見出し画像

『未必のマクベス』に出てくるホテルについてのどーたらこーたら

2回読んで下記を書いたマイライフタイムベストノベル『未必のマクベス』だけど、今回は話の中で出てくるホテルについて、僕のホテル投資に関する専門的な知識やらは特に活かさずに触れてみたい。

香港

ペニンシュラ

「東洋の貴婦人」の異名を持つ、香港の象徴となるホテル。何年か前にリノベしてて、客室はそれなりにテクノロジー対応していた印象がある。場所もいいし、いつ行っても混んでいる。

そう言えば、香港は物価高くて、ここのアフターヌーンティーはもちろん高いけど、街中のカフェやレストランもそれなりのお値段。でも、どこも混雑していて、狭い土地に多数の人が集まって凝縮している感じはシンガポール以上だったな。

インターコンチネンタル

インターコンと言えば、ホテル投資界隈にはHICAPの開催場所というイメージが強いのではないか。2019年はGaw Capitalが買ってリノベ(2022年にRegentになって帰ってくる予定)していたので、シャングリラ系列のKerry Hotelでの開催だったようだけど、このイベントの開催場所ということで、スピーカー/パネリストの常連であるGawが欲しくなる気持ちはよく分かる。

そう言えば、今年はWeb開催とのことで、参加費安いので、興味ある人は覗いてみてもいいかもね。あの同窓会のような雰囲気そのものがいいと思うので、個人的にはWeb開催には魅力は感じないけど、コンテンツに興味がある人にはどんなもんか知れる絶好のチャンスなはず(9月末までは早割で295ドル)。あと、毎年プログラム眺めていると、同じ名前ばかり出てくることに気付くはず。日本でもホテル投資界隈の人は数が限られているけど、アジアでも同じ状況であることが伺える。

ホーチミン

マジェスティック・ホテル

あいにくホーチミンは行ったことが無いので、このマジェスティックは実物を見たことがない。有名なホテルだし、この小説に出て来なかったとしても泊まってみたいホテルではある。とりあえず、長崎にあったホテルマジェスティックでお茶を濁そうと思う。

現在のセトレグラバーズハウス長﨑だけど、場所は長崎の観光地のど真ん中にあり、大浦天主堂やグラバー邸がすぐそばという好立地。客室数は23室と小規模ながら、婚礼も一般宴会も受け入れている立派なフルサービスホテル。オペレーターのホロニックは、この手のスモール・フルサービスホテルを得意とする稀有な存在。ある意味では、差別化の極北に位置する。

長﨑は新幹線の開通が待たれるが、開通に前後してヒルトンやマリオットも開業する予定なので、他の新幹線開通都市で起きた駅前集中(と、その裏側にある旧市街地の衰退)がここでも起きるのかな。それでも、外部環境が変化してもこういった独自性を確立したホテルは生き残れると思っている。

東京

ペニンシュラ

皇居側の客室はさぞかし素晴らしいビューなんだろうなと思いながら泊まった記憶があるので、客室自体の印象はあまり強くない。個人的にはPeterの内装の奇抜さが苦手で、王道のヘイフンテラスの方が好み。ロビーラウンジも空間が開かれ過ぎというか、通路っぽいので、あまり好みではなく、地下のブティックは地下なので落ち着けそうだけど、雰囲気が百貨店の地下にあるお菓子屋さんのイートインぽくて高級感に欠ける。でも、マンゴープリンは美味しいので、夕食ヘイフンテラスで食べて、その後、部屋でマンゴープリンを食べるのがいいんじゃないかな。

久米島

久米島のホテルはどこか明示されていないけど、明示されていないがゆえに、あれやこれや想像できるのが楽しかったりする。久米島には基本的にはリゾートホテルは3つ(サイプレス、久米アイランド、イーフビーチホテル)しかなくてそのうち2つが出てくるので、組み合わせとしては6通り、当たる確率は16.7%。

まず、以下の記述がヒントになる。

東港までは、ホテルからタクシーで十分とかからなかった。(一部原文をアレンジ)

久米島空港すぐのサイプレスからは東港までは十分では着けないので、中井の泊まるホテルは久米アイランドかイーフビーチに絞られる。そして、その直前の下記の記述もヒントになる。

東港で三十分後に落ち合おう。

中井が会う約束をした相手の発言だけど、そもそも中井はとある会議に出席するために久米島に来ており、約束相手は中井がその会場のあるホテルにいると思って、「三十分後」としたものと考えられる。

3つのホテルの中で東港まで30分かかるのはサイプレスだけなので、会議がおこなわれるホテルがサイプレスで、やはり中井が泊まるホテルはサイプレス以外の、久米アイランドかイーフビーチのどちらかだ。さて、どちらだろうか。上の二つのヒントの少し前にある以下の事実が決定打になろうか。

中井のホテルの予約をしたのは秘書の森川であるということ

森川が何を考えてホテルを予約するかを考えれば、答えが見えてくるのではないか。主である中井のセキュリティを最優先するはずだ。久米アイランドとイーフビーチの物理的な条件は大きく異なる。

久米アイランド

イーフビーチホテル

久米アイランドは敷地内に複数の建物があり、客室数も200室と久米島にしては大箱だ。一方、イーフビーチは客室数も80室と少なく、基本的にはオーシャンビューの客室が横に並ぶシンプルな造りだ。そして、久米アイランドにはスイートルームはないが、イーフビーチの方には60㎡ほどと可愛らしい広さではあるが、スイートルームがある。スイートルームに泊まるVIPとして、ホテル側も気を付けるだろうし、物理的にも目が届き易いのはイーフビーチではないか。中井が泊まっているホテルがイーフビーチで、会議がおこなわれるホテルがサイプレスでファイナル・アンサーだ。

当然ながら、小説の中でこのような無粋な疑問に対する答えが示されることはないが、3回目に読む時はどこかヒントを読み落としていないか、つい(未必の)確認作業をしてしまうことだろう。


この記事が参加している募集

読書感想文

サポート→ホテルで使う→note→サポートというサイクルが回ると素敵ですね。