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Episode 543 企業の文化の問題です。

「配慮」とは、機材や位置取りを調整することでマイノリティの生活の不便を緩和することで、マジョリティから「支援」を引き出すためのディール(「取引」「対応」)の意味合いは、ない…と私は思っています。

何度も言い続けているこの言葉は、私が思う「配慮」の核心です。
その「配慮」というものは、享受する側と享受される側の「合意」の上で成り立つものなのだ…と、私は前回に指摘しました。

でもね…本当に難しいのは、その「合意の維持/修正」なのではないか…と思うのですよ。
例えばですよ、どこの会社でも各社員のスキルアップは会社としても個人としても重要な課題であって、入社した社員が全くレベルアップしないのでは採用した会社としても「期待外れ」でしょうし、社員個人としてもキャリアが伸びていかなければ給与アップも望み薄になるワケで、入社後の経年数に応じた仕事は期待されるワケですよ。
当然、会社側もキャリアプランを考えて、それに合わせた育成計画と課題を用意するハズです。

問題は、定型の人には問題がないキャリアプランでも、配慮を必要とする人にそのままの形で応用できるか…です。
私の場合、対人関係が弱くてストレスを抱えてしまった。
だから会社は私に、原材料の入口と製品の出口を掌る冷凍・冷蔵庫でのリフトマンという「ひとり仕事」を与えてくれた…これが配慮です。

ところが…会社という組織は、人材が育ちキャリアを積む程に「人を束ねる仕事」が付き纏うのですよ。
後輩ができ、主任になり、後は係長、課長補佐、課長…と言うのが一般的な組織でしょうかね…まぁ、呼び名なんてイロイロあるのでしょうが、その「ステップ」を上がるたびに注意を払うべきものが増え、気に掛けるべき人も増えて行くのです。
それで私は…というと、前回の記事でも書いた通り、この部署に異動して直に丸3年、当然のことながら「後輩社員」がいてですね、リフトの取り扱いやら作業フロアの管理やらを後輩に伝えなければならなくなってくるのですよ。

私の職場である冷凍倉庫は「ドラえもんの四次元ポケット」ではないので、当然のことながら容積は決まっていてですね、冷凍庫の容積を超えて品物を受け入れられないのです。
だから入庫予定は明確に決まっているのです。
営業側が受けてきた入庫商品、何時なら入れられるかを出庫量とのバランスを見て調整して日程を決めるワケです。
朝一番のミーティングで入出庫の確認をし、その日の状況に応じて荷捌き用の作業フロアの使い方を指南することになるのです。
入出庫の荷物を時間軸で管理するイメージが必要で、日々変わる荷物を扱うためにパターン化が難しい…。
結果、定位置管理が不可能で、舵取り役のフロアリーダーがスペースのやり繰りを指示しながら荷捌きを行うことになるのです。

はじめての頃は、当然ながら先輩社員の指示通りに作業すればよかった…でも、後輩ができてキャリア的にも必然的に指示を出す側に立つことが増えてくる…これが実情です。
おや…「ひとり仕事」の場面が減ってますよね。

このようにですね、当初の配慮の位置から、キャリアを重ねることで実態が逸脱していくことは往々にしてあることで、これを放置すると個人のキャパシティを超えて体調を崩すことになったりするワケですよ。

幸いにして、私の会社は半年ごとにキャリアプランの進捗確認と評価があり、今期課題の反省と次回課題を設定するのですよ。
会社側からキャリアプランや社内的な業務課題を鑑みて、私に個人の「課題」が提示するのに対して、私からは体調面などを含めた状況を説明し、お互いに「内容が妥当か」を確認するワケです。
結果的に、半年ごとに配慮に対しても「合意の維持/修正」を行うことになるワケで、有耶無耶に仕事が与えられて苦しむこともない…ということになるのです。

私は障害者手帳を所持していますが、一般就労の会社員です。
就労に対しての配慮は、障害者雇用という枠で語られることが多い様に思いますが、実はそんなことはなくて、一般就労で定型の方についても同様に行われるものだと私は思うのです。
この「合意」を大事にしているか…というのは「一般就労」「障害者雇用」という枠で考える話ではなくて、「企業の文化」としての従業員との接し方の問題であるように感じるのです。

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