美容師さんが優しい話

この街に暮らし始めてからかなりになる。
ここに定住するなんて、当初は考えもしなかったけど
気づけばかかりつけの内科も歯科も10年以上お世話になっている。
美容室はその間、ジプシーしたこともあったけど、今通ってるところは5年くらいかしら。

担当してくれていた小柄で可愛いSさんは去年の夏、産休に入り今のYさんに引き継いでくれて1年になる。

Sさんは割と自分の意見をしっかり主張するタイプの人でお客さんにもハッキリ言う。
私がこうしたい、言うても首を縦に振らないこともあった。
それはそれでいいのだ。
プロが首を縦にふらないということはそれなりの理由がある。
何より、私のくだらない話に肩を震わせてくれたり、時にはその話はいいです(怖い話系)といいつつも聞いてくれたり。
楽しく4年あまり髪を切って染めてもらってた。

Sさんがある日、長かった髪を短くしていて。
髪切ったんですね
と言うと、実は結婚式のために伸ばしていたんです。と。
ご結婚されたらしい。
ということは、遠くない未来で産休に入っちゃうかもな。
と予想はしていた。

1年くらい前に美容室に行ったら
実はホタテさんにお伝えしないといけないことが、と。
妊娠したので産休に入る予定だと。
もともとほっそりしてて小柄なので、体型にもふっくらさが現れていた。
おめでとうございます！と返した。

ホタテさんのことは、後輩に引き継ぎますので。
と紹介されたのがYさんだった。
私は他の美容師さんのことはよく知らなかったけど、Yさんの方は私のことを覚えてくれていたらしい。
それは担当がYさんになってから髪型の相談をしていた時にYさんが
｢ホタテさんは、私が気づいた時には髪がもう短かったです｣と。
その美容室に通い始めの頃は長くて。
で、短くしてもう3年は経つ。Sさんはハッキリ言う方だったので、ホタテさんは短い方が似合います
言われてた。確かになーと思って短いのを継続していた。

で、新担当のYさんは、私の意向を重視してくれるので
こんな髪型にしたい、こんな色にしたい
言うとそれに沿って似合うようにスタイリングしてくれる。
私の思いつきは月単位で変わるので、先月とは全く違うことを言ってることもよくある。

あんまり、美容師さんに負担かけてもなと思うので
Sさんが休みに入る少し前から、私はくだらないお話するのを控えるようになった。彼女たちは接客のプロなので、私の話も上手に聞いて笑ってくれるけど、それは無理をさせてるかもしれないのだ。

そう思って、Yさんに代わってからもあまり話さないようにしてたけど、行くたびに肩を震わせる出来事は必ずあって。
調子に乗ったらあかんで、自分
と思いつつも彼女やアシスタントの子達が笑顔になる話題を心がけていた。

予約してた先日、カットとカラーしに行った。
まずはカラーの相談。私は脱色してから色を入れてるのだけど、そろそろ根元が伸びてきたこともあり、Yさんからどうしますか？と聞かれ。迷った挙句、今回は抜くことにした。
やっちゃいますか、夏だし。という意味のわからない理由で決め、4時間コースに突入した。

で、脱色すると日本人の多くはオレンジ色みたいな髪になる。今回もそうかしらと思って洗い流したあと鏡を見るとそこには、煉獄杏寿郎がいた。そう、今回、根元が黄色く抜け、毛先がオレンジになってて、写真撮りたかったくらい。どう見ても鬼滅の刃の煉獄さんだったのだ。。

アシスタントの女の子に
どう見ても鬼滅の煉獄さんですよね
と言うと、たしかに。。そう言われたらもうそうにしか見えないですねwwと会話しつつ。

カラーリングタイムへ。
美容室にはタブレットが置いてあり、そこで電子書籍が見れるようになってる。私はひたすら山ガイド系の雑誌を読んでいて、日本アルプスの光景に目を奪われてた。
こんなところに、行ってみたいですよねという話から最近見た、優しくない彼氏を連れて登山してる彼女の話をした。
山に行って気遣いのない彼とはつきあわない方がいいよね。と。だめ、ぜったいと思うわけですよ。と持論を展開するとうんうん、ですよね！私の友達も…と、私のくだらない話でも彼女たちは楽しく相槌をしてくれ、さらに話題に油を注いでくれるのだ。

その時、ふと思った、これはあれだな。
薬局で薬剤師さんと長話をするご高齢と同じ図だなと。
そう、私は孤独を美容室で癒してもらっているのだ。
髪を切ってもらうだけでなく心まで癒して貰ってるのだよね。

 カラーリングが終わり、カットタイムに。あまり喋ってもなと思って黙っているとYさんが
ホタテさんって霊感あるんでしたっけ
と話題を振ってくれた。
そう、私は前任のSさんに、私が体験したホラー系の話をしていたのだ。それも引き継ぎされてたのかもしれない。けど、Yさんにはそれ系の話を一切してこなかったのだ。
というのも、、そういうホラー系な話はやはり、人を選ぶというか、この人、頭おかしいと思われがちなので誰にでも話さないのだ。けど、Yさんが話題を振ってくれた以上、かいつまんでお話しなければならないなと思った。
で、霊感はないんですけど、具合が悪くなるんですという、虚弱な体質についてお話した。
そう、私はよく原因不明に急に具合が悪くなることが過去によくあり、お化け系に弱いことを実感していた。なので、お祓いもよく行っていたし、霊感あるお知り合いも何人かいる。

山に行くとお化けいそうですけど居ないんですか？と聞かれた。私は過去に経験したことを思い出しつつ。
｢山より、街の方がいるみたいですよ。前にオーラを見れる人に、ホタテさんってピカチュウみたいに時々ピカって光るから、電気体質だと思いますよ。もし、霊が見れるようになったら、お化けほいほいになりますねwwと言われたことがあるんだよね。電気が多いところにお化けって寄ってくるらしいよ｣と伝えた。 
意外です〜と彼女は返してくれた。それなりに興味があるらしい。なら、この話題は引かれない程度に振っても大丈夫そう。
ただ、ここのところ、私はメンタル強くもつようにしており、変な体験は減っていた。メンタル弱かったりすると、やはりそういものに影響されやすいという話も聞いていたから。

電気が多いところにでやすいなら、山より圧倒的に都会の方が多そう。。
というか、人工物のところだよね。。
お化けが見えない体質でほんと良かったと思う。。

彼女は、私はそういうの全く分からなくてと言う。

その方が絶対にいいですよ。私みたいに見えもしないのに、ただ具合悪くなるのが一番中途半端で何の役にも立たないですからね。と返した。そう、何の役にも立たない。だから、それを克服したいと思い、山歩きをしてメンタルとフィジカルを鍛えてるという面もある。

カットが終わり、後ろ髪を見せるためにYさんが鏡を持って後ろに立ってくれたのだけど、角度が悪くてよく見えないので私が首を動かすとYさんがそれに付随して動くので、いつまで経っても後ろが確認できない事態が発生した。
いやちょっとwww いつまでも見えないじゃんwww
と2人で爆笑。肩を震わせて美容室で笑ってるのは、私たちくらいである…

そんな感じで、私はいつも美容室で甘やかされている。楽しく私につきあってくれていつもありがとうございます。

帰りに次の予約を入れ(お店で次の予約を入れると20パーOFFになる、それもYさんになってから知ったww)、また、1ヶ月半後、お願いしますーと帰ってきた。

ほんと、いつも素敵にスタイリングしてくれて、話も聞いてくれて、ありがとうございます。みなさん、優しくて大好きです。これからもよろしくお願いしますっていつも思ってる。美容師さんありがとう。