♫花は咲く(弾いてみた動画の裏話)
私が「花は咲く」と出会ったのは、大学4年生の夏の終わりだった。
NHKの、東日本大震災プロジェクトの曲。
正直、何となく聴いたことはあるような…と思いつつ、あまり記憶になかったというのが本音だ。
震災当時、東北ではないが私の住む場所も大きく揺れて、出先から帰ってテレビで非現実的な映像を目の当たりにして、しばらく夜寝付けなかった。
それぐらい、心に残っていたはずのトピックスなのに、この曲と出会うことがなかった。
きっかけは、所属するアカペラグループで歌う曲決めのことだった。
当時、私はアレンジするのが楽しくて夏休みに何曲も何曲も作っていた。
しかしもはや毎週1本ペースで仕上げねばならない状況にしてしまい、自業自得だが目を回していた。
やっと、全部アレンジし終わった…!
そう思って布団に入り、目覚めた、ある夏の終わりの日の朝。
グループ全員に、この曲やりたい!というメッセージが来ていた。
それが、「花は咲く」だった。
やっと仕事を終えた気分になっていた私は、今だから言えるけど、その時少し心が沸々としてしまった。
やっと全部終わったと思ったのに…
なんて思いながら、音源を聴いてみたら、ふわっと心変わりした。
この曲、みんなで歌っているところを聴いてみたい。
それから私は、朝のウォーキングの傍ら毎日聴き込んで、頭の中でイメージを膨らませていった。
(当時、時間を持て余していた上に脂肪も持て余していたので、形だけ運動してた)
不思議と、頭の中でコーラスラインとか考えている時は、楽しかった。
というか、思ったよりもすんなり音が降りてきてくれた。
それは、この曲が持つ力のおかげ。
この曲、すごくいい曲だから、私がどんなに好き勝手アレンジしても、きっといい音楽を届けてくれそう。
そうやって、譜面を作っていった。
今思っても、作ったアレンジは合唱っぽくて、アカペラというジャンルで考えると、あまりメンバーの良さを引き出せてはいなかっただろうなと思う。
でも、きっと聴いてくれた人が、
この曲そのものを心に残してくれるきっかけにはできたのではないかな。
結局、この曲を歌えたのはたった半年だったけれど、とても心に残る1曲になった。
実は、アレンジしていた時、歌っている姿ももちろんイメージしていたのだけれど、
頭の中ではピアノのメロディーと伴奏が鳴っていた。
ふと、今日、もう12年目の3.11なのか…とテレビを見ながら思っていたら、
この曲が心に蘇ってきて、急遽弾いて動画にしてみることにした。
突貫なこともあっていつも以上に荒いし聴きづらいけれど、
今日、今、弾きたいと思ったこの曲を弾くことに意味がある。
だから、弾けてよかった。
どんなにこの先月日が経ったとしても、この曲を聴けば、
あの震災の日感じた恐怖と悲しみと教訓。
数年後に大事な曲として大切な人たちと歌った記憶。
全部ちゃんと思い出せる気がします。
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