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仏教の教え 空海の言葉

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どの宗教を信じるかによらず、仏教の教えや空海の言葉からは多くのことを学ぶことが出来ます。
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2020年3月の記事一覧

それ釈教は浩汗にして際なく涯なし。一言これを蔽えばただ二利あり。(御請来目録)

それ釈教は浩汗にして際なく涯なし。一言これを蔽えばただ二利あり。(御請来目録)

高野山法徳堂です。

今日ご紹介する空海のことばは、

それ釈教(しゃっきょう)は浩汗(こうかん)にして際なく涯(がい)なし。一言(いちごん)これを蔽(おお)えばただ二利(にり)あり

これはどういう意味かといいますと、

仏教の教えは、際限なく広大な教えであるが、一言でこれを表せば”二利”に尽きる。

ここでいう「二利」とは、自利と利他の2つを指します。

利というと、経済的な利益や金銭的な利益

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身は花とともに落つれども、心は香とともに飛ぶ。(性霊集)

身は花とともに落つれども、心は香とともに飛ぶ。(性霊集)

高野山法徳堂です。

今日、お届けする言葉はこちら、、、

身は花とともに落つれども、心は香とともに飛ぶ。

どのような意味かといいますと、

体は花とともに落ちたとしても、その心は花の香とともに漂う。

といった意味になるでしょうか。

これは花を人間の体に例えています。
落ちるとは、人が亡くなることを指しています。

落ちた花も、すぐに香りを失うのではなく、しばらくの間、落ちた花のまわりに香り

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菩薩の用心は皆、慈悲を以って本(もとい)とし、利他を以って先とす。

菩薩の用心は皆、慈悲を以って本(もとい)とし、利他を以って先とす。

From: 高野山法徳堂

今日、ご紹介するのは秘蔵宝鑰にある次の言葉、

菩薩の用心は皆、慈悲を以って本(もとい)とし、利他を以って先とす。

現在の言葉で表すと、

菩薩が心はすべて慈悲を基本とし、まず人の為を先に考える。

のように、自分よりもまず他人のことを考えることが、幸せにつながると説いています。

では、菩薩とはどのような仏なのでしょうか。

菩薩とは、悟りを開くための修行をしながら

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如何ぞ己身の膏肓を療せずして、たやすく腫脚を発露す。

如何ぞ己身の膏肓を療せずして、たやすく腫脚を発露す。

From: 高野山法徳堂

今日、ご紹介する空海の言葉は、三教指帰にある

如何ぞ己身の膏肓を療せずして、たやすく腫脚を発露す。

という一節。

これは現在の言葉にすると、

なぜ、わたし達は、自らの欠点を正そうとはせず、他人の揚げ足をすくおうとするのだろうか。

今も昔も人間の性質は変わらないというのがわかりますね。

ー高野山法徳堂

始めあり終りあるは、この世の常の理、生者必滅はすなわち人の定まる則(おきて)なり。

始めあり終りあるは、この世の常の理、生者必滅はすなわち人の定まる則(おきて)なり。

From: 高野山法徳堂

今日ご紹介する空海の言葉は、、、

始めあり終りあるは、この世の常の理(ことわり)、生者必滅はすなわち人の定まる則(おきて)なり。(大日経開題)

これは現代風にいうとどのような意味かといいますと、

始めがあるものには終りがあるのが、この世のルール。
どんな人にでも死は平等に訪れます。

のような意味合いでしょうか。

これはあるすばらしい人格者であった女性が亡くなっ

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