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マッドパーティードブキュア

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ドブヶ丘で戦う魔法少女たちのお話です。
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2023年10月の記事一覧

マッドパーティードブキュア 35

「なあ、あんたは何者なんだい?」  メンチは差し出されたセエジの手を見つめて尋ねた。 「そ…

海月里ほとり
8か月前
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マッドパーティードブキュア 34

「今のは?」 「なんでもないですよ。ちょっと、お話をしただけです」  メンチの問いにセエジ…

海月里ほとり
8か月前
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マッドパーティードブキュア 33

 イェ村のにやにや笑いを見て、セエジは首を傾げた。 「どなたですか?」 「ええ、あなたはご…

海月里ほとり
8か月前
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マッドパーティードブキュア 32

「手数料? どのくらいになるのですか?」 「そんな目で見ないでくださいよ。仕方がないでし…

海月里ほとり
8か月前
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マッドパーティードブキュア 31

「なるほど、安全な家を隠れ家を探していると」  ルドラー不動産の従業員、イェ村はにっこり…

海月里ほとり
8か月前
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マッドパーティードブキュア 30

「どこにしても、ヤサ探さないとどうにもならんよな」 「それはそうだけども」  マラキイの言…

海月里ほとり
8か月前
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マッドパーティードブキュア 29

 その部屋には曖昧なものは何一つなかった。直線と円弧で構成された床に柱。傷も、欠けも、歪みもない。  広い部屋だ。数百の人間が入ってもまだ余裕はあるだろう。その広さを装飾が覆いつくしている。執拗なまでに全体と部分が一致した装飾。常に歪みと混沌が侵食し、万物の境界があやふやになるこの街で、調和を作り維持するのは容易なことではない。 「それで、首尾の方は?」  部屋の最奥、幾何模様の生命の樹をかたどったステンドグラスの下、一人の天使がいた。天使は仮面のような笑顔で、足元の男を見下

マッドパーティードブキュア 28

 マラキイは拳を獣の脇腹に叩きつける。浅い。身体が重い。反撃が来る。躱せない。吹き飛ばさ…

海月里ほとり
8か月前
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マッドパーティードブキュア 27

「おとなしくしてろよ」  言うとマラキイは窓を開け、そのまま飛び降りた。勢いを殺さず跳躍…

海月里ほとり
8か月前
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マッドパーティードブキュア 26

「別にお前さんに信用してもらう必要は、こっちにはねえな」  マラキイはにらみつけてくるメ…

海月里ほとり
8か月前
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マッドパーティードブキュア 25

 絶句。今度は驚きのあまり、声が出なかった。  少年も見た覚えがあった。あの日、少女とと…

海月里ほとり
8か月前
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マッドパーティードブキュア 24

「お前は! あの時の!」  マラキイが担架の患者の顔を確かめようとする前に、廊下から叫び…

海月里ほとり
8か月前
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マッドパーティードブキュア 23

「もしや、ドブキュアって、やつなんでしょうかね?」  ズウラが凶悪な顔をゆがめて呟いた。 …

海月里ほとり
8か月前
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マッドパーティードブキュア 22

「それで、あいつは逃がしちまったんですか?」 「ああ、悪いかよ」  ベッドのわきの粗末なパイプ椅子に胡坐をかきながら、少女は頬を膨らませた。街の外なら中学校にでも行っているだろう年齢の少女だ。  しかし彼女がいるのは学校の教室や医務室ではない。薄汚れた廃ビルの一室。錆びついた廃材を組み合わせて作ったベッドの前だ。  ここはカツラザキ診療所。ドブヶ丘では珍しくそれなりに信頼のおける闇診療所の一つだ。 「まあ、マラキイが逃がしたんなら、他にどうしようもなかったってことなんでしょう