、どうなんだろう。それぞれがターゲットをどのように設定しているのか気になるところです。

また、今回の提携はスクーが専門アドバイザリーとして近大を支援するので、近大が全面的に教えを請う立場になります。近大通信が誕生したのは昭和32年で60年以上の歴史があり、一方スクーは2011年10月創業なので、9年目の会社です。人間に例えると、超ベテランが若造に教えを請うような状況です。ここらへんを抵抗なく(?)やれる柔軟性は近大らしいなと思いつつ、これだけ長く通信制大学を運営していても、遠隔教育のノウハウを教えてもらわなければいけないのかと思わないこともありません。遠隔教育というものが根本部分から、今と昔では変わってきているのでしょう。

歴史のある通信制大学でそうなのであれば、対面での授業が基本だった通学制大学が、独学でオンライン授業をブラッシュアップしていくのは、相当大変なのでは、という気がします。もちろん、できないこともないでしょう。でもこの変化のなかでイニシアティブをとっていきたいのであれば、時間が勝負になっていきます。そう思うと、近大や成蹊大のように、提携によって変化を加速させていくのは、判断として検討する価値があります。

あと、学内でのコンセンサスをとって授業のオンライン化を進めるのは、おそらく、いやたぶんきっと、どの大学でもとても骨が折れる作業だと思うんですね。だって、現場を担うのは教員たちです。教員は30代中盤でも若手と呼ばれる、最近のお笑い芸人のような年齢の捉え方をする世界です。どの大学にもITに慣れていない年輩の教員がたくさんいるでしょうし、そういう教員は従来のスタイルに早く戻したいと考えているはずです。これら教員と直接対立するよりも、外部の専門家を引っ張ってきて主導してもらう方が、反発も少なく早く改革が進められるのではないでしょうか。

教育系コンテンツの制作・配信のスキルやノウハウを持っているという意味では、スクーのような会社以外にも、ベネッセやリクルートなどの教育事業を展開している会社、予備校、テレビ局、映像制作会社、研修系の企業などが考えられます。教育系YouTuberなんかに個人でアドバイザーとして入ってもらうのも話題性があってよさそうです。どこと提携するかで、コンテンツの方向性や強み、戦略も大きく変わっていくでしょう。今後ますますこういう動きが増えていくと、これまででは想像もしなかったような大学の教育のあり方が見えてくるかもしれなません。ね、ほら、想像すると、ちょっとワクワクしてきませんか?ぜひこういう流れが加速していって欲しいものです。

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