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マルクス・アウレーリウス『自省録』神谷美恵子訳について

・自省録であるため、君=マルクス自身である。だから説教くさくない。全てを真に受ける必要もない。

・心を平安に保つ方法を自省している記述が多いが、マルクス自身も悩んだり、怒りに駆られそうになったりしていたからこそ、このように自省することを日課としたのであると思う。五賢帝の1人といえど、根本的にはそのへんの人と大差はないのではないか。だからこそ親しみも持てるし、それがこの本の魅力だと思う。

・正義と真実を重視する生き方をしている。これは何よりも自分のためだろうと思った。

・エピクトテスからの影響を強く感じる。「宇宙全体を織りなすものの中から自分にふりあてられているものについてたえず思いをひそめている。そして自分の務めはこれをよく果たすようにつとめ、自分に与えられている運命は善であることを確信している」「自然に従って生きない人々からの賞賛などなんら問題にしない」

・人生で起こる大変なことへの対処として。「これは不運ではない。しかしこれを気高く耐え忍ぶことは幸運である」

・「失敗したらそれに戻ってゆけ」

・「もっともよい復讐の方法は自分まで同じような行為をしないこと」その通りと思う。「他人の過ちが気になるときは、自分も同じことをしていないか反省すること」

・「アレクサンドロスも馬丁も、死ねば同じ」死についての言及が随所に見られる。ただ人生から退場していくということ。どんなに名誉を得ようが、悪評を得ようが、100年後は誰も覚えていない。

・エウリピデスからの引用が多い。ギリシア悲劇の作家である。興味が湧いた。

・「自己に対して美しくあることに専心」これもエピクトテス的な考え方ではないかと思う。

・ストア派からの影響が大きいと聞いていたが、案外エピクロスからの影響も見られる。

・怒りは、その出来事が怒るべきものであると自分の心が判断しているから。自分の心がどう判断するから自分で決めることができる。なんだか仏教的だと感じた。

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