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よくある質問No.3

「菅さんの高級ホテル50軒、どう思いますか?」

今回は時事ネタ。IRで有名な木曽氏がこれに絡んだ発言していて、Twitterの方でも引用してコメントしたけど、改めてここに整理しておくことにする。

ことの発端はこのTweet。

https://twitter.com/takashikiso/status/1203912947820482560?s=09

そして、以下に続いている。

https://twitter.com/takashikiso/status/1203913484292935681?s=19

https://twitter.com/takashikiso/status/1203914683092127744?s=19

ここからも続いているが、氏の専門分野であるIR礼賛に繋がっているだけなので興味はない。近い立場のはずの国内高級ホテル開発事業者の人間とやらが呑みの席で喋ったしょうもない内容をさも専門家の発言かのように引用したのはどうなんでしょうね。(以下、国内高級ホテル開発事業者の人間の発言が太字)

第一声「国内50軒新設なんてそんな需要あんの?」

Tweetもしたけど、50軒の中身が、東京のラグジュアリーホテルみたいに150室規模のものか、三重や京都のアマンのように20-30室規模のものかでは、供給される客室数は大違いなので、軒数ベースで足りる足りないの話をするのは無意味。

「需給に基づいて開発されているのであって、今の供給は適正レベルだと思う」

これもTweetしたけど、これだけ過剰供給と言われているホテルマーケットだけど、未だにラグジュアリーホテルのKPIは改善し続けてる。稼働率は高止まりし、ADR(平均販売単価)は上昇している。これは良好な需給バランスが背景にあるためで、つまりは需要が供給を上回っている状態が続いているわけだ。

では、なぜ供給がさほど増えないかというと、次のこの人のコメントにもある通り、必ずしもラグジュアリーホテルが儲からないから。一般的にはグレードを下げた方が投資効率が高まるので、ラグジュアリーホテルはあまり作られない。

但し、昨今では投資効率が、よかったはずのビジネスホテル+αぐらいのホテルの収益性が供給過剰もあり悪化している。これにより相対的にラグジュアリーホテルの投資効率がよくなってきているので、最有効利用の観点からもラグジュアリーホテルが正当化できる可能性が増している。

「『超ハイエンド』は事業者にとって必ずしも収益性が高い開発ではない。だから、今のレベルの供給量になっているのに、政策主導でその供給を増やせば、既存業者の収益性がますます悪くなるだけ」

前半はこれまでに説明してら内容でカバー済だが、最後の部分は本人が国内高級ホテル開発事業者の人間だからこそ、良好な需給バランスを背景に改善し続ける業績、という既得権益を守るためのポジショントークだろう。

最終的には、呑みの席の話なので…という免罪符を持ち出すんだと思うけど、ただのポジショントークをさも専門家の発言的な感じで引用するのがなかなか質が悪い。

財政投融資なんだから別に補助金でもないし、単にマーケットメカニズムに任せたらでき難い(事業性が無いわけではない)分野だけど、政策的な意義があるのであれば、財政投融資の目的にも沿っている。

過去に公的な宿泊施設は失敗したから…と言っても、別に公的施設だから失敗して、民間だから失敗しなかったわけでもないし、そもそも、過去の失敗をそのまま繰り返すと考える方に違和感がある。

現時点での筆者の結論

①先に書いた通り事業性が相対的に低いかもしれないが、無い(赤字)わけではないし、需要もある。

②数少ない成長産業である観光産業をより一層盛り上げるための政策的な起爆剤という位置付けであれば、財政投融資の目的にも沿っている。

③個々の案件を見たらアチャーというのは出てくるかもしれないが、特に現時点で否定する理由は見つからない。

世の中的には否定的な意見が多いようだけど、私が見た中でほぼ唯一まともだなと思ったのは以下。

https://twitter.com/junzabroP/status/1204296983009062913?s=19

新設した歴史の無い建物よりも、歴史のあるものをコンバージョン、リノベーションして作られた高級ホテルの方が、宿泊客にウケると思うので、必ずしも新築で建てる必要はないと思う。新築で建てるほうが簡単ではあるんだけどね。

2019/12/18追記
https://twitter.com/oyakata20191112/status/1207327974149672961?s=19

サポート→ホテルで使う→note→サポートというサイクルが回ると素敵ですね。