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つくって終わりじゃ意味がない!近畿大学の大学発商品をフル活用する凄さとポテンシャルを考える

大学のニュースを探していると、時折、大学発商品を取り上げているものを目にします。学生と企業がコラボしたものや、研究成果をうまく活躍したものなど、個性的なものも多くあり、見つけるたびに興味深く内容をチェックしています。今回、見つけたものも、そんな大学発商品の一つなのですが、こういう商品を、こういう打ち出し方をすると広報効果が上がるのかも!?と考えさせられるものでした。何かと広報活動がお上手な、近畿大学の商品です。

近大マンゴーを伝える複数のプレスリリース

今回、見つけたのは近畿大学の「近大マンゴー」。これ自体は以前からある商品なのですが、和歌山県のアドベンチャーワールドで、このマンゴーを使ったスイーツが販売されるというプレスリリースと、千疋屋総本店日本橋本店などでこのマンゴーが販売されるというプレスリリースが同日に出ていて、それで興味を持ちました。

なぜマンゴーのプレスリリースが立て続けに出てるんだろうと少し調べてみたら、身も蓋もない話なのですが、ちょうど収穫のピーク時期なようなんですね。MBS(毎日放送)のニュースがYouTubeにアップされていたので、こちらも紹介しておきます。

一次産品の強みをフル活用する

近大マンゴーの収穫時期に、近大マンゴーとかかわるプレスリリースが立て続けに出るのって、フツーといえばフツーです。でもこれ、いわゆる一般的な大学発商品として考えてみるとすごくイレギュラーで、扱われ方も広報活動もぜんぜん違うんですね。

そもそも大学発商品は、開発されたときや発売されたときにプレスリリースが打たれるけど、それっきりというのが大半です。新たにプレスリリースが出るのは、新フレーバーが開発されるなど商品ラインナップが増えたときぐらいでしょうか。話題をつくろうと思っても、けっこう限度があるんですね。「ほとんど0円大学」に「大学発商品図鑑」というコーナーがあるので、こちらを見てもらうと、なんとなく感じてもらえるように思います。

でも近大マンゴーの場合、毎年収穫のタイミングにプレスリリースが出せるし、ここからさらに加工することで、新たな話題につなげることもできる。一次産品の強みといえばそれまでですが、ちゃんとこの強みを生かしている印象を受けました。

また、取り扱ってくれる店舗や近大マンゴーを使ったスイーツを出す店舗のプレスリリースを近大が出すのは、近大マンゴーのブランド化に役立つだけでなく、これら店舗の宣伝にもなります。大学がこういった対応を毎回やってくれることがわかると、うちもやりたいな、とか、今年も続けようかな、と思う店舗が増えてくるはず。近大はこのサイクルをしっかりつくり、きちんと回しているように思えます。

工夫次第で広がる大学発商品のプロモーション

ちなみに近大は収穫という自然の営みだけでなく、文化的な営みも大学発商品のプロモーションに利用しています。プレスリリースを漁っていると、お歳暮、そして、おせちをネタにした取り組みを見つけました。

こういった販売企画を、大学側が提案したのか、それとも企業側に提案されたのか、くわしいところはわかりません。系統は異なるものの、どちらであってもすごいことだと思います。

また、お歳暮やおせちといった、旬や収穫といった自然の営みと関係なく、なおかつ複数の商品を組み合わせて販売するものであれば、一次産品以外でも活用できる余地があります。全部を自大学発の商品でまとめ上げるのは大変かもしれませんが、そのうちの一部として組み込んでもらうのであれば、ハードルも比較的下げられるのではないでしょうか。

モノを売ることで伝える、大学の魅力

モノを売るというのは、大学の日々の業務とかけ離れており、なかなか発想として出にくいところがあるかもしれません。とはいえ、企業の視点でいうと、商品開発はいわばスタートラインで、ここから売り、事業を成長させていくのが本番です。近大は、それをよくよく理解して動いているように見受けられます。

さらに大学広報の視点でいうと、社会に大学の魅力を伝えようとするとき、記事や動画、イベントなどを通じて伝えるのが常套手段ですが、商品を媒介に伝えるというのも、やり口としてはぜんぜんありです。使用したり、味わったりするからこそ、より強く伝わるというのは起こり得ることです。事実、近大のオープンキャンパスでは、近大発商品をこれみよがしに高校生に大判振る舞いしています。

商品を通じて伝えるというのは、大学にとって不慣れなアプローチ。でもだからこそ、本腰を入れてやりはじめれば、他に先んじて高い効果が上げられる可能性が十分にあります。新たな広報媒体としての”商品”を、ぜひ検討してみてはいかがでしょう。

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